日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

公衆作法 東京見物  1926年 国立映画アーカイブ

このところナオヤ鉄道chという鉄道ユーチューバーの動画が面白くて連日見入ってしまってます。最終電車で終電まで行くとか、関東の駅と同じ駅名の九州の駅まで改札を出ないで行くとか(これは見応えあります)。例えば東京の赤坂駅から九州の赤坂駅まで(笑。改札を出られないのでかなり大回りしていくのが鉄道に詳しくない私でもドキドキです。編集もかなり丁寧で、鉄道に関する知識が(当然)豊富。全て一人でやっているようなので大変だと思います。すでに登録者数4万人越えです。

 

さてなんと大正15年に作られたこの作品。人々にマナーを教える目的です。

外国へ赴任する息子を見送りに東京へ行く父と娘。出発からストーリー仕立てで今でも十分通用する話です。というか、私たちって進歩してない?(笑。

 

列車に乗り込む父と娘

まずキップを買おうと駅にいる人々。まだキップの窓口は空いておらず(え~~~そんなことあるんだ)、並んで待つように注意。さらに並ぶのも当然割り込みはマナー違反(これは現代ではあまりない)。

駅で知り合いと会った娘が話し込み、なかなか列車に乗ろうとしなかったり、

車内ではごみを散乱させてる通路を通った人が転び、タバコを吸い過ぎて娘から煙いと言われる父。そしてこういう人現代でもいるけど寝てしまってもたれかかる人。

もたれかかっている。しかもタバコ持ってるし。

窓から空き瓶を投げ捨てて、それが割れて畑にころがり、農家の男性がケガをする。

娘が化粧室に行くと女性が洗面台を占領し、なかなか出てこない。やっと終わったと思ったら洗面台には汚れた水が溜まって、水を全て使ってしまったのか水がでない。

延々と化粧をする女性。待たされる娘。

東京へ到着。東京駅が変わっていないのがスゴイです。

迎えの車にに乗る

 

都電の乗り方もあって、先に母親が降りてひとりで幼い子が降りるのに手間取っていたり、走っている都電(市電)に飛び乗る男性。

子供がなかなか降りられないので乗客が溜まっている

正しい子供の降り方

子供は抱えておりませう(笑

ここはどこでしょう。永藤のパンという看板が電柱にあります。赤坂の弁慶橋?

 

東京観光で日比谷公園に行くと植えてある花を取ろうとする人とかいて私も家の花を植木鉢そっくり持ち去られたことがあります。敷地内の玄関ポーチ横においていたんですが大して罪の意識もなくもっていってしまう人っているんですね。近所の花やさんでは店先に並べたポットの花苗を持って行かれて、追いかけて捕まえて交番に行こうと言ったら逆切れされたとか((;^_^A。 ちなみに中年の女性だったそうです。

 

今の国会議事堂がやっとできたのは1936年だそうで、この当時は仮の議事堂だったようです。

仮 議事堂

右の銅像は誰でしょう?

最後は演説会場でのマナー、食事のマナーで無事、息子は船で外国へ。

大正15年の東京が映されているのと、おもしろいのは父親役がやけに若い(白黒でもわかるほど若い)。当時は年相応な俳優さんはそうそういなかったんでしょうね。

父と息子

息子を見送る父と娘

 

限りなき舗道 1934年 松竹

監督 成瀬巳喜男 脚本 池田実三 原作 北村小松

出演 忍節子 山内光 磯野秋雄 若葉信子 葛城文子 香取千代子 日守新一

   結城一朗 井上雪子 三井弘次 阿部正三郎 突貫小僧 坂本武 笠智衆

   松園富士子 荒木貞子 六郷清子 勝美朗子 仲英之助

 

忍節子・磯野秋雄

この作品は前にも記事にしましたが途中までのアップでしたのでなんだか最後がわからず・・最近フルバージョンで見たのでもう一度記事にします。

書き出すまでにスクショを撮っていると当時の銀座ロケが多くて思わずその場所を調べたりしてそれが非常に面白かったです。ただ主人公の勤める喫茶店近辺くらいしか場所がわからず。

 

杉子(忍節子)は銀座でウエイトレスをしている。彼女の恋人、町夫(結城一朗)にプロポーズされる。ルームメイトで同じ職場の袈裟子(香取千代子)と歩いていると杉子は映画女優にならないかとスカウトマン(笠智衆)から声をかけられる。

笠智衆

その後、杉子は車に轢かれてしまい病院へ。そこには車を運転していた光(山内光)と母(葛城文子)がいた。山内家は名門の家系で光は淑子(井上雪子)との縁談がもちあがっていたが、杉子を好きになってしまった光はあんなお転婆は嫌だと承知しない。

井上雪子・松園富士子

杉子の弟、高一(磯野秋雄)が田舎から出てくるのでルームメイトの袈裟子は引っ越すことになった。そして杉子が元気になって喫茶店に復帰すると彼女は女優になって杉子の前に現れる。

香取千代子

杉子は毎日のように光が店に来て、同僚から羨ましがられるが、町夫の会社に連絡すると彼は田舎へ帰っていると言われる。光からデートを申し込まれた杉子は彼の熱心なプロポーズに家柄は違うけれど愛し合っていればなんとかなると山内家へ嫁ぐ。

忍節子・山内光

ところが山内家の母、姉は杉子につらく当たるのだ。

葛城文子

若葉信子

それでも耐える杉子だがはっきりしない光にも嫌気がさして婚家を出る。嫁と姑の間に悩む光は飲み歩き、ある日女給とドライブへ行って事故。山内家からの使いの願いで

急遽病院へ駆けつけた杉子だが光には愛情はもうない。義母と義姉に「家名にこだわるあなたたちが彼をこんなにしたのだ」と言い、病室を出ると光は亡くなってしまう。

 

杉子は自分が光と結婚することによって弟を大学へ行かせられるとも思っての結婚だったが弟はタクシー?の運転手をするという。杉子もまた働くのだと銀座へ戻る。

女優になった袈裟子だが全く売れず、なんと袈裟子に想いを寄せていた画家の真吉(日守新一)と所帯をもっていた!

なんだか明るい未来のある終わり方であった。

懐かしい銀座の風景に見入る作品でした。

杉子と袈裟子の出勤風景

 

香取千代子という女優さんは数本の作品に登場したがその後不明。1913年王子生まれらしい。

香取千代子

香取千代子・日守新一

 

民衆の敵 1946年 東宝 

監督 今井正 脚本 八柱利雄 山形雄策

出演 花柳小菊 河野秋武 菅井一郎 藤田進 江川宇礼雄 志村喬 河野糸子

   田中筆子 浜田百合子 田中春男 花沢徳衛

 

 

家の近所に「不味かったら全額返金、美味しかったらもう一杯」とかいうスローガンを掲げているラーメン屋があります。

ラーメンを食べた後で「不味いっ!」って言えば「全額返金」なんでしょうが、食べ終ってからそんなことを言える人っているのか?全額返金ってラーメンの他にビール頼んでても全て返金されるのか? さらに「美味しかったらもう一杯」以下がないんだけど、もう一杯食べてね、でも有料で。なのか 美味しかったらもう一杯無料!なのか?

が疑問な平和な暮らしをしております。生まれた時代、生まれた国がほんとによかったです。

 

戦争末期、軍閥と一緒に儲けまくる財閥と苦しめられる民衆 を描いている。

今井正監督については戦中、戦後に作った作品が違い過ぎて非難されているようだけど、彼も生きて食べていかないといけないのです。

これはGHQの思惑で作ったとあります。

内容は時代劇さながら悪人と善人がわかりやすい。

 

将校クラブのマダム、はるみ(花柳小菊)のバブル時代に流行った肩パッドがすごい洋装。しかも着ている服がまるで「女性の勝利」の女弁護士、田中絹代が法廷服のようだったのに笑い。「女性の勝利」は「民衆の敵」と同じ年に製作され、やはりGHQによる占領政策の一環としてつくられた作品だそうです。

花柳小菊

女性の勝利の田中絹代

将校クラブで働いていたみどり(浜田百合子)は、軍人の接待中には飲ませろ、食べさせろと言い、マダムの顰蹙を買う。(ヒンシュクってこんな漢字だったんですねw!)

戦争が終わって、マダムとみどりが両国橋の袂で再会するが、やはりみどりはマダムに金銭を要求する。このみどりという女性を登場させて何が言いたかったのかわからない。

戦後すぐの両国橋

いまの両国橋

 

マダムにたかる浜田百合子

浜田百合子

隅田川の曲がり具合からだとこの辺りかと思う。

 

人妻椿 前編・後編 1936年 松竹

監督 野村浩将 脚本 柳井隆雄 原作 小島政二郎

出演 川崎弘子 佐分利信 上原謙 三宅邦子 藤野秀夫 山内光 上山草人

   笠智衆 坂本武 飯田蝶子 小島和子 吉川満子 二葉かおる 岡村文子

   河村黎吉

 

川崎弘子・佐分利信

60年代の大映映画が男性の夢だとしたら、これは30年代の人妻の夢と希望がふんだんにちりばめられている作品です。

原作が主婦の友に連載された小説なんで子持ちの人妻がモテモテです。しかも夫が佐分利信で好かれるのが上原謙ですよ!上原謙の男前っぷり爆発してました。

1979年だと思いますが、上原謙の再婚相手と加山雄三一家のことがテレビや週刊誌で話題であった頃、私は上原謙をまじかで見たことがあります。髪の毛は薄くなってましたが猛烈にハンサムでした。いや、ほんと。ただ当時、私も若く上原謙という名前は知ってはいましたが興味もなかった。今思えば「サイン」してもらえばよかったと思います。

あの年齢で(70歳前後)あんなに端正な顔立ちを維持しているおじいさんは上原謙くらいかも。彼が若い頃の映画を見るようになって納得しました。

マスコミやCMではカツラをかぶっていたようですが、毛がなくてもハンサムかげんは変わらなかった、というよりカツラは逆に不自然じゃないかと思います。

 

上原謙

矢野昭(佐分利信)は孤児だった自分を救い、さらに会社の支配人にしてくれた社長の有村(藤野秀夫)には恩を感じている。矢野の妻、嘉子(川崎弘子)は元々有村家に奉公していた女だが社長の計らいで結婚、一男、準一(小島和子)と手伝いの千代(飯田蝶子)と何不自由なく暮らしていた。ところが社長が脅されて脅した相手を拳銃で殺してしまい、矢野は妻子のことを頼んで身代わりとなり異国の地へ。

嘉子に一部始終を話した有村は月々300円の仕送りを約束するが心労がたたったのかそのまま帰らぬ人となってしまった。元々嘉子に気があった社長の息子、恒也(山内光)は嘉子をなんとかしようと矢野からの便りは渡さず、その代わり矢野は死んだと思い込ませる。さらに社長が亡くなったのをいいことに嘉子に生活費は渡さず逆に彼がパトロンとなって嘉子はクラブのママになる。

これまで貞淑な妻だったんですが、なぜかママが板についているような嘉子(笑。

 

そこへ客の一人として現れたのが草間(上原謙)。嘉子の誕生日、ステレオとレコードが店に届く。誰だろうと思う嘉子のところへ恒也が現れ、送り主の草間という男は女たらしの悪い奴だとふきこむ。あの男性かと気づいた嘉子に恒也は自分も誕生日のプレゼントがあるといって嘉子を連れ出した先は一軒家。なんとその家がプレゼントだという恒也(って・・・夢だよね、人妻のw)。強引に襲い掛かろうとする恒也を振り切り、

嘉子は家財道具一式を売って恒也からの借金を返し、実家である漁村へ息子を連れて帰る。

それだけの家財道具があれば恒也に金を出してもらう必要がなかったのでは??というのは考えないこととして(;^_^A。

嘉子の美貌を映画界で発揮させようと(と思ったのか知らないが)ある晩草間が映画会社社長を伴ってクラブを訪れたがそこにいたのは別な女だった。

 

漁村には父がひとりで暮らしており、嘉子はしばらく平穏に暮らす。網元の幼馴染の虎一(笠智衆)が嘉子を嫁に欲しいと言い出し、嘉子の父も悪い話ではないというが嘉子は嫌だった。村の和尚(上山草人)は嘉子の夫は生きていると言い、その気になった嘉子。和尚はそのまま村を去るように手配して彼女はまた東京へ帰り、手伝いの千代の家へ。しかし千代の家にいつまでもいるわけにもいかず、準一も病気となったので芸者置屋に身を置き、芸者になるが有村社長を脅した男の弟分だという近藤(河村黎吉)に言い寄られる。置屋の女将(岡村文子)からは嫌なら借金2900円をその場で返せと言い出す。そんな借金はした覚えがないという嘉子だが着物代やらなにやらが全て嘉子の借金であった。

(そんなことも知らない嘉子!)

一方、草間は嘉子が人妻であることを知り、傷心のままアメリカへ旅立つ。その前に嘉子あてに3千円の小切手を千代に託すのだが、千代が落としてしまった。

良い人があるものでその小切手は警察へ届けられたが草間の母(二葉かおる)が嘉子宛だから千代には渡せないと小切手をもっていってしまった。

ここでお金持ちの草間の母が二葉かおる・・・というのは配役ミス?。

嘉子と共に草間家を訪れた千代が小切手をもらおうとするが草間の母はそんな小切手は捨ててしまったというではないか!

置屋の借金が返せると私もかなりホッとしましたが、そーきたか!(笑。

 

書いているうちになんか話が前後しているような気もしますが、嘉子の美貌によって逆に嘉子が苦しめられるというなんとも皮肉な展開。

ここで嘉子に想いを寄せる男性を書くと

夫 佐分利信

山内光(社長の息子)上原謙笠智衆、河村黎吉。夫以外少なくとも4人の男性から追いかけられる人妻!

川崎弘子・笠智衆

川崎弘子・山内光



三宅邦子は有村家の娘役でフランス帰りという設定。元々草間(上原謙)の婚約者だった。

彼女はそのお色気で上原謙と佐分利を篭絡しようとするが上原には、また振られ、佐分利を待つホテルには佐分利は現れないという設定。それにしても三宅邦子ってこういう役もしていたんだ。

 

三宅邦子上原謙

以下、上原謙の美男子ショット

上原謙

上原謙

後編では佐分利信がまるで聖徳太子みたいな髭面で登場。

幼い息子役は小島和子という女の子で、高峰秀子も幼い頃は男の子役もしたと言っていたのを思い出しました。

 

乙女ごころ三人姉妹 1935年 P.C.L

 

監督 成瀬巳喜男 脚本 成瀬巳喜男 原作 川端康成

出演 堤眞佐子 細川ちかこ 梅園龍子 林千歳 松本千里 三條正子 松本万里代

   三島雅夫 藤原釜足 岸井明 大川平八郎 滝沢修 

 

堤眞佐子・細川ちかこ

このところ勢古浩爾氏の書籍にはまっています。あれだけ言えたらスカッとするだろうなぁ~~。

さきほど「自分がおじいさんになるということ」という本を図書館で予約しましたが、考えてみると高齢者本を書いていおられる女性高齢者の偉い先生方の本に「おばあさん」という題名がついていたのを私は見たことがないです。最近は昔ワイドショーのコメンテーターでよく見かけた樋口恵子氏が高齢になって、出版した書籍を本屋で目にすようになったけれど「ヨタへろ」ではあっても「おばあさん」ではないらしい。女性の表現で多いのは「老い」が多いけれど、老いていても「お婆さん」ではないと絶対思ってるよね。

形容詞で「素敵な」とか「おしゃれに」とかついてるもん。

 

その点、まだ読んでいないが、勢古氏の「おじいさん」本の中身にはかなり期待している。

最近借りた「まれに見るバカ」本を読んで、単に著者の経歴だけでひれ伏して(東大卒とか、○○大学教授とか、世間一般でいう有識者の方々)彼ら、彼女らのの言っていることがなんだかわからない自分を責めていましたがあっちが「〇〇」だったのか!と教えてくれたのも勢古氏です。

 

久々のP.C.Lです。

川端康成に気に入られた梅園龍子が出演していますが、水谷八重子と同じレベルのセリフの棒読みっぷりと声がよくない。よかったのはやはり堤眞佐子で、梅園龍子のすぐ上の姉役なんですが実年齢は堤眞佐子のほうが2歳年下の1917年生まれ。ただあの外見だと洋風な梅園龍子がレビューの踊子というのは納得だし、愛嬌のある顔立ちでひたすら優しい娘を演じるのは堤眞佐子ですね。

 

門付けをして母と生活しているお染(堤眞佐子)は養女(と言っても稼がせるための養女)、お春、お島と夜な夜な浅草の街へでて稼ぐという毎日。姉のおれん(細川ちかこ)はそんな生活が嫌になったのか浅草の不良とつきあうようになり、その後小杉(滝沢修)というピアノ弾きと一緒になってどこかへ行ってしまった。

妹の千枝子(梅園龍子)は深川の料理屋の息子?の青山(大川平八郎)に見初められふたりはよく浅草でデートする。母は千枝子だけは門付けにせず好きなことをやらせていて彼女はレビューの踊子だ。(これが映画冒頭、千枝子の口から語られる)

 

夜の街で酔い客から歌わせてもらって金をもらうのはたいへんだ。

カフェーでは女給から嫌がらせでわざとステレオの音を大きくさせてお染が歌って稼ぐのを阻まれたり、お酌しろと言われて三味線を壊されたあげく店から出ていけと言われたり。このシーンでは酔って口説こうとする客(岸井明)に啖呵を切って店の者からたいがいにしろと追い出されるときのお染の不敵なふてくされたような笑みのシーンが良かった。

他の娘たちは稼いだ小銭で本を買ってしまったり、食べ物を買ってしまったりする。

年ごろだから仕方がないが折檻してやるという母に意見するのもお染だ。

 

ある日、千枝子から姉のおれんを田原町で見たと聞いたお染。

なんと浅草の松屋の屋上で姉と再会し、その後の姉の生活をきく。

一緒の小杉は胸を悪くして、二人は小杉の故郷へ帰るという。汽車賃がないので浅草の知り合いに融通してもらおうと思って浅草に来たという姉。

 

ところが姉の仕事は千枝子と青山がいるところを偶然目撃し、青山を強請って金を取ろうと画策するためにある店に呼び出すという仕事だった。

青山という男が自分の妹の結婚相手とは知らず、まんまと呼び出しに成功したおれんはそのまま姿を消し、小杉のまつ上野駅へ。その夜、彼らは旅立つのだ。

反対の建物から部屋の様子に気づいたお染。なんと千枝子の恋人の青山が不良に脅されている様子をみて割って入った瞬間に不良から刃物で刺されてしまう。

おどろいた青山は医者を呼ぶと言って店をでるが、おれんがいる上野駅に見送りに行きたいとそのままタクシーで上野駅へ。お染を見ておれんは顔色が悪いというがお染は大丈夫だといい・・・

 

可哀そうなシーンばかりではなく、

青山が妹の恋人とは知らない時に浅草で鼻緒が切れて困っていると通りがかった青山からコレお使いなさいとハンカチを渡されるが私ももっていますからと断り自分のハンカチを出す。いい人♡♡と青山の後ろ姿を見届け、自分のハンカチを使って鼻緒を直すかと思いきや懐にしまい、ハンカチは使わない。

とか、

お染が晴海?月島?築地?あたりでアンパンを食べていると、大学生が写真を撮らせてくれと寄ってくる。お染はポーズを撮って応じるが大学生が去った後、鏡で自分の顔を見ると頬に食べ物のカス?がついている。もう一度写真を撮りなおしてもらおうとするが彼は遠くへ行っており、ま、いいか!な顔。

 

近所の悪ガキが彼らの家の外から門付けをバカにするようにはしゃぐ。そこへ気の強い千枝子が箒をもって仁王立ち。こういう格好って昔のサザエさんのマンガで見たような気がします。

 

ポーズを決めるお染(堤眞佐子)

昭和10年ごろの浅草の様子が映されているが、映画冒頭でやたらとカメラが右、左、と動かしているのはまるで素人のビデオ撮影みたいで非常に見にくかった。

浅草六区

二天門のある通り

火の見やぐらのある同じ場所に消防署の出張所がある






門付けの娘

 

 

細雪 1959年 大映

監督 島耕二 脚本 八柱利雄 原作 谷崎潤一郎

出演 京マチ子 山本富士子 叶順子 轟夕起子 信欣三 山茶花究 川崎敬三

   根上淳 菅原謙二 浦辺粂子 三宅邦子 川上康子 船越英二 村田知栄子

 

 

大映版 細雪。新東宝細雪はユーチューブであっぷされており過去に記事にしましたが画質が良くなくて見るのがつらかったです。

これはカラーで画質もよく出演者の着物もよくわかり満足ですがなぜ4人姉妹なのに長女の轟夕起子がジャケットにいないのか不明でした(笑。

妙子が嵐の中、救出してくれる板倉という男性が実は妙子のお金目当てだったというくだりは新東宝ではあったけ? これは脚本だけなんでしょうかね。ただ脚本は同じ八柱利雄です。

 

鶴子(轟夕起子)、幸子(京マチ子)、雪子(山本富士子)、妙子(叶順子)の4姉妹。元々船場の旧家に生まれたが時代が代わりその家も売ることになった。

鶴子は婿養子の銀行員、辰雄(信欣三)の転勤で東京へ行き、芦屋に住む会計士でやはり婿養子の夫(山茶花究)をもつ幸子(京マチ子)は鶴子と東京へ行くのはいやだという妹の雪子(山本富士子)と同居。妙子(叶順子)は人形制作で姉妹の中で唯一独立した女性だがボンと呼ばれる放蕩息子、奥畑(川崎敬三)と付き合っている。

姉ふたりの心配は雪子の結婚のことだ。

奥ゆかしい雪子は過去何遍かお見合いするがうまくゆかない。それは雪子の問題ではなく蒔岡家という家の問題であるのだ。

 

東宝と違うのが、板倉(根上淳)が実は妙子のお金が目当てであることを板倉の死後妹(川上康子)が姉に告白にくること。

え~~~~と思いました(;^_^A。

 

東宝では轟夕起子が二女の幸子役でしたがここでは長女となり、ボンの家に仕えた老女は同じ浦辺粂子

東宝より良かったのはボン役の川崎敬三。なかなかのはまり役でした。

 

雪子は一度お見合いした橋本(菅原謙二)の2度目の誘いに応じてうまくいくかと思いきや妙子の件で仲人から断られてしまう。新東宝では誘われるが一度しか会ったことがない人とデートはできないと言ってるうちにその話がなくなる。

お話し的には大映のほうが面白いし、地味過ぎる山根寿子より華があるのに地味な山本富士子のほうが映画的にも見ごたえ十分でした。

 

この大映細雪ではロケ地の関してのブログもありました。私は関西はわからないのですがロケ地探訪好きな関西人は面白いだろうなと思いました。

 

 

 

赤い天使  1966年 大映

監督 増村保造 脚本 笠原良三

出演 若尾文子 芦田伸介 赤木蘭子 川津祐介 

 

映画.comより

まだアマゾンプライムビデオもなかった頃、大映映画にはまり、結構な数のDVDを買っていた。日本映画を紹介する本なども購入し、この作品も欲しいなぁ~若尾文子だし!と思っていた。

基本、戦争をベースにした作品は記事にするのは気が重い。なにせ軍隊の階級もよくわからないし私ごときが戦争を語っても良いのか?と思うから。

 

だけどね~~、ナニコレ?戦争に名を借りたエロ映画としか思えないんだけど。

もちろん、若尾文子がポ〇ノ女優みたいに脱ぐわけではないが。(代役あり)

この作品を高評価された外国人もいたようで海外でも人気が高く、日本の2015年の若尾文子の映画祭において第2位(1位はしとやかな獣)にランクイン(wikiより)されたという。

ふ~~~~ん。そーなんだ~。

評論家のローゼンバウムなる人は「気難しい人やポリティカル・コレクトネスに縛られている人には勧められないが、云々」そう、それ私(笑。

極限状態における男女の愛はいいけどさぁ。私からするとなんだこれ?な作品でした。

極限状態である男女の愛が凄すぎて、

① 天津に送られた看護婦の西さくら(若尾文子)は深夜の見回り中、兵隊たち数人に犯されてしまった。その後、婦長(赤木蘭子)に報告すると彼らの犯行はこれで3回目で(え?)もう勘弁できないと前線へ送られる。

その後、西が移った分院で彼女を襲った兵隊が運び込まれる。彼は西に死にたくないと懇願するが、出血がひどい。岡部軍医(芦田伸介)に輸血を頼む西だが、輸血は特別な者しかできない、それでも輸血して欲しければ夜、自分の部屋へ来いと言われる。

なんとそれを承諾し、兵隊は輸血されるが結局彼は死んでしまう。西は彼を死なせたのは前線に送ることになった原因を作ったからだと自分を責めるのだ(え~~~~オカされたのに??w。

 

② 次々と運ばれてくる兵隊。なにもかも不足している病院では負傷兵の腕や足を切り落として生かすほか方法がない。岡部軍医の措置によって両腕を失った折原一等兵(川津祐介)。彼の身体を拭き、世話をする西に彼は男性の欲求を訴える。

西は彼の要求に応え、さらに彼を街中のホテルに連れて行き・・・

って(;^_^A。

折原は自分は幸せだというが、病院の屋上から身を投げて死んでしまう。

そして西は彼を殺したのは自分だと思うのだ(え?

 

③ 日ごろからモルヒネを注射して中毒となっている岡部軍医。すでに西は岡部に惹かれている。前線に近い部落に送られた岡部と西はそこの慰安婦コレラを発症したのを皮切りに次々と発症者が激増していく。まず3人いた慰安婦全員の隔離を行うがそこへ欲求を爆発させた兵隊がまだ元気な慰安婦を寄越せと押しかけ、あげくに西の後輩の看護婦に襲い掛かるw。なんなんだ??夜になり敵が襲って来るので兵隊たちは待ち構える。そんな中、指揮官もコレラを発症。

岡部軍医の部屋。モルヒネ中毒で男性としての機能が果たせない岡部のために西は岡部を縛り中毒症状を我慢させる。すっかりモルヒネが抜けた?岡部は西の奮闘もあって(笑、二人は結ばれるのだ!って え??どーせ死ぬんだからが前提なんだけど君たち、そんなことしてていいのかね。岡部の部屋へ入り浸る看護婦ってどーなの?

最後にふたりはお互いの身体にキスマークをつける(ひゃ~~~~)。

 

まぁ、設備もない野戦病院?で手足を切り落とすしかなかった医師や手足がなくなった兵隊は日本に帰国してもその姿を見た国民が戦意を消失しないように家族の元へ帰ることが許されない といった話は本当なのかもしれません。もちろん戦地だからといっても男性の欲求もあるでしょう。ただ男女の出来事のシーンが多すぎて、同じく大映の「野火」のような映画を期待していた私には???な作品でした。

確かにこの映画の若尾文子は男性には天使なんでしょうが。この映画の題名は正しい(笑。

日本映画界が斜陽になった一因に女性客の存在を忘れていたというのもあるんじゃないですか。その後、ヤクザ映画全盛になりましたがどれだけの女性が見に行ったんでしょうか?

それにしても当時、アベック(古)でこの映画を見に行ってしまった人たち、喫茶店でどんな話の展開になったのか?恋人(女性)の反応が非常に気になります。

 

関係ないですが、西さくらが自分のことや婦長、軍医から呼び捨てで「ニシ」と軍隊風にいうんですけど「イシ(石)」と聞こえて仕方がなかった。

 

手足を切った兵隊さん。私が幼稚園の頃は(1960年代中期)池袋東口あたりに、一人はアコーディオンを弾いていて(片足なし)、もう一人はなにか腕立て伏せみたいな恰好をしていた(両腕なし)包帯姿のおじさんが募金箱を置いていました。母がなぜかよく私に募金箱にお金を入れてこいというので恐る恐る(その人たちが何者なのかもわからない)お金をいれたのを覚えています。その後、偽の兵隊さんたち?も現れたようですが、いつの間にかそういった人たちは見かけなくなりました。

 

movie walkerより