日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

大学の若旦那  1933年 松竹蒲田

監督 清水 宏 

出演 藤井 貢 三井弘二 徳大寺伸 水久保澄江 坪内美子 坂本武 斉藤達雄

   逢初夢子 若水絹子

 

醤油問屋の若旦那は大学のラグビー部に所属し、学生生活を楽しんでいる。

妹が二人いて、坪内美子は斉藤達雄と結婚し、水久保は丁稚の徳大寺伸と将来結婚して店を手伝うことと水久保以外の家族は皆思っている。

徳大寺には舞妓の恋人がいるが、その舞妓は若旦那(藤井貢)のファンで、席に呼ばれるようになり、それを知った徳大寺は、若旦那のためにあきらめようとする。

 

ある日、舞妓がラグビーを見に行きたいと言うので、若旦那は妹のセーラー服を嘘ついて借り、それを着させて大学へ連れていく。間が悪いことにそこに妹たちが「にいさぁ~ん」と言いながら来てしまう。

坪内と結婚した斉藤と一緒に座敷へあがると、斉藤と付き合っていた芸者が絡んできて、徳大寺の恋人だった舞妓のことを話す。

 

姉や兄から将来は徳大寺と一緒になるのだから・・と言われるたびに困ったような、悲しいような顔をする水久保。ある日、兄に徳大寺は兄さんのために舞妓を諦めた、だからにいさん、もうあの舞妓とは会わないでという。

それを知った藤井、舞妓からの電話や誘いに応じなくなる。

そんなある日、フレッシュマンの三井弘二が自動車事故に合い、入院。その入院先でレビューの踊り子をしながら弟、三井を大学へ通わせている姉、逢初夢子と会う。

その後、藤井はレビューへ通いだす。

 

ラグビー部ではレビューの踊り子なんかと付き合っている藤井は退部にさせた方がよいなどと言われ、結果、退部となる。

それを聞いた三井は、姉を責め、アパートに訪ねて来た若旦那にもう、ここへは来ないでくれという。

 

しかし、若旦那のいない部は弱い。試合に若旦那をだそうという意見でラグビー部へ復帰した若旦那。そこへひっそり逢初も見に行く。

 

無声映画なのだけれど、途中で音楽が入ったり、応援団などが拍手するとその拍手の音が入る。舞妓が若旦那に電話する場面でも後ろで三味線を弾いている芸者の三味線の音や電話のベルが挿入される。

最後は試合のアナウンサーの声も挿入されていて、トーキーになるのも間近なことがわかる。

 

若旦那役の藤井貢という人、河原崎長十郎のような雰囲気の人で、「泣き虫小僧」にでてくる栗島の妹の夫もこの人だと知った。