日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

暖流 1957年 大映

監督 増村保造 脚本 白坂依志夫 原作 岸田国士

出演 野添ひとみ 根上淳 左幸子 村田知栄子 船越英二 小川虎之助

   品川隆二 叶順子 山茶花究

 

この映画は数本ある。そのうちのひとつ。

病院の再建に来る根上淳は看護婦である左幸子の協力をえて病院の内部のことを知る。

 

病院の娘の野添ひとみ。鎌倉の別荘を訪れた根上は野添をみて好きになってしまう。

しかし、野添は病院の医師である品川隆二と婚約する。

病院の息子が船越英二だが、病院の借金を返し、亡き病院長の後妻、村田知栄子と野添ひとみの生活のため、船越に意見したりして仲が悪い。

船越が当時流行った?メケメケの唄を呑気に歌ったりしている。

 

日経新聞に4回ほどの連載で息子の船越英一郎が語ったことによると、父、英二のあの声は作った声であり、普段は全く違うのだと言っていた。

鼻にかかったちょっと高い声は、作った声だったんだぁ。

その声とこの映画の役柄がぴったりだった。

 

品川と婚約した野添は、ある日根上が品川の素行調査の結果を知る。

品川にはモデルの恋人がいて、一度別れたが、また付き合いだしているという。

野添がそのモデルのアパートに行くと、品川が訪ねてくるが、野添は結婚相手でこのモデルとは遊びだから・・・などという。

 

婚約は破棄となる。

根上は左の愛情に気づくが、もう、左にスパイなんてしなくてよいと伝え、君とはつきあえないという。そして野添にプロポーズする。

ある日、病院を辞めさせられた男が、根上に嫌がらせをする。

左はあえてそのグループに入り、負傷した根上に献身的につかえる。。

そして根上はそんな左の愛情に応え、ふたりは結婚することに。

 

え?

え?

えーーーーーーーーーーーーっ!

野添も根上もふたりともまんざらでもない感じなので、まぁ、ふたりはめでたく結婚で終わるのか・・・と思ったけれど、左を受け入れたことにびっくり。

左は今でいうストーカーな女だし(笑、こんなしつこいのと結婚したら大変じゃない?

 

村田知栄子が、野添の実の母なのかは最期まではっきりしなかった。

船越とは違う母親であることはある場面で船越がそのことを言う。

 

病院経営をうまくいきだし、根上は管理者陣から追い出されることになる。

ある日、根上が村田に息子の船越には注意するように(お金をとられないように)と忠告に行く。野添と根上が海岸を歩く。

そこで野添が根上のプロポーズを持ち出し、結婚しても良いと伝えるが、時すでに遅し・・・お返事が少し遅すぎました、僕は左と結婚することにしました

なんて言われてしまう。

あんな可愛い野添ひとみを振って、、左と?(笑。

この映画では野添はアメリカに留学し、大学院へ通う女性を演じている。

根上との結婚がなくなった野添。

大船の貸別荘に帰ると村田が夫の墓参りをしたいと言い出す。

そこで野添が私もお父さんにオールドミスになるという報告をしなきゃ・・なんていう(笑。

 

左幸子の一途さは凄かった。それだけ彼女の演技が良いのだろう。。だからこの映画の左の役柄は嫌いだ(笑。

 

1930年代につくられた映画もみてみたい。