日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

女優と詩人 1935年 P・C・L

監督 成瀬巳喜男 脚本 永見隆二

出演 千葉早智子 宇留木浩 藤原釜足 戸田春子 三遊亭金馬 三島雅夫

 

月風(宇留木)は売れない詩人。妻の舞台女優、千葉早智子の稼ぎで暮らしているも同然。家には芝居仲間が2階で集まり、稽古している。

月風はタバコを買いにいくよう命じられる。煙草やの2階に下宿しているこれも売れない小説家の藤原釜足が下宿賃を払えず、夜逃げするところに出くわす。

女優の妻に代わって食事を作る月風に近所のおばさん(戸田春子)がいつも偵察にくる。おばさんの亭主は保険の勧誘をしている。

ある日、隣に若夫婦が引っ越してくる。引っ越しそばはまだか・・なんていうおばさん。亭主に保険の勧誘に行けといい、亭主(金馬)が行くと保険に入ってくれる。

ところがその若夫婦が心中を図り、こんなんじゃ、たいへんだ!と大喧嘩。

月風は友人の藤原を間借りさせようとするが(というか、藤原が押し掛けてくる)妻は大反対。誰のおかげで暮らしているの?などと言われ、ここでも大喧嘩。

 

この映画での千葉早智子、メークのせいか着ているのモノのせいか美人じゃない(笑。

だけれど、千葉が夫を「げっぷう~。」と呼ぶ声が響いてなんだか美しい。

そもそもあの時代に夫を呼び捨てにする妻はめずらしい。(と思う)

 

すったもんだのあげく、千葉は「もっと妻らしい妻になります」と言ってハッピーエンド♪♪

千葉の「げっぷぅ~♪」が忘れられない映画。

宇留木浩という人、初めてこの映画で知りました。WIKIによると、細川ちか子が実の妹で、横田豊秋という名前の監督でもあるという。1936年没。享年33歳。