日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

続々 十代の性典 1953年 大映

監督 佐伯幸三 脚本 須崎勝也

出演 若尾文子 南田洋子 嵯峨美智子 小田切みき 三宅邦子 根上淳 

   入江洋佑  藤間紫 長谷部健 菅井一郎 丹阿弥谷津子 中村伸郎 

   伊藤雄之助 三津田健

 

十代の性典の中ではこれが一番面白かった。

南田洋子は母、三宅邦子と二人暮らしで2階に従兄の医学生根上淳が居候している。

南田は根上に対して恋心がある。を

ある日、学校で嫌なことがあり、家に帰ると、母と中村伸郎が一緒におり、キスしているところを目撃してしまう。

そのまま家には上がらず、雨の中、駅で腕時計を拾ってあげた大学生、長谷部健のアパートを訪ねる。彼とは、腕時計を拾い、渡した日にアパートへ誘われ、無理やり唇を奪われてしまった。

多分、このシーンが教育関係者やマスコミに叩かれることになったのではないか・・。

それまでの映画では唇があわさるシーンを映したことはなかったらしい。

1950年?に久我美子の窓越しの接吻が話題になったが。

 

アパートで長谷部にお酒を飲まされ、乱暴されてしまった南田。

かたや若尾は入江洋佑という男友達がいる。彼らはまだ幼く、入江はここでも拗ねる役だ。しかし、若尾にデートをすっぽかされた日、藤間紫の部屋で猛アプローチされ、関係を結ぶ。

 

南田は・・・妊娠してしまい、悩む。小田切みきらが南田は不潔なことをしているだの、八百屋のおばさんが、南田の胸は妊娠している胸だと言っていたとか責めるが

なにかと優しいのは嵯峨美智子だ。

山田五十鈴と月田一郎の娘、すらっとしていて顔が小さくて可愛い!

彼女になにがあったのか知らないが、東南アジアで客死したことがニュースになったのは覚えている。映画で彼女をみたのはこれが初めて。

セリフもうまく、実にもったいない人だ。

 

田切らに責められ、南田は睡眠薬?を飲んで自殺をはかる。

そこへ帰ってきた根上。

慌てて彼女を診察しようと服を脱がせ、乳房を見て彼女が妊娠していることを察する。

(彼は産婦人科?専攻?のようで本棚には産婦人科系の本が並んでいる)

吐かせるために飲ませる薬。気絶しているので口移しで飲ませる。

そこでもかなり長い間唇があわさるシーン(笑。

 

根上も南田のことが好きで将来結婚を考え、卒業論文は近親結婚にしようと色々調査している。南田と根上はいとこ同士なのでそのことは彼にとっても重要だ。

 

結局、南田は流産?してしまう。

根上は若尾に仮に彼女が赤ん坊を生んでも結婚しようと思っていたと告げる。

 

卒業式の日、校門の外から南田が覗く。それに気づいた若尾と嵯峨は南田に卒業式にでるように勧め、校舎では小田切みきが手を振り、最後は自分の非礼をわびる。

最初の十代の性典より未来を感じる終わり方でした。

 

ところで南田洋子、私は日活の女優さんだと思っていましたが、大映に入社したのが最初なのですね。そして太陽の~に繋がっていく。

 

若尾文子、まだまだ子供っぽいけれどその3年後の赤線地帯での成熟ぶりにはビックリ。

 

この十代の性典シリーズ、すべて1953年なんだけど、すごいスケジュールで撮ったのですね(笑。