日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

ハイティーンやくざ  1962年 日活

監督 鈴木清順 脚本 吉村望 奥園守

出演 川地民夫 松尾嘉代 杉山俊夫 初井言栄 松本典子

   山田禅二 佐野浅夫 原恵子 上野山功一 高品格

 

処刑の部屋でゲンナリし、川地民夫の日活映画はあまり見たくもなかったけれど、

見るものもないのでアップされているのも保障がないし昨夜見てみました。

 

題名と川地民夫、そして鈴木清順だから高校生がヤクザになった暴力映画だと単純に思った私。

しかし、意外に良かった(笑。

川地民夫は大学受験?を控える高校三年生。姉は銀行員と結婚予定で、母(初井言栄)は喫茶店をやろうと家を改装している。その改装する工務店の親方が山田禅二で、彼がこんなに長く映り、台詞も結構ある映画は初めてみました。その息子は川地と同い年で幼馴染の杉山俊夫。彼、なんだか見たような顔です。でも初めて名前を知りました。

いかにも昔の映画に出てきそうな顔をしてます。その後はやはり時代劇へ出演したのでしょうか。

ある日、同じ高校の同級生の父(佐野浅夫)がやっている町の中華そばやに川地がいると若いチンピラがお金を払わず出ていく。しかし佐野は仕方がないとあきらめてしまう。

それを見た川地は同級生の杉山とそのチンピラと喧嘩する。しかし、杉山が足を刺されてしまい、それを聞いた親方の山田禅二は慌ててスクーターで息子の刺された場所hw向かう途中、ダンプにはねられて死んでしまう。

(出番がたくさんあったのに、結局すぐ死んでしまうのね山田禅二 笑)

その結果、工務店の資金繰りも悪くなり、杉山も足を刺されてビッコになってしまう。

杉山が川地に「チンバになった自分 うんぬん・・」というセリフがあるが、今はビッコもチンバも使っちゃいけない言葉でしょうね。私が子どもの頃は普通に言われてました。

 

杉山は改装したお金を払ってくれるように改装を手掛けた人達(川地の母親も含む)に

頼んで回るが、子供だと思って甘く見られたのかみんななかなか払ってくれない。

妹の松尾嘉代も高校をやめるはめになり、酒屋で働きだす。

 

杉山が売掛金回収で困っていると知った街のヤクザ?上野山功一はうまく杉山に取り入って、組?に入ることをすすめ、回収もしてやるという。

 

商店街では我が物顔のチンピラをある日正義感にかられた川地が叩きのめす。

すると商店主がお礼だといって金品を与えはじめ、川地は自分が街の役に立っていると思う。まわりの同級生もアニキといいだすが、川地は俺はヤクザは嫌いだといって一緒に行動はしない。

こんなところが意外にえ?と思うところで、川地は自分が英雄気取りでもなくみんなのためだけであって決してヤクザとか徒党を組んでというふうにはならない。

 

本当は商店主も川地にお金を払いたくて払っているわけではないが、それは川地は気づかない。

ある日、刑事が来て川地は恐喝で逮捕される。刑事役は高品格。釈放された川地は

同級生が出所祝いをやろうと待っているが断るがその足で行った中華料理店の店主から

出所祝いの奉加帳が回ってきて払ったことを知る。

他にも何件もお金をださせたと知った川地はその店主に借用証を書いて渡そうとするが、洋品店では返してくれなくていいからもう来ないでくれと言われる。

 

大方売掛金の回収が終わった上野山は杉山ももういらないし、川地はジャマだからと

組に杉山に会いたいと来た川地を会うのを嫌がる杉山に行ってこいと言い、そっと杉山の胸ポケットにナイフをいれてやる。

その後、組で二人ともこれでケリがつくと笑っているところへラーメンの出前に来た浅野が聞いてしまう。

 

杉山は人気のない雑木林?野原?へ川地を誘い、川地に組を抜けてくれと言われるが

喧嘩になる。そしてナイフをとりだすが、川地のほうから突進して川地は足を切られてしまう。

そこへ浅野がかけつけ、組はお前を利用しただけでもうお払い箱にしようとしてるんだという・・・ハっと気づく杉山。

 

川地は最初から最後まで友達を助けようと奔走する。

 

それまで川地民夫の映画は「黒い太陽」くらいしか見たことなかったのでやはり処刑の部屋のように反抗する物語だとばかり思っていましたが、純粋にいい人を描いてました(笑。

 

鈴木清順というと肉体の門とか高橋英樹の映画の監督くらいしか知りませんでしたが、

何年か前に8時間の恐怖という白黒映画を見てうまい人だなぁと思ったことがあります。この映画もなかなか洒落ていて(カメラワークが)、でも挿入されている音楽は

ちょっと・・・まぁ、会社の命令でしょうか(笑。

 

鈴木清順の存在すら知らなかった昔、たまたまNHKのドラマをみて加藤治子と一緒に車で旅をしながら老後を過ごす夫の役をしたおじぃさん、誰だろうと思っていましたら

それが鈴木清順監督だというのを知ったのもそれから何年も経ってからでした。

ロケーションの場所も凝っていたりしてかっこいいです。