日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

雪崩   1937年 東宝

監督 脚本 成瀬巳喜男 原作 大佛次郎

出演 佐伯秀男 霧立のぼる 汐見洋 英百合子 江戸川蘭子 丸山定夫 三島将夫

   生方明

 

成瀬巳喜男が脚本を書いた作品。時間も50分くらい。

 

霧立のぼるはお金持ちの家のお嫁さんで、姑は英百合子。最初は姑が嫁をいじめる物語かと思いましたが(笑、霧立が7年前を回想するところから始まる。

7年前、佐伯秀男は霧立のぼると名古屋へ逃げ(多分)、そこで霧立の父(丸山定夫)に結婚するという手紙?電報を書く(ように 霧立に言う)。

お城が映るが最初、どこ?と思いました。(あとで名古屋城だとわかりますが)

 

当初、佐伯の両親は同じお金持ちの娘、江戸川蘭子と結婚してもらいたいと思っていたが、霧立も従順で優しい嫁なので気に入られる。

しかし・・・夫の佐伯は霧立に飽きてしまい、幼馴染の江戸川蘭子とやはり一緒になりなたいなどと父にぬかす!(笑。

父は、霧立はいい嫁だし、お前は社会の一員で責任をもたなければならないと諭すが、佐伯は愛がない生活はお互いのためにならないなどという。

 

霧立は、夫が日曜に自分をおいて江戸川と遊びに行っても黙って家で待っている。

汐見は、息子が会っている女性(江戸川)だと気づくが、霧立は鎌倉のお友達だそうですと言って、実際知らないらしい。

 

そんな霧立をおもんばかって、ある日息子と銀座(多分)で食事をした帰り、霧立に

何か買ってあげなさい、お金は私が払うからと言うが、息子はそんな必要はありませんなどという。

結局、佐伯は霧立のために綺麗なお財布?バッグ?を買って帰り、霧立はそれを舅の汐見に見せ、幸せそうな顔をする。

 

それでも息子の佐伯は江戸川と会うのをやめない。

江戸川も過去、汐見から息子と結婚して欲しいと言われたことを思い出し、

せまる佐伯に心が揺れる・・・。

 

ある日、江戸川の弟が(多分)療養している別荘へ行くと、弟が姉さんが佐伯と結婚しなかったのは僕のせいじゃないの?などと言われ、ますます心が乱れる。

そこへ佐伯が会いに来る・・・。

 

ある晩、佐伯と会って自宅へ帰ると(ここもすごいお屋敷)佐伯の父、汐見が待っていた。どうか佐伯のことはあきらめてくれという。そこへ佐伯が!

 

お互い言い合いになるが、父はもし、霧立と別れるなら(多分)自分のお金や財産は渡さない・・というようなことを言う。

すると、、佐伯が「よござんす、嘘つきになりましょう。」という。

(嘘つきとは、愛のない結婚生活を送るということ)

だけど・・・「よござんす」って(笑。お金持ちで洋風な生活をしているのに、「よござんす」って・・・(笑。

 

佐伯は霧立を誘って名古屋へ行く。

名古屋で心中してやろうと思っているのだが、薬局で毒薬?を買った帰り、

霧立さえいなくなれば・・・霧立をうまいこと言って死なせて自分は生きて江戸川と結婚すれば万事うまくいくと考える。

霧立に一緒に死のうというが、心の中ではうまく説得しなければ、もう一押しだと思っている

この場面はドキドキしました。

従順で人を疑はない霧立は納得するが、その様子を見た佐伯、やはり毒薬を飲ませることができない。

 

舞台が変わって由比ヶ浜(多分)で江戸川と弟が犬を散歩させている。

弟がねえさん、しばらく外国でもいってみたら?というと江戸川は大丈夫、私は普通に暮らすから・・みたいなことを言ってここで終わる。

 

なんだか尻切れトンボでこの終わり方??と思いました。それに江戸川、特に生方明のセリフが棒読みで思わず笑ってしまいました。

 

成瀬巳喜男はセリフをどんどんカットしてしまう監督だと聞いていましたが、これはなんだ渡る世間は鬼ばかりみたいにセリフが長かったです(笑。

 

大佛次郎の作品ですから、これは小説を読みたい、そうすればもっとよくわかる物語だと思いました。