日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

真昼の暗黒  1956年 独立映画社

監督 今井正 脚本 橋本忍

出演 草薙幸二郎 松山照夫 内藤武敏 左幸子 夏川静江 飯田蝶子 北林谷栄

   山村聰 菅井一郎 山茶花究 加藤嘉 殿山泰司 織本順吉 下元勉 

   浜村純 戸田春子 芦田伸介

 

ここのところ毎日アップされるので突然消えてしまう前に((;'∀') とにかく見たことのない映画を選んでみている。

今村昌平の「赤い殺意」はDVDで所有しているので昨日、また観てみようと思っていたが、前から観たかった「真昼の暗黒」がアップされたので早速視聴。

 

今井正監督は知っていたが、脚本が橋本忍だったので絶対におもしろいだろうなぁとワクワクしながら見た。

期待通りでした。

 

八海事件が元で、正木ひろしのベストセラー「裁判官ー人の命は権力で奪えるものか」を原作としたとあるが、橋本忍によると「あれ自体は映画にならないね」と正木の著書に関して述べたという。

詳しくはwikiで(笑

 

松山照夫扮する青年の単独犯で二人を殺したのだが、警察は単独ではなく複数犯だと目星をつけ、松山の自供(案外スラスラ自供する。ただし、単独で殺ったこと)に納得せずに眠らせない、水を与えない、暴力をふるうなどで松山の知り合いで前科のある草薙扮する青年以下4人を逮捕し、その4人にも暴力を加え無理やり嘘の自白をさせる。

草薙に対する暴力を主に取り上げ、3人の刑事に道場で投げ飛ばされ、殴られ、とうとう自白調書に捺印させられるところは怖かった。

出演俳優陣もなかなかで、飯田蝶子、夏川静江、世間体を気にする夏川の兄役の山村聰、それに犯人とされたひとりの母親、北林谷栄は重要な証言をした巡査(やはり上層部に脅され、嘘の証言をする)、下元勉とは関係がある。北林が営む店に青年たちが飲んでいてそこに巡査の下元が「洗濯物できた?」とやってくる。すると北林が「シャツがほぐれていて治すから夜の11時頃また来てくれ」といい、そのなんとも言えない顔が映し出されるとふたりの事情がわかる。

その場面はまだ何も起こっていないので観客は普通に見ている(と思う)

しかしその時間帯があとで重要な鍵となり、橋本忍脚本は考えぬかれているのだなぁと裁判の場面で感じた。

 

まだ最高裁がある!と叫ぶ最後の場面では浜村淳の看守に取り押さえらるところで終わる。