日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

高峰秀子との二十年  2020年 斎藤明美 草思社文庫

久しぶりの斎藤明美氏の本です。

中身は過去に出版された「高峰秀子との仕事」1と2を合わせた記録もので、私はその1と2は所持していなかったので購入。

4月18日には「高峰秀子おしゃれの流儀」が発売予定でこれは高峰の私物に斎藤氏がエッセイ?説明?を加えた写真集のようです。予約してもよかったのですが、成瀬巳喜男の本、それもかなり前に出版されたものがまだアマゾンで新品で2冊購入できたので後回しにしました。

 

高峰が亡くなって今年で10年が経つし、70代で書くこともやめた高峰(に関する)本だから読んだことのあるものばかりでしたが、斎藤氏が高峰に会ったいきさつが(それまで私が読んだものより)詳しく述べられていたこと、高峰が雑誌に寄せたエッセイそのものと、雑誌の名前や高峰が書くことを決めるまでのいきさつなどは楽しめました。

本の宣伝で秘蔵写真多数とありましたが、??それはどうかな。

私は高峰が雑誌に寄せたエッセイのその記事の写真が載っていたのはよかったけれど、

なにせ単行本なので写真が小さいし、白黒だし(笑。

 

表紙は「高峰秀子との仕事1」の表紙と同じでこれは高峰が70代前半の写真ではないでしょうか。品のある笑顔がいいですね。

 

前にも書いたけれど、私は去年の夏、高峰秀子の家を見に行った。

こんなことは私の人生で初めてのことで、中学生のころ、みんなが御三家(もちろん郷ひろみ以下の御三家 笑)だとか騒いでキャーキャーいっていたり、今でいうアイドルのコンサートへ行くのをシラーっとみていた私には考えられなかった行動なのです(笑。

小学生の時、私が初めてファンレターを書いたのはなぜか(笑 アランドロンで、当時の雑誌には住所が載っていて(アランドロンの事務所だったのか自宅だったのかは記憶にないが、日本の芸能人や歌手だと(多分)自宅の住所だったりした。今なら考えられないけど)

一生懸命書いた手紙を近所の特定郵便局であの外国に出す封筒に入れて出した記憶がある。

よく考えれば、宛名は(多分)フランス語で書いたのかもしれないが、中身は日本語なわけで、それをもしアランドロンが見ても読めないだろうと気づいたのは大人になってからだ((;'∀')。

もちろん返事もこなかった(笑。

ファンレターはその一度だけで、ましてや芸能人の家を見に行くとかは全く関心はなかったし、そもそもそんなに夢中になる人もいなかった。(例えばグッズ買ったり、コンサート行ったり)

 

そんな私がこの年になって高峰ファンになった。

 

斎藤氏の本にも書かれているけど、とにかく色々なファンが高峰邸へ押しかけたらしく、私もその一員になるのだろうか?いや、別に家を見に行くだけだし・・・などと言い訳しながら写真を撮ったりしたけれど、確かに知らない人が自分の家の前をウロウロしたり、写真を撮ってたり、はたまた郵便受けに手紙を入れていったりされたら気持ち悪い(笑。

 

斎藤氏については賛否両論あるようだけれど、母を好きでたまらない娘であることは言うまでもない。

 

ヤフオク高峰秀子のサイン本を探していたら、高峰が書いた私信と共にサイン本(高峰が送ったらしい)の出品があった。

松山の新聞社のある人宛てに書かれた手紙はお礼状だった。

これが高峰の直筆なんだぁ・・・欲しいなぁ・・・

と思っていたらひとりの人が入札していた。

4950円だった。

これくらいなら私も入札してみようかな・・・と思っていたら、その出品者(古書店だった)に連絡をいれた人がいた。

その連絡(というか質問)は誰でも見ることができ、何を質問したのだろうかと思ったら、私は高峰の養女です・・・から始まり、サイン本を売ることは構わないが私信を売ってもらっては困る、(三島由紀夫の遺族の例をだし)ついてはその私信を引き取りたいから連絡してほしい。もちろん購入しても良いといった内容だった。

古書店も応答していた。

 

私がみたときはすでのオークションが終了し、落札者は4950円の値段をつけた人のようだが、果たしてあの私信はどうなったのだろうか・・・。

 

高峰のサイン本はその時点でもう一冊あったけれど、購入者本人の名前が入っていて

多分本屋で並んで高峰にサインしてもらったのだろう。

しかし、それを買う身になればなんだか知らない人 ○○さんへ・・とか(笑 の名前入りの本はどうよ?と思うわけで値段は安いようだった。

 

高峰の直筆は高峰の本でみたことがあったから実物みたいなぁ、欲しいなぁ・・と思ったけれど、

やはりこういったものは遺族がもつべきだと思った。

斎藤氏は高峰と松山善三著作権継承者として頑張っているのだなぁ。

 

多分この先も高峰秀子の記念館なんてできないだろうし(高峰、斎藤両氏の本を読めばそれがわかるし)写真集で楽しむしかないなぁ。

 

斎藤明美氏は高峰から離れたエッセイか小説は書かないのだろうか。

高峰や松山から「書きなさい」と励まされていたということは本に書かれてはいるけれど、それはずいぶん前のことだ。

あれからかなりの時間が経っているけれど。