日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

成瀬巳喜男演出術 役者が語る演技の現場  ワイズ出版 村川英 編 2004年 第2刷

来ました!成瀬本2冊!

まずすぐに高峰秀子 自由に撮らせてもらった成瀬巳喜男作品17本のインタビューのみ読んだ(笑。

誰がインタビューしたのかわからないが、このインタビューの中身は他の高峰本にも載っていたところがあるけれど、例えば高峰が出演作などに特別な思いはないときっぱり言っていたりするのは確かに斎藤氏が言うような高峰そのものだ。

浮雲高峰秀子のための脚本で、高峰が引き受けなければその映画はなかったとも言っています。森雅之高峰秀子コンビだとお客がはいるから、とか、今度ヒデちゃんとなにやろうかから企画が始まったとも言っています。

最後に成瀬との仕事は俳優としてプラスでしたかと訊かれた答えが

「マイナスですね・・略・・・ だから役者もそこでとまっちゃって上手くなりません(ええ!)ただ仕事は楽でしたよ・・・」えええ!

普通ならなんて嫌な女優だろう、と思うところですが、「高峰教」の私には単に本当のことを述べているとしか思えないので不快にはならなかった(笑。

(かなりマインドコントロールされている 汗)

 

ところで、このインタビューの中で高峰が香川京子に言及しているところがあります。

「新東宝へ入ってきたときは真っ黒けな顔をした少女だったが実にお行儀がよくてそれであの人(香川)は残るな(女優として)と思ったんです。」のくだりで私はこの「真っ黒けな顔」という文章に覚えがあった。

それは数日前に一気読みした斎藤明美氏の新刊「高峰秀子との二十年」で

ある女優さんに高峰からの伝言を伝えた・・というところだ。

その女優に真っ黒けな顔だったけど礼儀正しい態度を見てこの子はいい女優になるなと伝えるとその女優は明らかに不快な顔をした。「真っ黒けな顔」が気にくわなかったらしく、斎藤氏は彼女をいい女優だと思っていたが綺麗ごとの誉め言葉だけが欲しい並みの女優だったので落胆したというくだりだ。

 

斎藤氏は高峰からの伝言とあるからたくさんの女優さんとインタビューをした斎藤氏、香川京子とインタビューすると聞いた高峰が伝言をしたのだろうか?

なんだか考えられない。とにかく高峰秀子は映画界に興味がないらしいし、まして女優業も興味ない。高峰の話の中に女優の知り合いとか友達のことは一切(多分)でてこない。

そんな人が斎藤氏と知り合って何年経った時か知らないが、そんな伝言頼むのか?

が第一の疑問。

ただ斎藤氏が伝言をしたと書くからには嘘ではないとすると、その女優が不快な顔をしたのはいくら伝言だからといっても斎藤氏に言われたことに不快だったのではないだろうか。

 

この成瀬本の高峰のインタビューは1996年頃。そして斎藤氏が「ある女優」に伝言したのは1998年頃?だろうか。

成瀬本の最初に高峰が登場し、次が香川京子のインタビューだ。

香川京子は高峰が成瀬本で語った自分のことを知っていたのかもしれないし、あるいは誰かに聞いていたのかもしれない。

 

斎藤氏は成瀬巳喜男の映画に一番でたのはかあちゃんなのにほんの数本でたくらいの女優が成瀬を語るのは納得いかず、高峰になにもしなくていいのか?インタビューも受けないのか?と不満をぶつける記述がある。そしてやっと成瀬巳喜男のことのインタビューに応じてもらったところがあるが、その女優ってもしかしたら斎藤氏ががっかりしたという真っ黒けな顔だった女優?それとも・・・やはり数本でた目の大きな女優のこと?などと・・・空想してしまった(笑。

 

最後に・・・

たまにBSで放送中の水前寺清子が司会の番組を見る。毎回ゲストを呼んで話を聞く。

ある日は泉ピン子だった。

あの物言いをきいているうちになぜか高峰秀子みたいだな・・と思ったことがある。

 

泉ピン子を初めて見たのは、ウィークエンダーという朝の奥様番組(だったと思う)。

なにせ中学生だったから普段は見られないが、学校をずる休みしたときは見た。

泉ピン子はリポーターで(確か金曜日担当)事件をおもしろおかしくフリップをつかいながら紙芝居のように話をすすめる。

下品だったがおもしろかった。

その後ずいぶん経ってピン子を見たのは寅さん映画で、今は亡き大原麗子がマドンナの回でフラれて自殺でもしようとダムで泣いているところを寅さんに声をかけられ元気を取り戻す女性を演じていた。

 

おしんでブレークした(と思うけど)が私はみていない。

その後、渡る世間で更に有名になり、人の運命なんてわからないものだと思う女優さんだ。

彼女は売れるまでの苦労もあって外見も含め、高峰秀子とは共通点などないけれど、

なにか似ているような気がする。

ただ高峰秀子の話を映画の演技以外でみたりきいたりしたのは「森繁対談」で松山善三とふたりででたユーチューブ映像、木下監督とのYouTube映像だけで、あとは斎藤氏の本や高峰の本で空想した喋り方だけだ。

だからあくまでも私の主観です(笑。