日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

愛と死  松山善三 昭和55年 潮出版社 初版

松山善三というと、高峰秀子の夫、脚本家であるけれど、彼は小説も書いているし取材した人物も書いている。

でも、あまり売れなかったようで(笑、ほとんど絶版で古本で購入するしかない。

 

これは松山氏のエッセイだ。昭和50年代当時の世相や事件について自分の意見を述べている。

多少現代からすると???な部分もあるけれど、彼は大正生まれの日本男子で明治生まれの親に育てられた人なのだということがよくわかる。

 

性について、彼はこう言う「性は月の光の下でのみ美しい」

私も同意。

彼の書いた脚本や映画を見ればよくわかる。

 

当時、母親の嬰児殺しや子供を捨てて蒸発などが頻発したようだが、

少し??だったのは「母性」についての記述だ。

子供を産んだ女には母性があると書いてあるけれど、

母性ってそもそもなんだろう?

 

 

植物人間、安楽死、自殺者、家族のあり方・・・

当時の新聞記事の記述を交えながらの文章は世相がよくわかって一気に読んでしまった。

 

最後には「待つ」「釣り銭」「昭子さん」・・・などの短いエッセイで松山氏自身のことが述べられている。

高峰秀子が愛した男」で松山氏の人生にも興味をもったけれど、松山氏自身が書いたものだから迫力があった。

 

高峰秀子の養母の晩年の記述も少しあって、当時、毎月50万円も養母のために出費があったという。(びっくり!)

そのうえ、親族との養母を巡るいざこざ、さらに養母が高峰邸に住むことになり、

書斎にベッドをおいて寝てもらったこと、認知症だったので大変だったこと、そして

トイレに行くと言って心臓発作であっけなく死んでしまったことが簡単に述べられていた。

高峰邸に引き取ったことは知っていたが、どこで寝ていたのかはこの本で初めて知った(笑。

トイレに行くといって・・・の部分は、どこのトイレ?の記述がないけれど、

私の記憶では、養母は最後に結局病院のベッドから起き上がろうとした時に心臓発作で亡くなった・・・と覚えがあるけれど、、、

そのへんが謎でした。

ま、ただの好奇心です(笑。

 

ちなみにこの本、松山善三氏の署名本です。

松山善三しのサイン本は意外と多くて、もしかしたらこの本は松山氏が知人に配るためにサインした本ではないか???と思っています。