日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

縮図 1953年 新東宝

監督 脚本 新藤兼人 原作 徳川秋声

出演 乙羽信子 宇野重吉 北林谷栄 殿山泰司 清川玉枝 山田五十鈴 細川ちかこ

   山村聰 菅井一郎 沢村貞子 進藤英太郎 滝沢修 山内明 日高澄子    

   清水将夫 沼田曜一 英百合子 

 

日経新聞5月18日の夕刊に「あすへの話題」というコラムがある。月曜日はJR九州会長 唐池恒二氏のお話で久々に大笑いしてしまったので載せておく(笑。

 

☆18歳と81歳の違い というテーマ

道路を暴走するのが18歳、逆走するのが81歳。

心がもろいのが18歳、骨がもろいのが81歳。

恋に溺れるのが18歳、風呂で溺れるのが81歳。

ドキドキがとまらないのが18歳、動悸がとまらないのが81歳。

恋で胸を詰まらせるのが18歳、餅で喉を詰まらせるのが81歳。

自分探しをしているのが18歳、みんなが自分を探しているのが81歳。

東京オリンピックに出たいと思うのが18歳、東京オリンピックまで生きたいと思うのが81歳。

社会に旅立つのが18歳、あの世に旅立つのが81歳。

早く「20歳」になりたいと思うのが18歳、できれば「20歳」に戻りたいと思うのが81歳。

「嵐」というと松本潤を思い出すのが18歳、鞍馬天狗の嵐勘寿郎を思い出すのが81歳。

出典は笑点大喜利ネタらしい・・・ということだ(笑。

 

さて、この映画。

期待度マックスで大枚はたいてDVDを購入したけれど、がっかり度もマックスだった

しょーもない映画でした(苦笑。

そもそも、この映画を観たいと思ったきっかけは前年(1952年)の「大阪の宿(五所平之助)」の「乙羽信子」にすっかり魅せられ、同じ芸者の物語なら・・・とアマゾンでは売り切れ、楽天でみつけて購入した。

 

佃島で貧しい長屋暮らしの銀子は16歳で芸者に売られる。靴の修理?をしている父宇野重吉と内職に忙しい母、北林谷栄の間には銀子を筆頭に妹が二人と母におぶされている赤ちゃんの弟?がいる。

 

置屋の旦那、菅井一郎に暴行され、置屋のおかみ沢村貞子は遺言で銀子に置屋をまかせると言って亡くなるが、菅井が嫌いな銀子はある夜、なじみ客のひとりで医師の沼田曜一の家を覗く。それに気づいた沼田は屋敷へ銀子をあげてふたりでお茶を飲む。

お互い淡い好意があるが・・・沼田の家から帰る途中、菅井が待ち伏せていて銀子を縛って家から出ていけないようにする。

そうしていると銀子の父、宇野重吉置屋に銀子を迎えにくる。

・・・??えーっと、銀子の前借はどうなったんだ?が疑問1.

それに、16歳の銀子、置屋でしばらく手伝いをしたのはわかったが、三味線や踊りなんかはどうやって習ったのか?どのくらい時間が経過してるのだかが不明なのか疑問2

 

 

さて、実家に帰った銀子。すぐ下の妹が三味線を習っているのを知って芸者になるのは自分でたくさん、妹は絶対に芸者にさせないと口利きやの殿山泰司に頼んで新潟?の置屋へ。そこのおかみは清川玉枝であのキャラだからなかなか良かった。

 

土地の名主の息子、山内明に気に入られ、その上求婚される。銀子も山内が好きなのだが、ある日、山内の母 英百合子が銀子を座敷に呼ぶと、「先祖代々の名を汚すようなことは私の代ではできない、世間さまに顔向けできない」と暗に結婚は許さないとほのめかされる。ここは英の上品で地味な演技が良かった。決して怒鳴ったり怒ったりするわけではないけれどじわじわくる。

 

銀子が(芸者の集まり?)松島?旅行から帰ると、置屋の古株、(多分)小夜福子があんた、新聞みた?という。

なんと山内と名家の娘の結婚式の記事だった。

 

その後、銀子は東京の山田五十鈴置屋へ鞍替えする。

山田の置屋には芸者がたくさんいていまなら3蜜状態(笑。

芸者たちの食事の場面では「ゲイシャはたくさん食べるもんじゃない」などと言ったりする。

ここの演出が過多で芸者衆、山田五十鈴、ごはんをかっこむ・・・。やり過ぎの感。

 

お茶屋のおかみ、細川ちか子から旦那(山村聰)を世話されるが、銀子が過労?で倒れると早々に逃げてしまう男を演じている。

死にそうな銀子を囲んでおかみの山田五十鈴は銀子の証文をもってきて銀子の目の前で破り捨て、「あんたの借金はこれでなくなったよ、安心しな。」といって泣く。

え・・・・そんな・・・普通、借金残してしんだら、それは他の姉妹が身売りして肩代わりする時代だろうし、山田は突然いい人になっちゃうのはなんだかなぁ・・が疑問3

 

死ぬ間際の銀子を父は佃の家へ運ぶと、そこにはやはり肺?を病んだすぐ下の妹が床に寝ている。

 

いったん小康状態になった銀子は妹があぶないと抱きかかえられながら妹の枕元で死をみとる。

 

銀子はなんとか生きている。

それでも貧乏なのは変わりない家に、山田が現れる。

そこで「あの時は可哀そうが先にたって借金をなくしたけれど、あんたに芸者を辞められると困る。医者の掛かりも全て現金で私が払ったんだし、またでてきておくれ、ねっ!」と優しい口ぶりだけれど、最後の「頼んだよ」で有無も言わせぬ感じがでていてこれはよかった。さすが山田五十鈴

 

お座敷で進藤英太郎相手にじゃんけん(なんて呼ぶのでしょう?)をしている。

新藤はお茶屋のおかみ、細川に銀子の旦那になりたいと言っている。

銀子はもうひとりの客(多分)佐野浅夫とじゃんけんをしている。

終。

その後も銀子は芸者をしていくのだろうなぁとわかる。

 

そして最大の疑問は、銀子が16歳の時に赤ん坊でおぶわれていた弟?は数年経ってもまだ母や妹の背中におぶわれたまま・・なのはなんで??

 

乙羽の芸者姿は美しい場面もあったけれど、変な顔をしたりする演出が過剰で

なんだかなぁ・・・と思った。

吉村公三郎が製作とあるので、キャストが豪華であるから話題性はあるけど

評価はいまいちな映画でした。