日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

モンテンルパの夜は更けて  1952年 東宝

監督 青柳信雄 原作 脚本 八柱利雄

出演 香川京子 東野英治郎 上原謙 北林谷栄 赤井蘭子 山内明

   小笠原弘 左幸子

 

 美津子(香川京子)は両家が認めた許婚、河井正一の家で義父で元海軍将校だった東野英治郎と住んでいる。正一はフィリピンで死刑判決を受け収監されている。

 

義父は息子が生きて帰ってくるような気がするというが、美津子はこのまま嫁として(まだ結婚生活もしていないのに)この家にいることに疑問を感じつつ毎日を送っている。

義兄の上原謙はラジオ番組で論評を述べたりする人で(職業不詳)美津子の理解者でもある。

 

夜学に通い始めた(多分 英語の専門学校?)美津子には同じクラスで学ぶ小学校の教師をしている井野(山内明)がいて、お互い好意をもっているようだ。

 

義兄の息子が寝込み、美津子は義姉(上原謙の妻 北林谷栄)に頼まれてその家の手伝いに行く。義兄が父の金銭の面倒をみているようだ。

その間、学校へは行けないからと、山内にノートを頼む。

 

ある日、井野は美津子の家へ様子をうかがいに行く。井野は美津子が河井家の嫁だとは知らず、あいにく美津子は不在だったが義父から「うちの嫁になんのようだ」と言われ、初めてその家の娘ではなかったことを知るが、諦められず、後日美津子に「愛している」と告白する。

 

心穏やかでなくなった美津子。義姉にはそのことで責められ、正一さんの妻として、

プレ未亡人(これから未亡人になる人?)として生きるように言われる。

家に帰ると義父がどこへ行っていたのだ、あの男とあっていたのだろうとなじられる。

 

ある日実家へ行ってきますと家をでようとすると、悪いことをしたと感じた義父は「帰ってくるのだよね?それならタバコ?たらこ?(すいません 聞き取れなかった 笑)を買ってきてくれ。」と言づけるが、美津子は返事をせず家をでる。

実家では母にお願いだから河井家に帰るように言われてしまう美津子。

 

唯一の理解者は銀座?の喫茶店に勤める妹の左幸子

井野のところへ行こうと決心した姉を送り出す。

 

小学校にはやはりモンテンルパで死刑判決をうけた元大工の妻、赤井蘭子が小学生の息子と学校の用務員?をしている。

いつも明るくふるまっているが、そんな赤井の気持ちを察した井野は、自分がじゃまをしてはいけない、死刑にならずに無事に帰国できることを祈ると言って美津子とのことも諦めようと思う。

 

美津子は井野を訪ねて学校へ行ったが、赤井と会い、偶然その人の夫もモンテンルパに収監されているとわかり、二人で抱き合って泣く。

 

で、どーなる?どーなる?と見ていたら。

 

河井家に戻った美津子。義父に「これタバコ?たらこ?です。」と言って義父に渡す。

義父は「帰って来たのだね。」という。

これで終・・・。

 

え?え?え?え~~~~~~!

 

じゃ、なに?!正一の嫁として生きていくわけ?え?この結末?なに?八柱利雄どーなんてんの?と思ったら・・・。

 

当時、「あゝモンテルパの夜は更けて」という歌が大ヒットし、その後、フィリピンへ慰問へ行った歌手や関係者の努力によりフィリピンで死刑判決を受けた日本兵の特赦が

認められたのが1953年。108名全員が帰国できたという。

だからその運動?が盛り上がっていた時につくられた映画だから当然結末も

正一の妻として生きる覚悟を決めた美津子・・・となった。(と思う)

だから井野と結ばれるはずもなく、井野もあっさり諦め、正一が帰国できるように祈るわけだ(笑。

 

このことを知らないとこの映画はいったいなんなのだ!となる(笑。

 

香川京子、この役にピッタリ。回想の場面では女学生でててきたが、全く無理がなく制服姿も似合う。