日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

ぼくと「未帰還兵」との2年8ヶ月 「花と兵隊」制作ノート 松林要樹 2009年 同時代社 初版

ふと「無法松故郷へ帰る」の藤田松吉氏はどうなったのだろう?と思った。

こんな時インターネットで検索できるってやっぱりすごい。

 

もう亡くなっていると思ったが、いつなのか、どこでなのか、

あのドキュメンタリーの後はどんな生活を送っていたのか・・・。

 

すぐヒットしたのは2006年の地方局で作ったドキュメンタリー「終わらない戦争〜タイ残留旧日本兵の今〜」に藤田氏が出演していたこと。

少なくとも2006年には生きていたんだ!

 

しかし、放送が2006年だから見ることができない。

次にヒットしたのがなぜか「藤田松吉 まいり」という生年と没年月日が記されたサイト。そこには2009年1月25日没とある。面白いサイトで過去、「おまいりした人」の月日別の人数とかお線香や花を手向けた?人の数がカウントされている。

 

意外に長生きだったんだ・・・。

 

そしてこのドキュメンタリー映画のことを知った。

藤田松吉氏ほか数名の未帰還兵がでてくるこの映画はそれ以外にも本があることをアマゾンで知った。

 

DVDもいいけれど、監督の書いたこの本も読みたいなぁ。

2009年に発行されたが、まだ新本で購入できる・・・。

しかし、他にも数冊欲しい古本があって、予算を考えると中古にした。

それでもなるべく綺麗な(笑 中古が欲しい。

そしてなるべく安く買いたい(笑。

 

一言でいうとおもしろかった。

作品として世に出すまでの苦労が淡々を語られ、藤田氏との交流をとおして

今村作品ではわからなかったことがたくさん書いてある。

 

彼はこのドキュメンタリーを世に出そうとしたきっかけが今村昌平の3部作をみたことだ。

また「遥かなる日本人」も参考図書として巻末にあげている。

 

 

藤田松吉氏以下、その家族のこともある。

 

藤田氏が今村に語った「やる気のない日本兵」の話や3万人殺害の話は同じように松林氏にもしたらしいが、真相はやぶの中。

また藤田自身が出演した「無法松故郷へ帰る」や「未帰還兵 タイ編」を日本から持ってきたDVDで一緒にみたという。

 

あるいは今村ドキュメンタリーの疑問点を聞くために生存している制作スタッフに聞く。

今村作品ではわからなかったが、藤田氏が日本に来て2か月滞在の予定だったが兄との軋轢で1か月で帰って行ったことや、あの実兄との別れ方はもしかしたら今村のドキュメンタリーの撮影がきっかけになったかもしれないことなどが解明されてくる。

 

そしてインパール作戦の「牟田口」のこともでてくる。

 

 

このドキュメンタリーが上映される前の同じ年に藤田氏は亡くなった。

亡くなった時のことも書いてある。藤田氏の家がどうなるのか・・・も書いてある。