日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

洲崎パラダイス その2 集英社 芝木好子 1994年

この短編小説の中から拾って映画に反映させたとおもわれる箇所

 

黒い炎 

    主人公の京子が「女中さん入用」の張り紙を見て千草で働いた。

    千草で飲み逃げがあって徳子が警察の首実検のためにパトカーに乗っているところで「ほんとに決まりが悪いっちゃありゃしない!」という。

    映画ではパトカーで送られて帰ってきて留守番の芝あをみに言う場面になっている。

 

洲崎界隈

    洲崎神社のわきの芝居小屋。河原咲太郎という一座。この一座の出し物や観客の描写が細かく小説では書かれている。

    映画では境内でなんとか一座(忘れた 笑) 

 

蝶になるまで

    千草の客でタクシー運転手の松久は千草で働く16歳の何も知らない娘、鈴子に廓の女にはない純粋なところに魅かれる。鈴子が特飲街で働きたいなどというと叱ったりする。

   映画ではトラック運転手の信夫と騙されて仙台からでてきた初枝を思い出す。

          鈴子の叔父の名前は三吉でだまされ屋の出前持ち、小沢昭一が三吉だ。

   洲崎パラダイスではそばやの面皰面の小僧だけで名前は書かれていない。

 

ところでこの小説は溝口健二の赤線地帯のモデルになった小説でもあり、随所モデルとなった女がでてくる。しかし映画はかなり小説とは違った展開になる。

 

「洲崎界隈」の菊代は立身出世した女で、自分の家まで建て、最後は売りに出ている娼家を買おうとする。赤線地帯でやり手の若尾文子だ。朋輩に金を貸すところも同じだが、若尾は十朱久雄の経営する布団やを乗っ取ってしまうほどのやり手だ。

 

歓喜の町」では、荒川から来た男に呼び出された娼妓はそのおとこの妻で体の弱い子供を残して洲崎で働いている。赤線地帯の木暮実千代

 

「蝶になるまで」の鈴子は赤線地帯の下働きでいずれは娼妓になる川上康子。

 

「洲崎の女」の登代は一人息子に絶縁を言われてしまう赤線地帯の三益愛子

 

洲崎パラダイスよりまんべんなくいろいろな種類の女達を描いている。

 

さて、このところ洲崎パラダイス赤信号ばかり見ているので

♪あ~かぁ~いネェーオンのぉ♪♪・・・・♪♪・・・・・♪♪

♪♪い~つかぁ~♪泣かない~♪おんなにぃなるぅの~♪♪の唄が頭の中から離れない(笑。