日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

偽善への挑戦 映画監督川島雄三 その2  カワシマクラブ編 2018年 ワイズ出版

昨日は梅雨空で「洲崎パラダイス赤信号」を観るのにぴったりな日でした。

 

シナリオで5月末から始まることに確認がとれたので

時系列で考えると・・・。

 

5月末に千草にやってきた蔦枝と義治。

初日  蔦枝が落合と初めて千草で知り合う。

2日目  義治がそばや「だまされ屋」へ勤め始める。蔦枝、義治のことを思う。

3日目  蔦枝が義治に会いに風呂帰り、だまされ屋へ行く。義治にお金をどうにかして欲しいという。落合がまた来て蔦枝と出かける。義治が店のお金をもって千草へ行くが蔦枝は帰らない。そのまま義治は夜の町へ消える。

4日目  蔦枝がパリっとした姿で千草に帰ってくる。徳子に反物をプレゼントする。

    落合のスクーターで蔦枝は去ってしまう。その夜、義治が千草で徳子を待っている。蔦枝が神田のラジオやで落合という人と一緒に行ってしまったことを徳子が言うと、また徳治は夜の町へ。深夜、徳子の夫、伝七が千草へ帰ってくる。

5日目  落合を探しに神田(秋葉原)へ行くがすんでのところで落合はスクーターで行ってしまう。義治は道路で行き倒れ、道路工事の人足に助けられ食べかけのおにぎりをもらう。人足が汗水流して働いているのをみる義治。その足で千草へ行くと玉子が「昨日、おかみさんのだんなさんだって人が帰ってきた」という。

 

なぞなのは伝七と子供たちと浅草へ行って一足先に帰ってきた徳子の来ている着物は、

その柄から、4日目に蔦枝からもらった反物の柄?のようで、仕立てるには時間はなく(もらった翌日に着ている)、その点が疑問だけれど、なにせ筋書きがいいのであまり気にならない。

強いて言えば・・・のツッコミ(笑。

 

4日目の画面で玉子が義治を探しに千草に来ると5月のカレンダーが映るから5日目でもまだ5月なのだろうか、それとも6月になっていたのだろうか・・・謎。

千草に二人が現れてからたった5日しか経っていないのに蔦枝や義治に対する徳子や玉子の対応はずいぶん前から知っているような態度だ。

これも強いて言えば・・・のツッコミその2(笑。

 

シナリオ続き

 

シナリオ だまされ屋で義治が玉子とぶつかって玉子の持っていた空の丼を落として割ってしまう。三吉が「なにぼやぼやしてんだい。あーやったな!(と割れた丼をみる)」玉子「え?・・・・(けげんそうに義治をみる)」

映画   三吉が「あーおめぇやったな!」と言いながら自分が持っていた出前の蕎麦を落としてしまう。「俺までやっちゃったじゃねぇか。また怒られる・・・。」と一緒に拾う。玉子がぞうきんを手にふたりをみて微妙な顔をする。

 

この場面は小沢昭一が全部自分のアドリブでやったと言っています。

そして川島監督が一番好きな俳優を聞かれ、「小沢昭一」と答えたことを知り、すごく嬉しかったとも言っています。また新珠三千代小沢昭一ともに「洲崎パラダイス赤信号」は川島監督の傑作だと後のインタビューで答えています。

 

シナリオ 千草で大工風の男(山田禅二)が上着を忘れたと戻ってくる。すぐ飛び出していく。

映画   上着を取りに来て、ついでにハルミ?へのお土産も忘れそうになり、「ハルミに怒られる・・」と言って去る。

 

この場面がシナリオにもあったのは発見でした。後で監督が遊びで付け足したのかと思ったからです。

 

シナリオ  義治がひとりになった隙に銭函の紙幣を2,3枚抜いて素早くポケットに入れる。

映画  義治が一人になった隙に銭函から高額紙幣一枚(千円札)を取る。その後、玉子が来て義治の姿がないので「あら、さっきまでいたのに・・どこに行ったのかしら」と不思議そうな顔をする。

 

ところで、風呂帰りの蔦枝が義治と会って帰る時に二人で渡った橋の名がシナリオにあります。「秋木橋」となっていますが、映像でも「秋木橋」と読めます。この名が本当の名前だったのでしょうか。すでに川が埋め立てられているので今はわかりません。

 

千草ですが、前にロケ場面では建物の外見?だけ建てたと書きましたが、

写真が載っていて、実際の店のまま撮影されたようです。

看板も同じで実際は「松柏」という名前が「千草」に直してあります。映像だと確かに「千草」のところだけが白地で塗ってあるようで黒い字で「千草」と書かれていてこれを知ると納得します。また貸しボート乗り場に通じる道には「カメラDPE ミウラ寫眞工場 →」という看板が立っています。「千草」ののれんの前には落合に買ってもらった着物を着た新珠三千代と川島監督がいます。

それを見ている野次馬、ここでも多し(笑。

 

シナリオ 蔦枝を探す義治が3軒目の弁天ずしに入る。「いらっしゃい」と小女にいわれる。客は誰もいない。義治は去る。

映画  「いらっしゃい。何しましょ?」と主人?に言われ、義治は「酒・・。」といいカウンターに座る。「お銚子ね!」小女「はい。」義治「・・やっぱりいいや。」といって店を出る。小女が怪訝そうな顔をして座敷へお銚子を運ぶ。

 

 

シナリオ  眠っていた俊男が寝ぼけ眼で出てきて、割れたコップの方へ歩き出そうとする。徳子が「あッ、危ないよ!」と俊男に注意する。俊男、よけながら表へ出て行く。雨の降る軒下でオシッコする俊男。

映画  義治が千草で酔っ払い、卓上のコップを手で払い飛ばして出ていくとすぐに

下の子供が「かぁちゃん、おしっこ・・・」と出てくる。徳子が危ないよという。

俊男はジャリっと割れたコップを踏む。千草の店先でオシッコする俊男に後ろから徳子が自分のしている割烹着を俊男が雨に濡れないようにさしてやる。

この情景はいいですねぇ・・。こんなおかぁさん昔いました。今はどうでしょうね?

というか立ちション禁止ですよね(笑。