日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

サーカス5人組  1935年 PCL

監督 成瀬巳喜男 脚本 伊馬鵜平 永見龍二 原作 古川ロッパ

出演 堤眞佐子 梅園龍子 藤原釜足 大川平八郎 御橋公 丸山定夫

   リキ一宮川 宇留木浩 清川虹子

 

随分前にアップされていたが、画像がひどくて開始5分くらいで観るのを止めた。

 

一時消えてしまったが、またアップされたので再度見た。

やはり最初は見るのがつらかった・・・とにかく誰が誰だか全くわからないジンタ5人組(笑。

 

背が低いのが藤原釜足かな?背が高くてひょろっとしているのが御橋公だろう・・

ところで大川平八郎はどれだ?(笑。

宇留木浩は「女優と詩人」の詩人役の人だが残りのふたりのうちどちらかが最後までわからなかった(笑。

 

楽団を組んで旅暮らしの5人。楽団といってもジンタと呼ばれる今のチンドン屋らしい。

仕事にあぶれて商人宿に泊まる5人。藤原釜足は女好きでどこかで知り合った女、清川虹子が宿におしかけてきたりする。

宿屋の近くでサーカス団が曲芸を披露しているが、男の団員が団長の丸山定夫の理不尽な扱いに今でいう仕事のボイコットをする。

困った支配人が宿屋に逗留する5人組にサーカスで演奏をして欲しいと頼む。

演奏ならと引き受けるが、女だけのサーカスでは客は納得しないと5人組にそれぞれなにかしてくれと頼む・・・。

 

サーカス団には団長の娘で長女の堤眞佐子と妹の梅園龍子もいる。

梅園には将来を誓った団員がいるが、父のことを思うとなかなか結婚に踏み切れずにいる。そんな妹に姉は「グズグズしているとあの人どこか行ってしまう・・・」というが、仲たがいした父と恋人との間でどうすることもできない。

 

5人組のひとり御橋公は妻に先立たれ、乳飲み子を捨てた過去がある。

サーカス団の少女が楽屋で財布を盗もうとするところを目撃するが、少女が自分は捨て子で育ての親のおばさんが病気なのでお金を送らなければならない・・・と言われると、サーカス団からもらった出演料を少女にあげる。

少女の年齢を聞く場面では自分が捨てた乳飲み子と育っていれば同じ年齢(13歳)だったこともあり、涙の再会?かと思われたが、さすが成瀬巳喜男、あるいは脚本もそうなっていたのかもしれないが、そうでないことがわかる。

 

少女にお金を渡したあとで堤眞佐子からあの子は嘘つきでお金も自分が買い食いしたいからそうやって人にたかるのだから取り返したら?というとそれでも御橋は「いいんだ・・」と言う。

 

大川平八郎は堤眞佐子と打ち解けて自分は孤児だが、こんな旅暮らしはやめて東京でバイオリンを習って音楽家になりたいという。

堤眞佐子も自分もこんな旅暮らしをしていると将来どうなるのか不安だ・・・という。

 

自分の恋人がいなくなってしまうが、どうにもならないと思う梅園はブランコの曲芸でわざとブランコから落ちる。

病室で姉に死んでしまおうと思ったという。

 

結局ボイコットした団員たちが戻ってきたサーカス団。5人組は一日でサーカス団をさることになる。

 

海岸沿いを歩いていると清川虹子が待っていて藤原にずーっとついて行く・・という。

藤原は一瞬逃げようとするが、他の仲間に励まされ・・・。

 

堤眞佐子は大川平八郎を途中まで送るが、その場面は涙をさそう。

お互い惹かれあっているのがわかるから悲しい。

 

原作が古川ロッパだとあるから彼の経験したことを物語にしたのだろうか。

 

堤眞佐子はまた旅暮らし。大川平八郎も本当に東京でバイオリンを習えるのかわからない。このままやはりジンタで一生終わるのか・・・

65分の短い映画でしたが最後にジーンとくる映画でした。

これで映像の状態がもっと良ければと思います。