日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

大人と子供のあいのこだい  1961年 日活

監督 若杉光夫 脚本 岩田重利 米山彄 原作 渡辺照男

出演 浜田光夫 松原智恵子 小夜福子 松下達夫 宇野重吉 佐々木すみ江

   武智豊子 高田敏江 梅野泰靖 鈴木瑞穂

 

前に浜田光夫のデビュー作はキューポラのある町と書いたが、この映画。キューポラより1年前の公開だからこれが「石合戦」以来の初主演映画ではないだろうか。

 

中学3年の浜田光夫は父の働く工場の敷地内の貧乏長屋?で暮らしている。

父は働きもせず、酒浸りでお金がはいれば競馬ですってしまう。

そんな家計を支えているのが姉の高田敏江と母の稼ぐ金だ。

 

両親は浜田が中学を卒業したら一家の働き手のひとりとして期待しているが、

浜田は高校へ行きたい。そして東大を目指したいと思っている。

 

ある日、姉が結核で入院してしまう。働き手を失った浜田の家にはまだ幼い弟と妹がいる。そして工場も経営不振で身売りするので住んでいる家も立ち退かなければならない。

 

そんな浜田の窮状をみて担任の先生はなんとか浜田を高校へ行かせようと浜田の親友で近所に住む家へ浜田を預けてもらえるように父親に頼む。その親友の父、宇野重吉は自分も苦学生であったから浜田の学費や生活の世話をみるという好条件だった。

 

浜田一家は引っ越し、浜田はひとり親友の家で高校受験にむけて勉強し、晴れて都立高校に入学する。それを入院中の姉に喜んでもらおうと報告に行くと姉から大学を卒業するまで7年もかかる。その間、私達はどうするのだ?と詰め寄られる・・。

 

悩んだ浜田は自分は働きながら高校へ行く決心をして夜学に入ると友達にいい、

夜学だって東大に入れるさ!と自分を勇気づけるのだった・・・。

 

家が貧乏でも一生懸命生きるといった物語に浜田光夫はなぜかはまり役で(笑、

決していいところのお坊ちゃん系ではない。

 

この映画には新人として松原智恵子が出演している。若いころから随分美人だ。

佐々木すみ江も若かったが結構美形だったのには驚いた。

あいの子・・という言葉は今は使われないよねぇ・・・。差別用語

 

がんばれ浜田!(笑。