日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

我が家は楽し   1951年 松竹

監督 中村登 脚本 柳井隆雄 田中澄江

出演 山田五十鈴 高峰秀子 笠智衆 桜むつ子 岸惠子 佐田啓二 

   高堂国典

 

山田五十鈴がサラリーマンの妻役で、それまでのイメージ、芸者とか悪い女とかのイメージが払しょくされて、その演技のすごさにびっくりした最初の作品がこれ。

 

森永製菓の人事課長、笠智衆高峰秀子を筆頭に3女一男の6人家族。同じ社に勤める人の借家に住んでいる。色々物入りだが、山田五十鈴はやりくりしている。

 

ある日、勤続25年で笠が表彰されることになった。金一封がでることを知り、笠は子供達になんでも買ってやるという。

物語のはじめに、子供の野球のミットがボロボロだったり、笠の靴もボロボロだったり、ということが描かれている。

 

 

表彰式の日、同僚に誘われるのを危惧して笠は山田に会社まで迎えに来てくれという。

お昼に会社の門の前に待つ山田に、笠は同僚の手前、「なんだお前、来ていたのか?」とえばるが、同僚と別れたあと、山田に「来てくれて助かった・・」などという(笑。

 

デパートで子供の者を買うが、自分たちのものは買わなかった。

帰りにいつもの居酒屋で山田と一杯やって帰った笠は、家について残りのお金を出そうとして掏られたことに気づく・・・。

 

それを知らない子供たちは父のお祝いだと部屋を飾り付けをして待っている。

笠の茫然とした顔がよい。

 

高峰秀子は上野の展覧会に入選したいと思っている画家志望だが、落選してしまい落ち込むが、結核で湘南にある病院に入院している恋人の佐田啓二に励まされる。

ある日、山田のタンスが空(質入れして?)だと知った高峰は家計が苦しいのに自分が絵を描いてブラブラしていていいのだろうかと悩み、同じ画家志望の友人と銀座?の街角で似顔絵かきをするが酔っ払いにからまれたり散々だ。

 

ある日、借家を売ったから出て行ってほしいと言われる一家。当時は家がなかなか見つからず四苦八苦する一家は山田の妹の桜むつ子の家に行くことを決めるが・・・

 

普通の家におこりそうな普通の話だけれど、山田の良妻賢母がすごい。

笠はよく忘れ物をするのだが、決して怒らない。見習いたい(笑。

 

最後は、偏屈な買主がそのまま貸してくれるということになって、妹の桜むつ子

「あー、よかった。どうなることかと思っちゃった・・」と言うところがなぜか忘れられない。なにせ2間に家族6人とその荷物があるのだから(笑。

 

岸惠子のデビュー作だというが、岸惠子高峰秀子に「撮影所で本なんか読んではいけない」と言われて怖かった・・というのはこの映画だろうと思う。