日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

木曽の天狗  1948年 大映

監督 松田定次 脚本 比佐芳武

出演 阪東妻三郎 小杉勇 毛利菊枝 阪東好太郎 花柳小菊 喜多川千鶴

   加藤大介 尾上菊太郎

www.kadokawa-pictures.jp

 

川口松太郎みたいな人情噺。

前半、中盤はなかなかよい。

 

針の行商をしている妻三郎だが、裏でいかさまのサイコロを行った先の顔役(もっぱらヤクザ)に売っている。

ある町でヤクザの親分にそのサイコロを5両で売ろうとしたが、逆に「あいさつ代わり」だとタダでとられてしまう。

夜・・・その親分一家を待ち伏せし、ぶちのめした妻三郎が逃げ込んだのが山間の農家。

そこには一人息子がいかさま博打でグレ、行方知れずになった老夫婦がいて、その主人に妻三郎がいかさま用のサイコロを売っているというと、「それは弱い民衆を困らせることをしている・・・」と言われ、ハッとする妻三郎。

世話になった老夫婦の家を後にし、妻三郎は次の町へ流れていく。

 

そこでも町の顔役がはばをきかせ、武士とグルになっている。

 

ある日、その町のヤクザの親分が馬のオークションを開催する。

そのシステム自体はよいが・・・

遠い村から年貢を納められない父娘が馬を売りにやってきた。

30両で売れれば、年貢も収められるし、売った田畑も買い戻せる。

セリが始まる。値があがり、武士が30両というと町の人間が31両・・といい、

武士が35両!といって町の人間がもっと高い値段を言おうとすると、お偉方がでてきて

35両で武士が買ったのだ!と恫喝される。

 

それでも35両を懐にいれた父親はは嬉しがるが、その懐のカネを狙ってヤクザが無理やり酒を飲ませ、博打に誘う・・・。

もちろんいかさまだからすっかり巻き上げられ・・・直談判に行った娘の恋人が逆に拉致されてしまう・・。

 

旅芸人の女太夫と妻三郎のことなどが描かれておもしろい・・のだが、

 

最後に妻三郎がヤクザの親分をにらみつけると、、あっさり親分は引き下がり、奪った金35両も返す・・・というのが、なんだかなぁ・・・(笑。

 

最後の解決方法は再考しないといけない(笑。

だけれど妻三郎ってなんか男の色気があるんだよねぇ・・。

 

馬を売りにきた娘の喜多川千鶴という女優さんはなんだか岸惠子に似ていた。