日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

姿なき目撃者  1955年 東宝

監督 日高繁明 脚本 日高繁明 原作 渡辺啓

出演 越路吹雪 小泉博 志村喬 久保賢(山内賢) 村瀬幸子 進藤英太郎

   徳大寺伸

 

山内賢が久保賢という名で初めて映画に出演。ひさしぶりに50年代の徳大寺伸も見た。監督が馴染みのない名前だったのであまり期待していなかったが、結構おもしいサスペンスものだった。

 

会社社長(建設会社?)の進藤英太郎の妻、久慈あさみはダンス教師の徳大寺伸と家で密会する仲だが、女中の越路吹雪は隣の少年でカメラ好きの久保明に2階の給水タンクに隠れて家の中の写真を撮って欲しいと頼む。

密会現場を写真に撮った少年、子供なので何のことやらよくわからない。それを現像し、越路吹雪に渡すと彼女はその写真をもって進藤英太郎の元へ密告にいく。

進藤は大阪へ出張だとみせかけて、久慈が家に呼んだ徳大寺がいる時に帰ってくる。

あわてた二人。徳大寺は給水タンクの中へ隠れるが、それを知っている進藤英太郎は風呂に入るのだと女中に給水タンクに水をあげるように言う。

越路が給水タンクのふたが空かないようにロックし、1階のスイッチを押す。

水が上がっていきタンクの中にいる徳大寺はもがくが、ふたが開かない。

部屋では進藤が久慈に謎解きのように早くしないと溺れて死んでしまう・・ようなことを言い、久慈はどうしていいのかわからない。

進藤が女中に水を止めるとうにいっても、越路は返事をせず、仕方なく進藤が階下のスイッチをとめる・・・が、越路がまたスイッチをあげてしまう。

 

ここまでの進藤と久慈のやりとりは心理戦をうまく描写できていた。

 

水がタンクからこぼれ、慌てた新藤がタンクのふたを開けると中で徳大寺が死んでいた・・・。びっくりする二人は越路を呼んでお前のせいだ。というが、越路は私は知りません、警察でもそう言いますと言われ、とにかく3人の秘密にしよう・・・ということにして徳大寺は溺死体として(どこかへ?運んだ?)警察に知られることになった。

久慈が越路の女中部屋を調べるとなんと徳大寺との間に子供があったことがわかる。

私は越路に殺されるかもしれない・・・と訴える久慈。進藤は越路に田舎へ帰ることをすすめ、お金を渡すから夜、事務所へ呼びつける。

越路は「もし自分が死んだら進藤に殺されたのだ」という手紙を書き、隣の少年宅からカメラを少年にわからないように持ち出して写真を撮る。その足で建設現場の事務所へ向かうが進藤と言い争いの末、建築途中のビルから落ちて死んでしまう。

焦った新藤はその死体の上へジャリを流すのだ。

 

徳大寺の件で捜査をしていた小泉博刑事は、徳大寺のポケットからO JOHJIと刺繍のあるハンカチに注目。それは少年がタンクに隠れて写真を撮った時に落としたハンカチだった。

それが少年のハンカチだとわかると少年が狙われるかもしれないと行動を共にするが

進藤、久慈あさみ夫妻は徳大寺の死から常に疑心暗鬼で越路が写真を撮ったという話から少年をなんとか捕まえようとするのだ・・・。

 

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久々の徳大寺伸

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小泉博と久保賢(山内賢

ところでこの映画ででてくる教会はなんと碑文谷のサレジオ教会だそうで

(映画では桜新町に少年や久慈夫妻が住んでいる)こんな殺風景だったのだとびっくり

 

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 協会がサレジオ教会だとするとこの砂利道は雀のお宿公園に面したあの通りか・・・