日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

半処女  1953年 新東宝

監督 内川清一郎 脚本 岸松雄 赤坂長義

出演 南風洋子 左幸子 南寿美子 沼田曜一 片山明彦 和田孝 清水将夫

   一の宮あつ子 相馬千恵子 坪内美子 安西郷子 城実穂

 

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Twitterより

1938年三宅邦子の半処女とは話が違う?と思うのだけれど。

その時も半処女の意味がわからなかったが、この「最後の一線を越えなければ処女と呼べるのか」という文句で納得(笑。

 

高校三年生、17才の女の子たちの話。狂った果実より3年も前の映画でかなり衝撃的な内容・・・なところと無邪気な娘の話と、色々。

 

南風洋子は医者の裕福な娘で兄片山明彦も医者だ。同級生で芸者(置屋?)の娘、城実穂、浅草で兄 沼田曜一とその友人和田孝と住む左幸子、厳格な父親のいる南寿美子。

そしてパンパンをしているやはり17才の安西郷子(超かわいい)の青春物語。

 

南寿美子は南風洋子の兄、片山明彦とボートに乗ったあと肉体関係を結ぶ。その後彼女は妊娠したらしいのだ。南寿美子の相手が自分の兄だと知った南風洋子は兄やなんでもなかったことにしようとする両親を責める。家出して住んでのところで死ぬところだった南はみんなに発見され、診察してみると妊娠はしていなかったが、片山明彦は南に結婚を申し込む。

 

左幸子は兄の友人、和田孝も兄と呼び、慕っているが実は好きなのだ。南風に誘われていった葉山で南風と和田がふたりで話しているのをみて泣いたりする。普段はサンドイッチマンのアルバイトを浅草界隈でやっているが、2学期の月謝欲しさにキャバレー?で働き、客に3000円で接吻を売ったりしてしまう。

 

芸者置屋?の娘は半玉の話を南風にして値段が高い(処女の?)などと言い、南風を怒らせたりする。

当の南風は左幸子の兄、沼田曜一に魅かれるが沼田は偶然自分の趣味である望遠鏡をのぞきに来たパンパンの安西郷子に心を寄せる。

安西郷子は病気で入院していなければならないのに抜け出して沼田曜一を訪ねるが、

沼田は精いっぱい安西を説得し病院へ絶対に帰るのだよと水上バス乗り場へ送っていく。逃げるようにして水上バスへ乗った安西だが、沼田が追ってきてその時沼田のかぶっていた帽子が飛ばされる。「あっ」っと安西が言って帽子を目で追うが沼田は自分の帽子など目もくれず、病院へ帰るのだと言い続ける。その熱意で安西も納得する。そして沼田は自分が彫ったオルゴールを安西に手渡すのだ。

この安西郷子の病気って多分梅毒だと思った。安西がベッドで寝ている隣にはやはりパンパンの女性がおり、また別な女性達も騒いでいる。

 

17才で妊娠騒ぎより、安西郷子のシーンで思わず涙。

安西が沼田を「おにぃちゃん」と呼ぶところなどほんと涙出た。

 

卒業後、左幸子は兄の友人と結婚し、南寿美子は医者の嫁になるというので学校へ。城実穂は母 坪内美子の跡をついで芸者となり、南風洋子も大学へ行く。自分にもきっと素敵な恋ができるだろうと南風は思うのだ。

 

安西が死んだことを同室だったパンパンに知らされた沼田。そのパンパンから安西からだといって渡されたのが帽子だった。安西は沼田が落とした帽子のことを覚えていたのだ。←もうここで更に涙。

 

OSKの安西郷子が初出演したのがこの映画らしいが、主役を食うくらい存在感あり。

 

ところで女学生の制服がみなバラバラなのはなぜだろう。昔の学園ものだと制服が同じでないのが多い。左幸子や南寿美子はセーラー服、南風洋子はサロペットみたいな制服、城実穂はスカートは制服みたいだけれど上はセーター系。

映画冒頭は水泳のシーンで女学生は水着姿だが当時はこれでもかなりお色気ショッキング映像だったかも。