日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

無法一代 1957年」日活

監督 滝沢英輔 脚本 八柱利雄 原作 西河克己

出演 芦川いづみ 三橋達也 新珠三千代 宇野重吉 田中筆子 清水将夫

   佐野浅夫 宍戸錠 利根はる恵 相原巨典 浜村純 下元勉 松下達夫

   鏑木はるな 沢村国太郎 高野由美 伊藤寿章 永井竜太郎 

 

www.nikkatsu.com

金儲けの鬼と化した夫婦・・・という文句だが・・・

 

八柱利雄の脚本だったので期待がありまた明治後期の廓の物語だったけれど

なんだか続編?を予定して作った?ような映画。もちろん続編はない。

 

明治後期、若狭から全財産をもって伏見へやってきた三橋達也新珠三千代

三橋は貧乏人はいつも虐げられて損してばかりいるのだと遊郭を経営することで金持ちになろうとする男。新珠三千代は飯盛り女だったがやはり三橋の考えについて行く。

伏見の遊郭の入り口で小料理屋をしている新珠の叔父、宇野重吉の元へ身を寄せて貸家の札のでていた遊郭の一軒を借りる。宇野重吉は夫婦を客観的にみる役割。

 

家の次は女だと下賤の殿山泰司を訪ね、利根はる恵と田舎から売られてきたばかりの芦川いづみを買う。

利根はる恵は地元のヤクザもの、宍戸錠の女で下賤と一緒になって売った遊郭から足抜けさせる詐欺をするのだ。

いづみちゃんはどこかの店の若旦那と馴染みになる。優しい若旦那にいづみちゃんは惹かれていくのだ。

 

利根はる恵の逃亡が発覚し、ヤクザの仕業だとわかった三橋はその親分の家、清水将夫に直談判をするが清水将夫にケンもホロロに追い返される。

街では救世軍も活発に行動し、ある日、救世軍からビラをもらったいづみちゃんは馴染みの若旦那に「警察に行けば女郎を辞められるのは本当か?」と尋ねる。

いづみちゃんの健気さがなんとも哀れてかわいい・・・。

いづみちゃんの女郎姿は一見の価値あり。

 

女郎屋のおやじは救世軍をなんとか排除してもらおうとヤクザに頼もうとするところへ三橋が意義を唱え、清水将夫の兄弟の女郎屋の顔役、芦田伸介の怒りを買う。

この時、兄弟というが本当の兄弟なのか、それともヤクザ組織の兄弟分なのか不明なのが最近、ヤクザゲーム?の龍が如くとか懲役太郎さんの動画をみている私としては疑問に感じた(笑。

 

その後、三橋の廓、貫銀楼にそのヤクザが大挙して暴れるが三橋は追っ払う。

 

一方、女郎にビラを渡したといって捕まった救世軍の男は廓の人間から暴行を受けるが

警察が介入すると三橋が自分ひとりが暴力を振るったと警察に連行される。実際、三橋はその場にいなかったのだが、ここで罪を被ることで義理をうり、今後、廓の中枢にいけると確信したからだ。

 

投獄されている間に妻の新珠三千代はヤクザ親分の清水将夫に250円の借金をして若狭へ娘を買いに行く。借金の利息は月 一割、期限は半年、もし滞ったら新珠の美貌に惹かれている親分と夜を共にするという条件だ。

新珠はここで鬼になるという覚悟で金を借り、5人の娘を買ってくる。

三橋が釈放された夜、新珠が買った娘のひとりの弟が若狭からやってきて姉を返せと抗議する。新珠は一人ぐらい帰してやったって言いというが三橋は暴力でその弟を追っ払うのだ。

 

三橋はさらに大店を買う・・・がなぜか映像は店の入り口や女郎が座る座敷のつくりは前の小さい店のまま。だけれど奥へ続く渡り廊下がでてくるので大きい家ということだろうが、ここちょっと気を付けてもらいたい。

 

いづみちゃんはこのところ具合が悪い。朋輩が面倒をみるとどうも妊娠しているらしい。朋輩に頼んで馴染みの若旦那へ手紙をだしてもらい、若旦那を町はずれのお寺へ呼び出すといづみちゃんはあなたの子供ができたと言う。若旦那は自分の子供だとは限らないじゃないか、こんな手紙はもう出すなと冷たく言われ、入水自殺!

 

いづみちゃんの初七日の日、新珠三千代は今日は店にでなくて良いと女郎に言うが三橋達也の怒りを買い殴られる。新珠はお腹の子がどうなっても良いのか?と三橋に言って彼は子供ができたのだ、絶対男だ!というのだ。

(その後新珠が出て行ったがいづみちゃんの死んだ場所へお線香をあげにいくために船にのっているところを三橋がみつけ)

そこで終わる。。。

 

鬼になるという割には新珠は自責の念にかられるし、三橋のお金に対する執着もあまりうまく描かれていない。宇野重吉の登場でふたりを客観的にみているが何のためにいるのかイマイチ。

ただし出演者に手抜きはない。

f:id:nihoneiga1920-1960:20210930103602j:plain

日活より