日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

雁の寺  1962年 大映

監督 川島雄三 脚本 川島雄三・舟橋一郎

出演 若尾文子 三島雅夫 高見国一 木村功 山茶花 中村雁治郎 菅井きん

   西村晃 小沢昭一

 

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今日で10月が終わります。昨夜はスーツさんの中山道を見ましたが先週、一日の後半だったので繋がりは全く覚えておらず突然途中から始まったのでちょっと面喰いました。

加納宿までですが岐阜のホテルに久々に泊まったスーツさんでした。

 

この「雁の寺」は数回みたことがあります。若尾文子を画家?の死後面倒をみることになった禅寺の和尚、三島雅夫、その寺に預けられ修行をつむ慈念という若い男、高見国一。三島雅夫のいやらしい演技が凄くて、そして慈念をこきつかい、特に便所のくみ取りシーンは本当に匂ってきそうだった・・・くらいしか覚えていなかったが、これサスペンスなんですね(初めて気づく 笑)。

 

最初から墓地がでてくるこの映画、脚本も川島雄三が担当して彼の力の入れ具合がわかる映画でした。川島監督の映画って必ず墓地、墓石がでてくるんだよね。

出てこないのは「洲崎パラダイス」

 

いまさらながらビックリしたのは和尚を殺した慈念、和尚の死体の始末を丁度葬式をあげる家のお棺に入れちゃうってところ。だからお棺の中には二体入っているのでそのお棺がとても重い。出棺間際に田舎から駆け付けた弟が兄の顔をみたいと慈念に頼むのだが、慈念は時間がないと言う。

当時は土葬だったのでお棺を穴に設置し、そこへ遺族が土を入れる。そのシーンは穴から上をみあげるという風に撮ってある。

 

行方知れずになった和尚は雲水になって修行にでた・・ということになるが

最後に慈念が和尚を殺したのではないか・・・とわかる若尾文子の動揺っぷり。

 

昭和八年当時の話なんだけれど、シーンがかわると白黒からカラーになって

昭和37年?映画公開当時の年代になり、その寺は「雁の寺」として観光客や修学旅行生、はたまた外国人が押し寄せていてその寺をあんないしているのが小沢昭一という流れで終わるのだけれど、あるブログでこの小沢昭一は後の慈念で、土産物売りをしていて居眠り?をしているおばぁさんが若尾文子・・・という話じゃないかと書いてあった。

なぜなら、その居眠りをするおばぁさん役の女優を選ぶ時、川島監督が若尾文子ににている女優を選べと言ったとか。そして慈念を演じた高見国一も小沢昭一も鼻の下にホクロがあるのだ。なんだか納得してしまった。

これが川島監督の意図する話だったとすると残念なのはそのおばぁさん(おばさん)は机?にふせって寝ているので顔はよくわからないのだ。

 

水上勉原作の映画ってなんてこう暗いのだろう・・・と思ったらこの「雁の寺」、水上は家が貧しくてやはり寺に預けられ辛い思いをした経験を元に書いたという。

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高見国一

この高見国一という俳優さんはその後あまり登場しなくなるが1944年生まれとあるのでまだ元気だと思います。「女は二度生まれる」の時よりもずっと良いと思いました。