日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

この声なき叫び  1965年 松竹

監督 市村泰一 脚本 柳井隆雄 石田守良 今井金次郎

出演 田村正和 香山美子 南田洋子 園井啓介 荒木道子 志村喬

   菅井きん 笠智衆 北村和夫 倍賞千恵子 信欣三

 

最初は田村正和香山美子の恋愛ものかと思ったけれど、なんと田村正和が母親殺しの犯人にされてしまうサスペンス!話がそれまでもガラっと変わって引き込まれた。

 

耳の聞こえない田村正和は身体の弱い母を江東区の大島の長屋で暮らしている。彼はおもちゃ工場に勤めているが同僚からは厄介がられ親しい友達もいない。亀戸のバーへ行ってビールを飲むのを楽しみにしてる。そのバーにはマダム、南田洋子と従業員の香山美子がいる。田村正和がくると香山美子はそれとなく優しく接するが、他の工員の客はおもしろくない。

 

ある日、田村と香山は外で食事をする。どうして自分に優しくするのかと田村に訊かれると香山は自分の弟のような気がすると答える。

 

家でねている田村の母、荒木道子のために香山は田村に金を渡し、これで栄養剤でも買ってあげてくれという。田村は薬局で栄養剤を母に買うと母はとておも喜んだ。さらに母の好きなワカサギを買いに土浦へ行くのだ。

 

ところが・・・・・栄養剤をのんだ母はなんと死んでいた。家のそばで警察官の姿をみた田村は怖くなり、一時姿を消す。

警察は田村が足手まといな母を殺したと断定するが・・・・

 

もうえーーーーっという展開。

ただ、警察での尋問で耳の聞こえない田村のために手話通訳らしき男性がつくが

田村は口の動きで全てわかるらしく、通訳の男性は田村が口にした言葉をまた言う・・・というなんとも変な演出となっているのが残念。

 

登場人物で園井啓介は新聞記者なのだが、「七人の刑事」でも新聞記者役だった。

ただこの映画では田村の無罪のために力を貸す新聞記者だった。

倍賞千恵子は聾啞学校の先生役。

 

香山美子の謎も解き明かされてこれは納得。

 

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衛星劇場より