日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

二階の他人  1961年 松竹

監督 山田洋二 脚本 野村芳太郎 山田洋二

出演 小坂一也 葵京子 高橋とよ 穂積信隆 平尾昌晃 関千恵子 瞳麗子

   永井達郎 須賀不二男

 

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衛星劇場より

前に見たことがあったが、後半は覚えていなくて結構新鮮だった。

 

小坂一也、葵京子夫妻は郊外に家を建てた。ローンの返済のために2階を人に貸している。しかし、2階の住人夫妻、平尾昌晃と関千恵子は3か月も家賃と食費を溜めて払ってくれない。彼らの泣き落としで同情した小坂は、自分の会社の倉庫係の職を平尾に世話するが、平尾は少しして欠勤する。部屋では田舎から長男の嫁を喧嘩してでてきた母の高橋とよと平尾が無邪気に花札をしている。怒って出て行くように言うとふたりは開き直って次の部屋が決まるまででていかないという。

困った小坂は向かいに住む巡査の家へ相談に行くと、巡査は追い出すのは難しいと言い、暴力に訴えるしかないという言いよう。少しばかりの暴力なら目をつぶるというのだ(え?)そこで平尾をこん棒で殴ると平尾はあっけなくノックダウン。

翌日、二人はつんつんしながら出て行く。結局ただで貸していたのも同然だったが、その二人は下宿代を払わずに家から家を渡り歩いているカップルだとわかる。

 

次に入ってきたのは外交評論家の夫と妻。引っ越しの荷物もステレオやら冷蔵庫やらをデパートから届けさせ、葵京子は羨ましい。しばらくすると2階の妻、瞳麗子がお金を出すから風呂を作ってくれと10万円で風呂を増築する。いい人に入ってもらったと喜ぶ小坂夫妻。そこへまた田舎から母がやってくる。迎えにきた長男にお前に相続のときに20万円だしたのだから母を引き取れ、それがイヤなら20万円返せと言われ、困った小坂は2階の夫妻から20万円を借りる。評論家ってそんなに儲かるのと羨ましがる妻だが、出勤途中の車内で小坂がふと目にした週刊誌に2階の夫妻は男は保険会社から500万円を持ち逃げし、妻は食堂に勤めていた女で地元のヤクザ?に売り飛ばすと脅されており二人で逃げてきたのだった。

 

20万円を借りているからどうしようか・・・と悩む二人。

 

地道に生きる真面目な夫婦の苦悩がなかなかよく描かれていた。

この葵京子という女優さんも優しくていかにも普通の家の妻みたいな顔なので違和感ない。小坂一也も上司の顔色をうかがうサラリーマンぶりは良かった。

 

前に見たときよりもっといろんな問題がふくまれていたのだと思った映画。一度見てまたしばらく経ってから見るのって案外いいかもしれない。

 

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葵京子と小坂一也

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ヤフオクより右端が葵京子