日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

顔  1960年 大映

監督 島耕二 脚本 衣笠貞之助 島耕二

出演 京マチ子 池部良 柳永二郎 船越英二 瀧花久子 中田康子 江波杏子

 

池部良があまりにも堅物で美女に言い寄られても相手にしない。やたらと女性の感情を意識して作った映画でちょっと退屈。主演の京マチ子池部良は年取り過ぎな感じで後半は良かったと思うけれど。

 

有名な宗教学者柳永二郎の息子、池部良は病弱な母、瀧花久子の面倒を見に来た瀧花の親戚の娘、京マチ子と暮らすうちに相思相愛になるが会社の命令でアメリカへ旅立つことになった。自分が帰国するまでこの家にいてくれと言い残し、池部はアメリカへ。

その後、瀧花久子が死去し、広い家で池部の父親、柳永二郎と暮らす。柳を父親以上に信頼していた京マチ子。ゴルフを教えてもらったりして池部の帰りを待つのだが

ある日、柳と泊りがけでゴルフへ行った夜、柳に強引に関係をもたされてしまう。

柳は翌朝、船越英二を呼んで京マチ子と結婚するから京マチ子の実家、京都へ行って了解してもらうように言う。

 

池部が帰国した。空港で花束を渡した京マチ子だが自分を待たずに父と結婚した京マチ子に冷たい態度をとる池部。そして池部は家をでてアパートで暮らすようになる。

 

若くして未亡人となった京マチ子は京都から上京してきた友人のデザイナーでやはり未亡人の中田康子を池部に紹介する。

中田康子は池部を呼び出し、お互い大人だから・・・と言って関係を迫る。しかし池部はそんな彼女を相手にしない。しかし中田は意地でも池部をモノにするためにあの手、この手。中田康子クラスの美女、しかもあとくされもなく女性のほうから言い寄ってきたのにこの池部の失礼な態度はおもしろくない(笑。池部の女性ファンの気持ちを思えば清廉潔白な池部の行動は賞賛に値するが映画としてはやっぱりおもしろくない(笑。

 

5年後・・・45才も年上の柳永二郎が死んだ。

 

柳の遺骨を納めに京マチ子池部良と京都のお寺へ二人で行く。

帰り道・・・二人はあつい接吻を交わす。

宿へ帰り、京マチ子は父親と結婚したいきさつを話す・・・自分の父親が力ずくでそんなことをしたのかとショックを受けるも、京マチ子が自分の世話をやくと自分の父親にもそうだったんだろうなどと考えてしまう。京マチ子は父親によって変わってしまったと強く思うのだ。耐えきれずに宿をでて河原町を歩く池部。京マチ子の身体は父の血が流れている・・・・息子の自分が京マチ子と交わることは許されるのだろうか・・・・

発作的に池部は東京へ帰るべくタクシーをつかまえて京都駅へと言うのだった。

 

そんなことを知らない京マチ子は風呂から上がって池部が来るのを待つ。

ところが女中が池部は急遽東京へ帰りましたと告げに来る。

ひとり泣く京マチ子だった・・・みたいな話。

 

船越英二のことを京マチ子がおじさんと呼ぶのだが彼はいったい誰だったのかよくわからない。京都の宿へ大学生の江波杏子が訪ねてくるがこれもあんまりおもしろくない。

 

「顔」という映画はやはり松本清張原作、岡田茉莉子のサスペンスが良い。

 

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オークフリーより