日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

転落の詩集  1950年 大映

監督 加戸敏 脚本 舘岡謙之助 原作 石川達三

出演 三條美紀 水島道太郎 上田吉二郎 ジョーオハラ

 

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なんと三條美紀が不良な役。物語はいたるところで古さを感じさせる。1940年に日活で映画化されたものがあって監督が島耕二なのが見たい。

 

画家のモデルをしていた美代は大学まで行った女性だが画家との間に子供ができ中退。その画家は美代のことは遊びでしかなかった。

やっとのことで借りたアパートも家賃滞納で追い出されそうな美代は赤ちゃんのためのミルクも買えず、町をさまよい歩く。そしてある美術展で赤ちゃんの父親の作品をみて切り裂くのだ。この絵は裸体で明らかに美代がモデルのようだが言及は全くないのが時代を感じさせる。

 

警察へ連れてこられた美代は反抗的な態度をとるが、唯一心を許すのは水島道太郎扮する警察官(と言っても偉い人?)だ。彼は美代の相手で絵を切り裂かれた画家を呼び美代や子供のこと話すがその画家はあんな女の子供なんて誰の子だかわからないとケンもホロロな対応。水島は切り裂かれた絵の被害届を出すか?というと美代との関係を公にしたくないようで警察に任せるという。

 

留置所では美代が赤ちゃんを連れてこい騒いだので赤ちゃんと一緒に留置されている美代の元へ水島はこれからは真面目に働くことを条件に釈放するのだが美代は子連れの自分がどこで働けべいいのかと反抗的な態度だ。

そこで水島は大学時代の友人の経営するクラブを紹介する(え?)。

美しいドレスに身を包むと美代はなかなかで売れっ子となったがある日控室で同僚のお金が無くなった。

最後まで控室にいた美代が疑われ事情を聞くとなんと美代は確かにお金を盗んだという・・・。

結局クラブ(キャバレー)をクビになってまた自暴自棄になるが・・・

 

今のように保育園もない時代だし女性が一人で生きていくのだって結局水商売くらいしか子供を育てるとなったらない。しかしこの物語の美代は意外にも平気だ(笑。

普通ならもっと暗い物語になるんだけどこの美代のサバサバ感はなんだ。

 

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転落の転の字が昔の漢字で最初読めなかった(汗。轉←これ