日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

土曜夫人  1948年 大映

監督 田中重雄 脚本 山崎謙太 原作 織田作之助

出演 水戸光子 若原雅夫 河津清三郎 伊達里子 片山明彦 伊東光一 

 

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衛星劇場より

政治家の娘、陽子(水戸光子)は父に資金を融通している成金の章三(河津清三郎)から手に入れたいと思われる。それを嫌った陽子はひとり京都へ家出。

ダンサーとして働いているところへ公爵(伊東光一)が現れる。彼の妹の卒業アルバムに陽子が写っているのを知っている公爵。陽子は誰にも言わないでほしいと頼む。陽子に目を付けた公爵は料亭へ陽子を呼び出してなんとかしようと考える。

 

その晩は一緒にアパートに住むダンサーが無理がたたってホールで倒れ、そのまま死んでしまった・・・。

ダンスホールに出没するカメラマン三郎(若原雅夫)は陽子が踊っているときの写真を撮ったり倒れた同僚の写真を撮ったりして陽子はそのフィルムを返してもらおうと店を代表して訪れることにすすが、まずは公爵の待つ料亭へと行こうとするとホールに出入りしている不良の涼(片山明彦)は陽子にそんな料亭へ行くなと止めるが陽子は話だけだからと出かける。

 

その料亭は形こそ料亭だが鍵がかかるようになっており公爵はいろいろな女性を連れ込んで一夜を共にしている。やり手の経営者、マダム貴子(伊達里子)。彼女のパトロンはなんと章三だった。

 

公爵の部屋に布団が敷いているのを知った陽子は慌てて逃げ出し夜の街を歩いているとなんとパンパン狩りで留置場へ。

そこで知り合った娘は三郎の部屋からカメラを盗んで捕まった娘だった。彼女は陽子に三郎のところへ行って自分が三郎から預かったカメラだということにしてくれと言付けを頼む・・・。

 

この映画のしゃれているところは結末が冒頭にあるところ。

2日間の出来事だけれど色々物語が交差しながら進行する。

 

いつも参考にする映画ドットコムの主演者、間違いが多くて混乱した。

なんと河津清三郎江川宇礼雄になってるし、マダム貴子が平井岐代子になってるし。

 

伊達里子をこんなに鮮明に見たのは初めてだ(笑。セリフは棒読み。

当時のお化粧のせいなのかあまり美人とは思えないけれどこの映画では河津をパトロンにもち、公爵にも気に入られる。さらにビックリなのは陽子が留置場で知り合った娘の母親でもある。ずいぶん古い人という印象なのが伊達里子なのだ。

こういう人が戦前のモダンガールと言われてた。

 

この土曜夫人という映画のタイトルは、水戸光子のことじゃなくて

伊達里子の元へ通う河津清三郎が土曜にしか伊達のところへ来ないからだというのが

何気ない伊達と河津の会話でわかるんだけど、どうしてこの題名になったのかは謎です。どうみても水戸光子、若原雅夫の出会い、恋愛ものなんだけどね。

 

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伊達里子 wikiより

夏川静江と同期だという。この映画ではすでに38才。独身の成金役?の河津清三郎

40才だ。