日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

若い傾斜  1959年 日活

監督 西河克己 脚本 池田一朗 小川英

出演 川地民夫 赤木圭一郎 清水まゆみ 浅丘ルリ子 山根寿美子 二本柳寛

   信欣三 北林谷栄 

 

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前半は面白かったんだけど後半が??残念な物語。アマゾンプライムで無料視聴♪

 

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アマゾンより

 

昼間は電力会社に勤めながら夜学で法律を学び将来は弁護士を目指している康夫(川地民夫)。同じ夜学に通う新吾(赤木圭一郎)は康夫の母が弁護士 緒方(二本柳寛)の秘書をしている事務所に勤めながらやはり法律家を目指している友人だ。

 

康夫の父は亡く、母とふたりアパートで暮らしている。同じアパートには康夫の電力会社の石炭課の課長(信欣三)と妻(北林谷栄)、そして娘の千加子(清水まゆみ)が住んでいて康夫は千加子と仲が良い。

 

夜学からの帰り、康夫は緒方の娘、美根子(浅丘ルリ子)が運転する車とぶつかるが康夫は大丈夫だと行ってしまう。康夫は同年代だがお金持ちの若者には反感があるのだ。

 

電力会社の創立40周年記念パーティーの案内状を会社の顧問弁護士である緒方の事務所へ届けるようにいいつかった康夫。緒方とは母が勤めている関係もあり知っていてなおかつやはり苦学して弁護士として活躍している緒方を康夫は尊敬している。

そこへ緒方の娘がやってきた。なんと先日康夫を轢きそうになった美根子だった。

美根子は康夫に関心をもつが康夫はつれない。

 

ある日、康夫の会社が汚職で捜査され、なんと課長が逮捕されてしまう。

その弁護に会社の顧問弁護士である緒方があたることになったが課長は逮捕前に康夫に

あるものを預ける。意味がわからず受け取る康夫。大学の授業中にその包みをあけると中身は手帳で、その手帳には会社の重役や管理職の名前と汚職のやりとりが細かく記載されていた。

課長の逮捕をラジオで知った康夫は、その手帳を課長を弁護している緒方へ預けることにする。そのほうが役に立つと思ったからだ。友人で緒方の事務所に勤務している新吾にそのことを相談すると新吾は意味深なことを言うが、気にもとめず康夫は緒方へ課長がメモ書きした手帳を預けるのだ・・・。

 

緒方を尊敬している康夫とは対照的に新吾は康夫にもっと現実的になれという。

彼はこの映画で重要な役を果たす。私は康夫より新吾のほうが好きだな。

 

あれやこれやで康夫は美根子と付き合うことになった(略)。美根子も真剣らしく将来は結婚を誓うふたり。

しかし美根子の父、緒方は反対する。緒方と康夫の母はまだ緒方の妻が存命中の5年前から関係がある。康夫もそんなことは知らない。

一見、苦学の末弁護士として華々しく活躍している緒方。別の顔を知っているのがキーマンの新吾。

 

緒方は汚職の容疑で取り調べを受けている課長をうまく言いくるめ、保釈になったら保釈金の用意もするし、家族のために300万円も会社から受け取れるようにすると言って

課長一人が悪者になって重役陣まで捜査は及ばず、捜査は終了した。ところが保釈の段になると保釈金を出すなど言っていないと言い出した。仕方なく事務所の新吾と美根子の奮闘で保釈金を用意して保釈後、課長は康夫から手帳は緒方に預けたと聞き、緒方の事務所へ行くと手帳など預かった覚えもないし、300万円はすぐには用意できないと言い出す。

意気消沈して事務所を後にした課長はフラフラと歩き、トラックに轢かれて死亡。自殺とされてしまう。

緒方と父親がそんな約束をしていたとはしらない千加子は葬儀の日に取材陣に囲まれる

(当時の取材って今では考えられないくらいプライバシーってのがなかったんだね)

 

緒方は会社の重役や手帳を返してくれと言いに来た康夫に手帳は焼き捨てたというが実際は自分が保管していた。

 

後半から???な展開・・というか???なセリフが多くなる。

 

緒方は康夫の母を田園調布の家へ連れていき、美根子に「妾だ」と紹介する。

事務所の秘書として知っていただけの美根子は康夫の母を緒方は家に入れるつもりだと聞き、だから康夫と美根子との結婚を許すわけにはいかないと言われ衝撃を受ける。

康夫の母もまさか美根子の前でそんなことを言われるとは思わず家を後にする。

 

自分の妾だという紹介の仕方はどうよ?(笑。家にいれるつもりというセリフは

籍をいれるのかそれとも単に同居するのかなんだか不明・・・

その後、美根子と日光の別荘に行った緒方はさらに康夫が美根子と結婚したいのは

「緒方」の家が欲しいのだ・・・みたいなことを言うけれど、じゃぁ康夫の母を家に入れるのってどうよ?(笑 と思った。

 

緒方が課長から預かった手帳を偶然手に入れた新吾・・・。

新吾はある意味「ユスリ」で亡くなった課長がもらうはずだった300万円を重役から受け取ることに成功する。

しかし彼は知っている。もし緒方の手にこの手帳があったら緒方はもっと会社から金を受け取り、そしてその金は課長の家族には渡らないことを・・・

 

千加子は康夫に恋しているが康夫が美根子に惹かれていくのがわかる。

ある晩、一度新吾と行ったバーへひとりで行くと新吾がいた。

千加子は酔っぱらってしまい、電車がなくなる時間なのに駅前で歩けない。

そんな千加子をなんとか送っていこうとする新吾にホテルのネオンが目に入り・・・

この演出よかった。そのあとの千加子は康夫が好きなのに新吾に体を許した自分が許せないのか新吾にはつれないのだが新吾は千加子のために300万円を手に入れるのだが

そんなそぶりは見せず、300万円も康夫を通して渡してもらう。

新吾役の赤木圭一郎はクールでよかった。

 

当時の若者を描いた物語だけれどこれって私

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日活より


の親世代が若者だったころの話なんだよねぇ。赤木圭一郎川地民夫も死んだけど浅丘ルリ子、清水まゆみはまだいます。

やっぱり女性は長生きですなぁ。