日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

闇を裂く口笛  1960年 日活

監督 森永健次郎 脚本 原源一

出演 沢本忠雄 笹森礼子 高山秀雄 飯田蝶子 草薙幸二郎 加原武門 高田敏江

 

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日活最盛期?の時代。一時間にも満たない映画だけれどよくできている。

多少描写不足でわからないところもあるが私はこのくらいスピーディーな話の展開が飽きない、眠くならない(;'∀')

 

夜間大学に通う新一(沢本忠雄)には清(高山秀雄)という友人がいる。彼らは貧しく、新一は売血でお金を得るが、清は学校など行っても昼間部を卒業したやつらに社会でこき使われるだけだと街のヤクザ一家に出入りして金持ちになろうとしている。

清は合理的な考え方の持ち主で、ある日ヤクザ同士の抗争で殺人を犯した出所したばかりの角太郎(草薙幸二郎)の替え玉として警察に捕まるように組長(加原武門)から言われるが、出所後の約束が守られるように証拠が欲しいなどと言い出しリンチを加えられるが、田舎から清の母が危篤だと知らせに来た娘の道子(笹森玲子)から偶然話をきいた組の幹部が死にそうな母は盲目でダム建設のときにもらった賠償金400万円をもっていることを知る。道子の話では清はずいぶん前に故郷を出奔し、清の顔を知る者は今はいないという。

その400万円を奪おうと清の替え玉に角太郎を考えるが、トシからして清らしくない。

清はじゃまだと角太郎は清を殺そうと提案するが、組長から殺すことばかり考えるなと

清にはうまいことを言って金を私警察に捕まってもらうことにする。清の替え玉は新一を脅して道子と共に母の待つ家へ行く。清に成りすました新一の友人として角太郎がお目付け役として付いてくる。

 

その家には清の義理の兄の嫁(高田敏江)が義母の面倒をみながら小さな店をやっている。清の兄は死んでしまい、嫁は知り合った男性と別の地で店を持ちたいが義母が盲目になってしまい困っていた。見かねた妹が道子で、清の母(飯田蝶子)が今にも死にそうだと嘘を言って連れて帰ったのだった。

 

盲目の母から声をかけられても新一は罪悪感にさいなまれうまく会話もできない。

角太郎はそんな新一を脅したり、殴ったりしていうことをきくようにいう。

母がすぐ死なないことを知った角太郎はある日彼女が新一にみせた現金の束を銀行に預けようと嘘を言わせるが、うまくいかない。

我慢しきれない角太郎は新一が散歩にでて、道子が泊まりに来た晩にこっそりお金を持っていこうとするが母が気づいてしまう。

そこでピストルをみせて脅す角太郎。道子が起きてきて畳にあったピストルを持ち角太郎に銃を向けるが、角太郎はひるまない。どうせ撃てっこないからだ。

 

一方、本物の清は組長からもらった金でクラブで豪遊し、そこで警察に捕まる。

筋書き通りだったが、面会に来たアパートの管理人から田舎から娘が来たということを知ると留置場を抜け出し田舎へと急ぐ。

家のそばまでくると銃声が2発聞こえ、慌てて中へ入ると角太郎が撃たれて死んでおりそこには怯える道子と盲目の母の姿があったが、追ってきた刑事に捕らえられる。

清は角太郎も自分が殺したのだと刑事に言い家を後にするが、清の口笛を聞いた母が清だ!と叫ぶのだった。

 

ここで一件落着とはならず、後に残った刑事に母は自分が銃を撃って角太郎を殺したというところで終わる。

 

清という人はドライで合理的な考えの持ち主の割には新一が2000円いると困っていることを知り、替え玉で警察に捕まる前に組長からもらったお金を私に大学へ新一のところに行ったり、死んでいる角太郎を見て自分がやったといったりする男。ここ泣かせる。

やっぱり前頭葉がかなり緩んでる(笑。

 

日活より