日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

ぼけますから、よろしくお願いします。  2018年 

監督・撮影 信友直子

 



102分ほどのドキュメンタリー。高齢者に片足をつっこんでいる身としては将来の自分と重ね合わせて眠くならずに視聴。

 

監督の両親のドキュメンタリーだが母の認知症のことのみならず大正9年生まれの父親も興味深かった。

母親は85才でアルツハイマー認知症と診断されるが、94才の父が呉で面倒をみる。

認知症というと暴れたり、徘徊したりが強調されるけれど、彼女の場合は進行がゆっくりな気がする。しかし料理は作れなくなったり、風呂の掃除が大変になったりで結局ヘルパーさんを頼むことになるが、このおうちの二人は敷布団で寝ており、毎朝布団をしまうのだが、寝る部屋にある押し入れではなくて廊下を挟んだ小さいダイニング?のような部屋の押し入れへしまう。布団て座ったり、立ったり、そもそも深く腰掛けられなくなったら布団に入ることもできないのにすごいと思った。

 

さらに洗濯。二層式の洗濯機が廊下に置いてあって、母は洗い流すのは風呂場でたらいをつかっている。節水ということで昔からそうだった模様。それにしても二層式洗濯機をいまだにつかっているのは凄い。水は風呂場?からホースを引っ張ってきて入れていて洗い(だから水の量は自動ではないと思う。多分、彼女がで確認)、流すのは風呂場で手で流し(3回する)、脱水機にいれてるんだろうと思う。

 

生活そのものが運動って感じ。

 

父親は家で書物を読んだり、なにか歌っていたり(うなってる?)、一日中家にいるんだけど頭ははっきりしている。腰は曲がっているが。ただ耳が遠い。

彼はコーヒーメーカーでコーヒーを入れる。コーヒーカップはいつもソーサーとカップが対になったちゃんとしたものでマグカップではないところになんだか感動。

うちではお客様に出す以外はマグカップなのでなんだか反省(笑。

結構大きなカップになみなみと注ぐコーヒーは美味しそうだった。

 

よく認知症予防であれがいい、これがいいということが言われるが

このドキュメンタリーをみるとなんだかわからなくなった。

父親はずっと家にいるのに認知症にはならず、社交的で裁縫、家事、そして書道展で大賞を取った母が認知症になった。手を動かしたり、人と接するは良いときくし女性のほうがおしゃべりで近所づきあいなんかも男性よりしてきてるのになんなんだ?

それとも読書のほうが良いのか?

 

思わず涙が出たのは母親の手を父親が握る場面。

いつも手を繋いでいる夫婦じゃなかったから涙がでたんで、これが世の流行で手を繋いで歩いていた人たち(最近お洒落な高齢者でよく見る。もちろんまだ元気で歩ける人たち)だったら別になんとも思わなかった。

 

呉弁とでもいうのか方言も癒された。そういえば仁義なき戦い菅原文太が演じたヤクザは呉出身だという役なんだよね。

 

この夫婦、どうなったんだろうと思ったらなんと続編が作られ、今年、2022年3月に封切られていた。見たいなぁ。

 

このドキュメンタリーで呉でとても有名になった夫婦だとネットにある。