日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

地獄の曲がり角  1959年 日活

監督 藏原惟繕 脚本 馬場当 山田信夫 

出演 葉山良二 稲垣美穂子 南田洋子 大泉晃 近藤宏 二本柳寛 高品格

   田中筆子 河上信夫 松下達夫 山田禅二 川辺健三 嵯峨善兵

 

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日活より

 

数年前に動画がアップされていて非常に印象に残った作品。そのチャンネルは突然なくなっていたが最近アマゾンプライムで無料視聴できるようになった。

 

葉山良二が金を目にしたときの眼の輝きがスゴイ(笑。

 

牧(葉山良二)は同僚とサイコロ賭博に興じるホテルのボーイだがそのホテルを利用した訳ありな男女を地元のヤクザものに連絡し、客を強請る情報を流すかわりにチップ程度の金をもらっているが、ヤクザばかりが儲けていることに納得はしていない。牧の恋人の章子(稲垣美穂子)は花屋に勤めながら10万円でその花屋を譲ってもらい、いつか自分が経営することを夢見ている地道な女性だ。そんな章子は金のためなら危ない橋を渡っても良いと考える牧にハラハラし通しで忠告もするが牧はきかない。

 

ある晩、ホテルの一室で殺人がおこる。最初に見つけたのが牧と同僚のニシ(大泉晃)だが、ニシが慌てて部屋を出ているすきに殺されてベッドの隙間に倒れている男の身体に札が落ちており、思わず拾おうとする牧・・・

 

血まみれで倒れている男の身体に札が散らばっているところを見た牧の眼

 

警察の現場検証が済んで、牧はまた事件のおきた部屋へ行く。犯人は何かを探したらしく部屋は荒らされているが偶然花瓶の裏に貼られていた鍵の片割れ?をみつける。包んでいた紙には三分の一の鍵と書かれている。

その後、被害者がある贈収賄事件に関係した役人だと新聞で知った牧は行方不明になったという一億五千万円につながる鍵の一部だとふんだ。これは大金をつかむチャンスだ。

牧は見つけた鍵を章子に預けるが、翌日、その事件の起きた部屋の隣に女が泊まりに来た。夜中にその女は事件の部屋へ入り、何かを探す・・・その部屋にはすでに牧が潜んでいてその女、貴子(南田洋子)を問いただすが・・

 

貴子は最後の最後まで謎な女だ。牧も牧で信用できるのは恋人の章子だけだが、章子は

そんな牧についていけない、しかし、牧を愛している・・・という女心。

 

大金を手にしたい牧はホテルの同僚のニシ(大泉晃)と組んで、部屋に録音機を仕掛け、自分達で訳あり客を直接強請って金を手にするようになる。これが面白いように金が入った。

 

客から強請った金を目にする牧の眼!

牧から宿泊客の情報がなくなったヤクザたちは、牧たちボーイを制裁するが

それが逆にヤクザの組を壊滅させることにつながり、牧は彼らに代わって街をのし歩く、ってのもおもしろかった。その時の乱闘でヤクザ組織のカブ(高品格)は牧に太ももを刺されてのちに松葉づえ姿になり、牧はカブに顔を斬られて安藤昇みたいな傷ができる。堂々の街のボスになった牧!松葉づえになったカブから恨みを買っているところも物語の付せんのひとつ。

 

牧の出世はアメリカ映画の「グッドフェローズ」みたいだった。

 

一時間半の物語、スピード感あって飽きさせない。

金に執着する人間の狂気がこわいほどだ。

いつもの芦川いづみの相手役として(好青年)の葉山良二とは全く違う人物なのでその差にもビックリ。

 

 

燃えた札を目にする牧だが・・・

 

日活より