日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

美しい庵主さん  1958年 日活

監督 西河克己 脚本 窪田篤人 西河克己 原作 有吉佐和子

出演 小林旭 芦川いづみ 浅丘ルリ子 東山千栄子 高橋とよ 七尾伶子

   小沢昭一 天草四郎 田中筆子

 

 

www.nikkatsu.com

 

日活より

爆笑と風刺と哀愁を込めた青春コメディ編とある。

確かにしばらくは学生の小林旭浅丘ルリ子や田舎の尼寺の尼さん同士のやり取り

なんかはコメディタッチの軽い物語だった。

なかなかいづみちゃんが出てこない(笑。

 

俗にいう「お年頃」に達した男女の感情を描いた物語でシリアスなところもあっていづみちゃんの境遇に思わず涙・・・した・・・。

なんと原作が有吉佐和子で納得。

 

家が貧しく、幼いころ口減らしで尼寺へ出された昌妙尼(芦川いづみ)。

庵主様の昌光(東山千栄子)の後を継ぐために今は地元の大学へ通い、3年後は東京の佛教大学へ行くつもりだ。

 

そこへ庵主の姪、悦子(浅丘ルリ子)が友達を連れて遊びにくると手紙がくる。

 

ところが連れて来たのは男子学生の昭夫(小林旭)。ビックリしつつも離れに泊まらせることにするが、ここでも昌光は男女同室では何かあっては困ると言い、智円尼(高橋とよ)はそんなことはない・・・とひと悶着。

 

ここでルリちゃん、設定は大学4年?らしいが実年齢は18歳(封切り時)・・・もしかしたらまだ17歳じゃなかったのか??それなのにタバコぷかぷか(笑。

小林旭も20歳になってるのか撮影時はまだ19歳なのか微妙。

 

ある日、悦子と昭夫が町へ出てみると、昌妙がネクタイを買っているところを目撃する。二人は昌妙がネクタイを渡す相手に興味深々となるが、そのネクタイは昌妙の兄が

役場に就職が決まったお祝いで買ったものなのだ。

 

美しい昌妙の元にラブレターが届くが昌妙はそのラブレターを過去に男に騙され、もう男はたくさんだという智道尼に気軽に見せたりする。

智道尼は昌妙尼に男はたくさんだと言うが、そもそも昌妙尼は男性と付き合ったこともない。ただどこの誰だかわからない男性からもらったラブレターを捨てずに取っている自分もいる・・・。

 

そこへ昌妙尼に会いたいと男性が寺を訪れる。

彼は昌妙尼が大学へ通うために通る駅の改札にいる駅員だった。自分への愛の告白をきくが昌妙尼は昭夫に帰ってもらって欲しいと奥へ引っ込んでしまう。

昭夫がその駅員に昌妙へ出したラブレターの山をもって現れ、この手紙は返すと昌妙が言っているのでお返ししますと言うと、彼は自分は北海道へ転勤するので告白にきたと告げる。そして昌妙が使っていたふろしきを喜んで返されたラブレターの山を包んで喜んで帰っていく。

 

なんだかわからないが哀しくなった昌妙は思わず昭夫に抱き着いてしまう。

そこへ悦子が出くわし、昌妙は慌てて自分の部屋へ、昭夫は悦子に勘違いだと言って

抱きしめて悦子に接吻!

 

その夜、悦子は昭夫の布団と自分の布団をくっつけて部屋で待っている。

昭夫は「自分達の青春をもっと大事にしよう」と言うのだった・・・

(ま、現実にはあり得ないと思うけど 笑)

 

そして昭夫と悦子が東京へ帰る日。悦子が昌妙に東京へ来たら遊びに来てねと言うと

昌妙は東京の大学には行かないかもしれないという。

 

バスに乗った二人を見送った昌妙は軽快な音楽がかかるラジオをもってひとり物思いにふけるのだ。

 

男性にひどい思いをさせられて尼になったわけではなく、幼いころから尼寺で尼になる運命のいづみちゃん。それでも年頃になると自分の境遇や心のうちに疑問をもったり人と比べたりして哀しいんだろうなぁ。題名とおり、いづみちゃんは美しかった。

 

ところで小林旭マイトガイチャンネルで彼が芦川いづみの剃髪姿を「大きいキューピーさんみたいで可愛かった」と言っていた。なにその例え(笑。

 

智道尼を演じた女優さんて七尾伶子っていうんだね。懐かしい顔。

七尾伶子



日活より