日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

春泥尼  1958年 日活

監督 阿部豊 脚本 杉浦健郎 原作 今東光

出演 左幸子 筑波久子 岡田真澄 二谷英明 小杉勇 田中筆子 細川ちかこ

   沢本忠雄 南寿美子 小園蓉子 東恵美子 小沢昭一 

 

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今東光原作。

若くして尼になった女性の心のうちを描いた作品。

 

筑波久子の腋毛に度肝を抜かれた(笑。昔クロキなんとかという腋毛を見せる女性が話題になったけど、それくらい衝撃的な筑波久子だった。)

ただ、当時は今のように腋毛を剃るなんてことは普通してなかったんだろう。

 

貧農に生まれた春枝(筑波久子)は家のために尼寺へいくことを決心する。

下宿する中学の先生の泉田(二谷英明)とはお互いに惹かれあっている仲だったが、泉田が控えめで春枝と接吻もできない。

 

映画冒頭、筑波久子が髪を洗っている。そこへ二谷英明が帰ってくると筑波久子が髪の毛を拭きながら二谷に話しかける。そこで思いっきりの〇毛見せなんでほんとビックリ(笑。

 

尼寺では光映(細川ちか子)から水を浴びせられたり辛い仕打ちをける。

この場面では下着になった筑波久子が頭から水をかけられ、なんと

〇首がぁああああクッキリ・・・・。左幸子の出演もあったので、もしかしたらソッチ系?尼寺だし・・・と思ったがその後はひとりの若い女性としての心情がちゃんと描かれていた真面目な作品であったので(なぜか)ホッとした(;^_^A

なにせ

「法衣をまとうとも私は女!尼僧の愛欲を描く情炎編」がキャッチコピー・・・

 

御附弟の春鏡(左幸子)は春枝と同い年ということもあり、春枝をたいそう気に入り

春枝の得度の後は共に京都の尼学校へ行く。

ある日、春鏡と春泥という名になった春枝が散歩をしていると同じ学校の妙宣尼(南寿美子)が若い男と抱き合い、接吻しているところを見てしまう。

妙宣尼は結婚を約束したその男の子供を身ごもり、その男性が田舎へ結婚の許しをもらいに行くが彼は途中に亡くなってしまう。妊娠を知られ、田舎の寺へ帰すと言われた彼女は世をはかなんでお堂に放火?して自殺。

火事でみんなが逃げ出したその晩に水に濡れた春鏡は着替えのために停めてあった車に乗る。

そこへ車の持ち主の平沼(岡田真澄)と友人の浅井家の息子、藤太郎(沢本忠雄)が戻ってきた。

浅井家は春鏡の寺の檀家でその後、4人は顔見知りになる。

 

春鏡と街へでた春泥は平沼に声をかけられ送っていくといわれるが春鏡だけが乗ることになる。

夜になっても帰ってこない春鏡。彼女は平沼の誘いで車中、接吻され口説かれる・・・

その気になった春鏡だがやはり気が変わり車から逃げ出して寺へ。

 

春泥は春鏡の名代として檀家回りをするようになるが浅井家の法事でやはり平沼から車で送るといわれるが行った先は料理屋であった。少しならと酒を飲み・・平沼からは

浅井の妹とは結婚するがそれは自分の会社の資金の調達のためで一番好きなのは春泥だと告白される。駆け落ちしてもよいとまで言われ春泥はすっかり平沼の虜となるが・・・

 

そんなある日、学校で一緒だった素順(東恵美子)が訪ねてくる。3人で一つ部屋で今でいうガールズトークするが春泥はなんでお坊さんは結婚できるのに尼は恋愛もできずに一生ひとりでいなければならないのだと言う。

確かに(笑。

 

結局春泥は平沼の子を宿し、そのことは寺でもうわさで広まった。彼女は平沼と一緒になろうと春鏡の許しを請い、寺を出て平沼をいつもの待ち合わせ場所で待つ。

春鏡は自分は恋愛もせず、このまま年を取っていくのだ、羨ましいという。

ところが平沼は君の魅力は墨染めの衣をまとっていたからであって、そのユニホームを着ていない普通の女になったものには魅力は感じないと言い放い去ってしまう。

なんだそれっ!(笑。

 

寺にも戻れず実家へ帰った春泥だが父親は烈火のごとく怒る。そんな中でも近所の坊さん(小杉勇)は子供は自分が引き取るからと春泥を励ますのだ。

しかし、春泥は重労働がたたって流産してしまう。

 

そんな時、御附弟の春鏡が門跡になるという。

春泥はいてもたってもいられず門跡になった春鏡を訪ねた。寺を去る時に相手の男の名は明かさなかった春泥だが、春鏡には本当のことを打ち明ける。そこで春鏡は平沼とのことを思い出し、自分が春泥(と同じ立場になる)だったかもしれないと春泥を責めるようなことはせず、春泥はまた寺で修行することになるがある晩置手紙を残し春泥はひとり、修行へ旅立つのだった・・・。

 

最後がやけにあっけないが、まぁ許そう。

尼さん系の映画ってポ〇〇でよく取り上げられるんだけど、この映画で岡田真澄が言うように墨染めの衣ってところが男性に火をつけるのであろう(笑。

 

ところでこの映画は皇族・公家が住職を務める由緒正しき尼寺が舞台。

そして御門跡とは寺の住職のことだとある。

御附弟は法脈を受け継ぐ弟子のことだそうです。

 

 

日活より