日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

絞首台の下 1959年 日活

監督 西河克己 脚本 高岩肇

出演 長門裕之 稲垣美穂子 渡辺美佐子 永井智雄 芦田伸介 清水まゆみ

   赤木圭一郎 香月美奈子 内藤武敏 信欣三 高品格 

 

 

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怪奇と戦慄の本格スリラー巨編!と日活は言っているが・・・。

 

十勝の開拓農家の娘、千早(稲垣美穂子)はある日、幼馴染の憲(赤木圭一郎)から4年ぶりに便りが届く。憲は船乗りだが同じ仕事に長くはつけないような男であったことが千早の兄のセリフでわかる。憲は千葉県にいるらしく、千早は早速、憲を訪ねて本州へ渡る。その連絡船で知人の島本(木浦祐三)に声をかけられる。彼は横浜の貿易会社で働いているといい、憲を訪ねるというと彼も久しぶりに会いたいと千早と共に手紙に書かれた住所を訪ねるとそこは刑務所だった・・・。

 

千早は兄の後輩で今は東京の新聞社に勤める乾(長門裕之)に千早の案内を頼んでいたが千早が新聞社に電話すると乾は新聞社を辞め、自立して情報社を営んでいたがそこへ連絡しても彼は外出中で島本と一緒に千葉へむかったのだった。

 

刑務所で面会した千早に憲は殺人で服役しているといい、ショックを受ける千早だったが憲の頼みで差し入れを買いに席を外すと島本がロシア語で憲と会話し、同席の刑務官に注意されたりする・・・。島本と憲はサハリンで育ち、ロシア語が堪能なのだ。

そんなことも知らず、差し入れやから出てきた千早はでてきた島本にそくされ、刑務所を後にして東京の乾の元へ身を寄せる。

 

乾の恋人は法医学者の久美子(渡辺美佐子)で乾を陰に日向に助けることになる。

 

千早は再度面会に訪れた差し入れやの待合室?で憲の弁護を引き受けたという岩淵弁護士(永井智雄)に声をかけられる。ちょっと様子を見に行くと刑務所へ入った岩淵だが

その後刑務所が騒がしくなる。戻ってきた岩淵に様子を訊くとなんと脱獄が発生したといい、それが憲だという。

 

乾は千早の話を総合して考えると裏になにかあると独自に調べることにするが・・・

 

ネタバレだが、憲の乗っていた船に積んであったものを巡って殺人がおこっていくのだが、脱獄した後拉致状態の憲が岩淵弁護士の葉山にある別荘にいるから助けてくれというメモ書きが乾の事務所に投げ込んである・・・そこで乾と恋人の久美子が葉山に向かうという設定。葉山の別荘はすでにもぬけの殻で憲がベッドルームで縛られていた痕跡があるのだが、そんな状態の憲がどうやって東京の(多分 東京駅ー有楽町間の線路下の事務所)にメモ書きを残せるのだ???(笑。

 

謎解きはなかなかおもしろかった。

時代なのかやっぱり米軍?がらみで乾は米軍基地(これ本物のよう)にも調査へいったりする。

 

千早は北海道へ帰るが、兄からまだ帰らないと電報がくる・・・が、三日後に無事に千早が帰ったことがわかり、乾の事務所の事務員(清水まゆみ)が千早に出来事を訊きに行くシーンがある。それ以降千早(稲垣美穂子)の出番がないが上野から発った列車の中で謎の女(香月美奈子)に声をかけられ、憲に会わせるからと東山温泉の旅館で3日間いたというが誰も現れず、北海道へ帰ったことが判明。←これは乾の注意を千早にすることの時間稼ぎ?みたいなようだがいまいちパンチがたりず、このシーンいるの?って感じだった。

 

赤木圭一郎の顔をなかなか映さない演出はよかった。彼はまだ新人だったけれどすでにこういった映画にちょこちょこ出演しその後の活躍は知ってのとおり。やはりスター性のある人は入社すぐに会社から目をつけられるのだろうか。

 

小林旭もそうだった。

 

絞首台の下という思わせぶりなタイトルだが、誰も死刑にはならない。