日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

南の風 瑞枝の巻 1942年 松竹

監督 吉村公三郎 脚本 池田忠雄 原作 獅子文六

出演 佐分利信 高峰三枝子 笠智衆 水戸光子 河村黎吉 葛城文子 斎藤達雄

   日守新一 文谷千代子 飯田蝶子

 

”兵の家 護る銃後の 隣保愛”と最初に出てくるので戦争プロパガンダ映画かと思ったが、そんなこともなく(多少あり←どっち?笑)獅子文六原作なので面白い。

 

元男爵家の次男坊 六郎太(佐分利信)は10日ほど前に会社をクビになり家でブラブラしている。空気銃を撃つことが好きらしいが、今なら危険人物だ(笑。

で、長男はどうしてるのか??

妹の同級生で今は家が没落し父(河村黎吉)とおでん屋をしている瑞枝(高峰三枝子)に突然結婚を申し込む・・ってところがスゴイ(;^_^A。

瑞枝はハッキリしない。

妹はおでん屋なんかをしている瑞枝を軽蔑しているようだし、母にそれとなく自分の結婚相手を訊くと、士族の娘でないといけないと言われる。

 

仕入れ帰りの自転車に乗る高峰三枝子

 

最初は佐分利信高峰三枝子の恋愛、結婚話がメインの映画だと思い、(多分)恋敵として水戸光子が出てくるんだろうなぁ・・と思っていたら話は全然違うほうへ。

 

父が眠る鹿児島の墓参りで母、妹と鹿児島を訪れた六郎太。そこでばったり六郎太が若いころ放浪したシンガポールで知り合った重助(笠智衆)と再会する。

彼はずっと南方にいたが、インドネシアで砂金がとれる川の存在を知った。ところがマラリアに冒され場所の記憶が一切なくなった。彼に砂金のありかを教えたインドネシア人はその場所を教えるのと引き換えに日本で西郷隆盛の遺児を教祖とする新興宗教・大紅教を広めてくれたら引き換えに場所を教えるという。

 

西郷隆盛の遺児の話を聞く佐分利信

ロマンあふれる話に六郎太はすっかり乗り気となり、自分が受け継ぐ財産をつぎ込み、大紅教の建設にとりかかる・・。

西郷隆盛の遺児を探しに日本に戻ったという笠智衆

六郎太の噂を聞きつけた瑞枝は、六郎太に忠告するが「女のくせに黙っていろ」と激高・・・怒る六郎太を見て瑞枝は「なんて男らしいの・・(え??)」とうっとり

って、今じゃ考えられない展開(笑。

瑞枝の巻とはなっているが、高峰三枝子の出番はそんなになく、肝心の水戸光子笠智衆がもっている写真のみだった。次へ続く映画でした。

あなたは騙されているという高峰三枝子だが・・・

鹿児島で六郎太の伯父で西郷隆盛に詳しい斎藤達雄が禿げ頭で登場する場面がある。とにかく画像、音声とも悪くて斎藤達雄だとは気づかなかった。

 

斎藤達雄佐分利信

文谷千代子という人が佐分利信の妹役なんでしょうか。

 

飯田蝶子佐分利信の妹役(文谷千代子?)