日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

見事な娘  1956年 東宝

監督 瑞穂春海 脚本 井手俊郎 原作 源氏鶏太

出演 司葉子 小泉博 笠智衆 沢村貞子 土屋嘉男 小林桂樹 斎藤達雄

   吉川満子 伊豆肇 北川町子 森啓子 杉洋子 本間文子 山本廉

 

日本映画専門チャンネルより

昨夜、久々にアマゾンプライムビデオを開いたら、知らない日活作品がアップされていて興奮(笑。とりあえず、数本「後で見る」に保存した。

 

で、「見事な娘」

やっぱり、東宝司葉子っていいなぁ~と思った作品。彼女がデビューして間もない頃の作品。

 

左から 森啓子、北川町子、司葉子

 

丸の内のOL、桐子(司葉子)は朝の通勤電車内でスリに注意するようにと見知らぬ男性に言われ、同じ東京駅で降りて少し会話をする。そこを桐子の同僚で「ラッパ」と呼ばれている周子(北川町子)に目撃されしつこくその男性のことを聞かれるが桐子も彼のことは何も知らないのだ。ラッパと呼ばれるのは噂話好きのおしゃべりだからだそうで、まぁ、女性は総じて「ラッパ」が多いんじゃないでしょうか(笑。

 

同僚の鈴子(森啓子)はお金持ちのお嬢さん(という噂が社内で囁かれている)。

ある日、会社で倒れ、桐子は鈴子の家まで送り届けるが、彼女の家はお化け煙突の見える南千住のあばら家?で、家では病弱な妹と母親が内職をしている・・・。鈴子は身ごもっていたが流産し、しばらく会社を休むことになる。

会社ではラッパの周子が桐子に鈴子の家は立派だったんでしょうなどと訊いてくる。桐子は話を濁し決して本当のことは言わない(えらい!私なら・・・言っちゃうw)

その後、心配して鈴子の家を訪ねた桐子は入院したときいて病院を訪ねる。当初、プライドもあって桐子に帰れという鈴子だったが、相手の男性のことを桐子に話し、桐子は入院費に困っている鈴子のためにその男性の元を訪ねる・・・。

なんとその男は田園調布に住むお金持ちの家の男(伊豆肇)だったが、鈴子のことは全く心配していない。桐子はそれでも一万円くださいというと、なんと桐子と銀座でデートしてくれるならその時に渡すなんていう始末。怒って家を飛び出した桐子。その時犬を連れた男性に声をかけられる。なんとその男性はせんだっての車内で知り合った男性だった。お互い名乗ると彼、雪村志郎(小泉博)は桐子の訪ねた家の次男で兄がさきほどの男だとわかる。それを知った桐子はまたぷりぷりして駅へ向かう・・・。

 

そんなことがあったある日、桐子の会社へ義姉久美子が訪ねてくる。兄の信夫(土屋嘉男)は父にダンサーあがりの女、久美子(杉洋子)との結婚を反対され、二人は大阪に逃げるように行っていた。

ところが久美子がいうには二人とも仕事がなく、信夫が桐子ならお金を貸してくれるからというので大阪から出てきたという。桐子は毎月コツコツ貯めた貯金、5万円があったので、喜んでそのうちの3万円を久美子に渡す・・・。

で、この描写が良かったのだが、

お金を受け取った久美子は桐子に奢るからお茶でも飲みに行こうと誘うのだ。

桐子が貸したお金を使ってお茶を奢るという義姉(といっても籍はいれていないようだ)に不審な顔になる桐子。こういったことが付箋となり後々久美子の行動に納得する(笑。

 

桐子の父、耕造(笠智衆)は小さな会社の重役だが、資金繰りに窮している。

100万円を集めに奔走するが、90万円まで集まった・・・あと10万円。

ふと桐子が前に5万円の貯金があると言っていたことを思い出し、娘に借金を申し込む・・・桐子は先日、義姉に3万円を貸してしまった。手元には2万円しかない。

しかし、父親には兄のために3万円を貸したとも言えず・・・

 

こんな感じで話が進んでいく。色々てんこ盛り(なんか古い言葉だw)だが焦点は桐子のことなんでブレない。

 

小林桂樹は密かに司葉子を慕っているが司葉子はいい友達だとしか思っていない。

最後のほうで車道をなかなか渡れない司葉子の手をつかみ渡り切ったところで二人が手をつないでいたことに気づいて・・・っていうシーンの小林桂樹の顔が良かった。

 

また、小泉博の両親が斎藤達雄、吉川満子だが、吉川満子が司葉子に根ほり葉ほり家の事情をきいて「それじゃぁ、お嫁にいくわけにはいかないわね」などといって司が憮然と家を飛び出す・・・ってところの吉川満子の質問っぷりは自然で最高♪

司葉子も負けじと「志郎さんと結婚したいなんて言いませんから安心してください」という捨て台詞(笑。

 

でも最後は・・・この終わり方もしつこくなく感じでなんとも爽やかな気持ちになった映画。

題名の通りの「見事な娘」な司葉子でした♪

 

オークファンより