日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

何故彼女等はそうなったか 1956年 新東宝

監督 清水宏 脚本 清水宏 原作 竹田敏彦

出演 香川京子 浪花千栄子 高橋とよ(高橋豊子)池内淳子 三ツ矢歌子 原千佐子

   藤木の実 花岡菊子 宇治みさ子 中村雅子 

nipponeiga.com

 

 

東宝の女優さん勢ぞろい。すでに社長は大蔵貢だったらしいがこの作品については何も言わなかったらしい。香川京子はこの作品を最後に新東宝を去ってフリーとなった。

まぁ、正解でしょう。

 

四国の丸亀。放浪癖や薬、売春、盗み・・問題のある少女が収容されている施設での物語。清水宏はこの映画を通して世の中の彼女たちに対する受け止め方をなんとかして欲しいと問題提起している。

 

放浪癖のある少女、弘子(中村雅子)が学園にやってきた。彼女の家は裕福だが、実の母は亡くなり継母はいるが彼女は甘えられずに育った。その悲しみもあって彼女は家出を繰り返し、結局学園送りとなった。

夜、寂しさから小田先生(香川京子)の寝室へ行き、思いのたけを言う。小田先生は優しく彼女を抱きしめるのだ。

 

ある日、仕事を手伝ってほしいといううちわ?を作る工場の店主が現れ、学園では成績のよい2人の少女を雇ってもらうことにするが、工場で働く女性たちが彼女たちと一緒に仕事などしたくないから全員が辞めると言い出す・・・。結局少女たちは小田先生とすごすご帰る羽目になる。そんなことがあったせいか、住み込みの美容室の話があったがこれ以上傷つきたくないとやはり成績がよくてその話をされた少女は仕事を断ったという。そこで学園長(高橋とよ)からいつまでも学園にいられるのも困ると言われたときいた少女たち・・・。それを聞いた清子(扇恵子)は身寄りもない。考えた末に元いた赤線の内儀におばさんだと言って自分を迎えに来て欲しいと手紙を出す。彼女は元々赤線にいたが、もっとましに生きようと学園に行ったのだが、結局おばさんと称する赤線の内儀(浪花千栄子)が迎えに来た。

 

千代(池内淳子)は貧乏人の子だくさんの長女で自分がなんとかして一家を食べさせないとと思っている。そこへある日母親が迎えにきて意気揚々と家へ帰るが、千代は赤線へ売られることになっていた。その赤線は清子がいる赤線で彼女から千代の家の話をきいた赤線の内儀が千代の母親と話をつけていたのだ。

 

季節が移り、学園のみんなで修学旅行?へ行くがすれ違った学生たちから好奇な目で見られる。そこへ千代を見たという少女の言葉で小田先生が赤線地帯へ走ると慌てて店に逃げる千代を目撃。座敷の奥へ隠れる千代に帰ろうというが、赤線の内儀(浪花千栄子)に借金を返してからにしてくれといわれ、小田先生は何もできず千代を残してその場を後にする。

 

なんか最後が二十四の瞳にでてきたような話だった(赤線ではないが)。

映画後半、妊娠していた少女が納屋で出産するのだが、妊娠していることはわかったけれど出産までの経過がわからないのは脚本がいけないのか?

茂呂由紀子という女優さんはのちの北沢典子だという。

小田先生の世の中をどうすることもできない怒りと絶望に満ちた顔はさすがに香川京子

最後の「皆さんこの少女たちを温かい心で抱いてやってください」が印象的。

東宝より