日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

黒い画集 第2話 寒流  1961年 東宝

監督 鈴木英夫 脚本 若尾徳平 原作 松本清張

出演 池部良 新珠三千代 平田昭彦 中村伸郎 志村喬 宮口精二 丹波哲郎

   小栗一也 小川虎之助 松本染升 北川町

 

ヤフーショッピングより

アマゾンからプライムビデオのレンタルか購入で使える400円クーポンもらった。

期限が5月15日までなのでどのビデオをレンタル視聴しようかと迷っていたがアップされていて有料のものはほぼ見ていて最初は「悪い奴ほどよく眠る」にしようかと思っていたが、黒い画集のあるサラリーマンの証言が非常に面白かったので第2話という

この寒流をレンタル。池部良だし。

 

が・・・どうも盛り上がりにかける展開とずっと同じ暗さ加減の進行でいまいちでした。今にも通ずるサラリーマンの悲哀なんだけどもうちょっとなんとか描けなかったのだろうか?脚本か?監督のせいか??

 

安井銀行の本店にいる課長の沖野(池部良)は同じ大学で同期入社だがいまは常務となった桑山(平田昭彦)の推しで振興著しい池袋支店の支店長を命ぜられる。

沖野の妻は身体が弱く、二人いる子供もなんとなく懐かず家庭は冷え切っている。

 

池袋支店では料亭を経営している女主人、前川奈美(新珠三千代)が得意先のひとりで

彼女から700万円の融資を申し込まれる。前の借金も一年で返し実績のある前川だが

融資金額から沖野ひとりでは決められず本店の桑山に相談すると水商売だから自分の目で確かめてこいといわれ、料亭の客として訪問。調べると顧客も筋がよく売掛金の回収にも問題がない。

 

常務の女の清算でその女に会っただけだが妻に浮気を疑われ、別れたいというなら家と子供と生活していくお金さえもらえればすぐにでも別れますと言われ面白くない。

妻は興信所で自分の行動を調べさせていたのだ。

 

仕事では奈美から今後も相談に乗って欲しいと言われ、お互い惹かれあった二人はとうとう関係をもつ。奈美からは結婚したいと言われた沖野。

 

ある日、桑山が池袋支店にやってきた。そこへ奈美が訪ねてくると奈美が美人で魅力的だと知った桑山は奈美に自分の名刺を渡す。面白くない沖野だが常務のやることには何も言えない。

今度は桑山が奈美をゴルフに誘えと言い、3人で湯河原で一泊。

常務が奈美をなんとかしようとしているのを知る沖野だがやはり黙って耐えるしかない。

奈美はなかなかのやり手でもっと都心に料亭を開きたいと思っているが沖野の立場ではこれ以上の融資は無理なのだ。

そんなある日、突然沖野は宇都宮支店の支店長の命令をうける。送迎会の式場では桑山が引き上げると他の行員も我先にと帰る。ひとり残った沖野に声をかけたのは前の池袋支店の支店長だった田島(小栗一也)だけだった。(あー悲哀 笑)

妻は自殺未遂をしでかし、奈美からは別れを切り出されるがそれでも沖野は銀行を辞めることもできず、宇都宮へ。

ある日本店に行った沖野。ふと目に入った興信所で桑山と奈美のことを調べてもらうことにした。案の定、桑山と奈美は頻繁にあいびきを重ね、その写真を手に入れた沖野は桑山を社会的に落とそうと総会屋の福光(志村喬)にその写真と情報を流し、株主総会で追及してもらうこととなったが・・・福光からは逆にガセネタだった、恥をかいたから金で解決しろと10万円を脅し取られる。

 

ある日、宇都宮支店の得意先である男から呼び出され、行った先の料亭にいたのは東京の今でいうヤクザのフロント企業一同。組長で社長だという山本(丹波哲郎)から暗に桑山への嫌がらせは辞めろと言われ、沖野はここでも桑山を負かすことができない。

 

沖野はウソの調査をした興信所の伊牟田(宮口精二)を訪ねると彼は辞めていた。

(この場面はドキドキ)転職先の中古車販売店には伊牟田がおり沖野がそのことを問い詰めると逆にそれは福光が桑山と沖野、両方から金を取ったんでしょうと言われる。

株主総会で追及するはずの福光がその前に桑山に会いに行ったのはオカシイのだ。

伊牟田は沖野の同情し、自分も桑山への仕返しを手伝うという。(なんていい人!さすがはわれらの宮口精二だw)

 

家へ帰ると妻は子供と共に実家に帰り、真っ暗だ♪

 

待合からでてきた桑山と奈美。停めていた自分の車に乗り込んで運転するがその車は桑山と同じ車で沖野が伊牟田と共に用意した車であった。そして桑山は警察へ車が盗まれたと電話。微罪なのですぐ釈放された桑山だが、沖野は奈美に貸した不正融資の話をもって本店の副頭取(中村伸郎)を訪ねる。

桑山が呼ばれ、廊下で待つようにいわれた沖野を鉢合わせる。しばらくすると桑山はなんでもないような顔で出てくる。

また沖野が呼ばれるが、あれは不正融資ではない。君が言うようなことではないのだと言われここでも沖野は桑山を落とすこともできず、がっくり肩を落とす。

 

って感じでひとり野原?みたいなところに行くんだけど、なんだかなぁ。

 

映画当初は新珠、池部、平田の3名中心で新珠が悪い女かと言われればそーでもない。

 

良かったのは小栗一也と宮口精二の場面だ。

志村喬の連れている情婦役の北川町子って小林トシ子かと思った(笑。

ただ情婦って感じがでてて彼女もよかった。セリフはないんだけど。

彼女って児玉清の奥さんだったんだね。

 

会社組織の権力争い(副頭取派と常務派)、理不尽な上司だが会社を辞めるわけにもいかず耐えるしかない。沖野は「自分は何のとりえもない人間で銀行にいるからなんとなく自分の実力を発揮できているだけで、辞めたら何もできない人間なんだ」みたいなことを言うんだけど、これってすごいセリフだと思う。さすがに松本清張先生だ。

桑山に一矢報いようとする沖野だが何事も桑山のほうが上手で絶対勝てないのだ。

 

アマゾンより