日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

今朝の秋  1987年 NHK

作 山田太一

出演 笠智衆 杉村春子 杉浦直樹 倍賞美津子 樹木希林 加藤嘉 沼田曜一

   五代夏子

www2.nhk.or.jp

蓼科で独り暮らしの宮島鉱造(笠智衆)を東京にいる息子、隆一(杉浦直樹)の嫁、悦子(倍賞美津子)が訪ねてくる。隆一が9日前にまた入院したが、肝臓がんで余命3か月と言われているという。悦子は娘や息子にはそのことが言えず、鉱造だけに伝えに来る。その後すぐ、鉱造は東京へ。しばらく隆一のマンションに寝泊まりすることになった。大学生の娘は北海道へアルバイト、息子は海外で働いているから家には悦子と鉱造だけだが、悦子はブティックを開業しており毎日仕事で帰りも遅い。

倍賞美津子笠智衆

病室の隆一は鉱造に悦子との離婚話が持ち上がっているという。訊くと離婚は悦子から切り出されたそうだ。悦子に男性の影が見え隠れするが、鉱造の元妻、隆一の母のタキは数十年前に男を作って出て行った。

タキは目蒲線沿線で小料理屋を美代(樹木希林)という女とふたりでやっており、以前、隆一がタキの店へ来た時に連れて来た友人がその後もタキの店へ出入りして彼から隆一の入院をきいたという。

病院でタキと出くわした鉱造は今頃母親顔して来るなというが、タキは心配で仕方がない。一緒に逃げた男はとうの昔に死に別れ、自分の店の2階に住んでいるタキ。

笠智衆杉浦直樹杉村春子

 

だんだん、家庭の秘密がわかってくる。悦子の男関係を知らないと思っていた娘はちゃんと知っていたり、タキを病院で初めて見た時も「あの人、お父さんのおかぁさんでしょ?」と寝ている父に言う。

父は蓼科から出てきて、母も毎日やってくる。妻はもう一回やり直したいと言い出す。

自分は長くないんじゃないか?と訝る隆一は世話に来たタキに訊く。口ではそんなことはないと言いながらタキは思い余って泣いてしまった。

慌てて部屋から出ると鉱造がいて事の次第を話す。鉱造が友人を訪ねた時、どうせ亡くなるのから好きなことをさせればよいと言われたことを思い出した。

隆一は病院にいたくない、蓼科へ行きたいと帰り際に言われた鉱造、一度は帰りかけたがもう一度戻り、隆一に蓼科へ行こうと言うのだ。

 

夜中にそっと病院を抜け出し、タクシーで蓼科へ向かう父と息子・・。

翌日の早朝になって隆一がいないことで病院から連絡をもらった悦子をタキがすでに待っていた。置手紙から悦子は蓼科へ行ったのではないかという。それを聞いてタキはお父さんは昔から自分勝手なことばかりすると大激怒。すぐに蓼科の病院へ連絡して捕まえてもらえなければと言い出すが・・・

疑似家族なのだが、娘からお母さんには別な男性がいるのになんで妻の顔をして蓼科へ行くのだ?と言われるが、死んでいく人間のために嘘をついでも優しくしたほうが良いという悦子。

家族についての作品。重い話だけれど、病院を抜け出し蓼科の家で息子の隆一が面白かったね、まるで冒険してたみたいだという。

私もそうだけれど、両親と一緒にいるといくつになっても気分は子供になっちゃうんですよね。なんでだろう?(笑。まぁ私はもう二人ともいませんが。

笠智衆

隆一は蓼科で亡くなり、タキも帰ることになった。タキのことは許せなかった鉱造だが、「どうだ、蓼科に残らないか?」と言う。タキはまぁ数年後・・と言う。

彼らがその後よりを戻すかわからない、来月も蓼科に来ようかしら?と言ったタキがまた来るかわからない、しかし!こんな終わり方が好きです。成瀬巳喜男みたいで。

笠智衆が歌うシーンがあったがあれはちょっといただけない。どうしても笠智衆に歌わせたかったのかもしれないが。

「ながらえば」「冬構え」「今朝の秋」共通しているのが男が泣くということ。

おじいさんが泣き、中年男性も泣く。80年代にそんな男性がでてくる作品てそんなになかったような気がしますが人間ですからいくつだろうが泣く時もありますね。

 

笠智衆杉村春子杉浦直樹樹木希林ももういない。すっかり中年太りの沼田曜一もいない。

笠智衆倍賞美津子沼田曜一

 

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