出演 田中絹代 菅井一郎 三船敏郎 山根寿子 宇野重吉 進藤英太郎 沢村貞子
大泉晃 柳永二郎 小川虎之助 毛利菊枝 市川春代 原駒子 浜田百合子
前にも記事にしましたが、アマプラ無料で再視聴。2時間越えですが、全く飽きない。
人間、どんな人と知り合うかによって人生が変わってしまう・・という今でも通じる怖いお話。羅漢堂の羅漢さまの顔をみて、昔の男性を思い出す田中絹代の表情がよい。
冒頭のそのシーンが映画三分の二を超えた頃にまたでてくるという演出も良い。
御所にいた十代のお春(田中絹代)が出会った男、勝之介(三船敏郎)。ここから彼女の不幸は始まる。身分違いながらも勝之介と宿屋で一緒のところを役人にみつけられ、勝之介は斬首。お春と両親は都落ちする。ところが、江戸の松平家の君主の側室としてみとめられ、彼女は江戸へ行く。お世継ぎを生めばゆくゆくはお局様だと喜ぶ父(菅井一郎)は大金を得て商売をしようと借金を重ねる。無事男の子を生んだお春だが、奥方(山根寿子)の嫉妬もあり、用無しだとして故郷へ戻る。大した金も渡されず、借金のある父のためにお春は島原で太夫となる。
殿様に気に入られているお春を睨む奥方(山根寿子)が怖い
ある晩、金銀小判をばらまく田舎大尽(柳永二郎)がお春を身請けしたいと言い出す。
こんな暮らしより妻としてその男と一緒になりたいと承諾するが、なんとその男は贋金作りで役人に引っ立てられる。
年季があけ、母と共に帰る途中で寄った門前の茶屋。女乞食(衣笠淳子)が謡をかなでている。お春が話を聞くと、これでも昔は廓で太夫と言われた女だという。
衣笠淳子・田中絹代
その後、お春は笹屋喜兵衛(進藤英太郎)の店で住み込みの女中となった。ところが喜兵衛を訪ねて来た菱屋(加東大介)がお春が廓の女だったことに気づく。さらに喜兵衛の妻(沢村貞子)からも嫉妬され店からおいだされてしまう。
実家へ戻ったお春は働き者で優しい扇屋の弥吉(宇野重吉)の元へ嫁ぐ。彼はお春の過去も全て知ったうえで嫁にもらいたいという男で、お春はここでつかの間の幸せな生活を送る。しかし!弥吉は夜道で強盗に襲われ、殺されてしまった。
せっかく幸せな生活が営めそうなときに溝口健二ひどすぎる!。
世をはかなんだお春は老尼の妙海(毛利菊枝)に尼になりたいと頼み、尼寺で雑用をすることになった。そこへ笹屋の大番頭が現れ、番頭の文吉(大泉晃)がお春にもってきた反物代を払えと言いに来た。文吉はお春が女中で上がった時からお春に好意を寄せていた男で、お寺にいるときいた文吉が勝手にお春に持ってきた反物だった。
帰せるお金もないし、反物は仕立てて、今着ている。そこで大番頭の前で着ていた着物を脱ぐお春。するとその姿に欲情した大番頭はどうせ廓にいた女だとお春に襲い掛かる。間が悪いことにその場面を尼に見られてしまう。尼はお春がそういうことをするのは自分への当てつけだ!と激怒。ここでも女の嫉妬に苦しめられるお春。
寺を追い出されたお春はやはり笹屋を出された文吉と出会う。彼は行きがけの駄賃だと店を出る時にお金も盗んできたという。そしてお春に一緒に逃げようと強引に手を引くのだ。桑名まで来たが、そこで追っ手の者に文吉は捕らえられてしまう。
たった一人になったお春は乞食となった・・・。
たまたま通りがかった幼い若様をみてお春は江戸に残した子供を思って泣く。
(ここ、本当の子供なのか、わからない)
そこを夜鷹に助けられ、お春はとうとう街娼となった。
そしてシーンが羅漢堂に戻る。
そこでお春は倒れ、病に臥せるがお春を探し当てた母から、松平の殿様が亡くなり、お春の生んだ若君が当主となる、そこで生母としてお城で暮らせることになったと聞く。
しかし、お春が娼婦だったことを問題視され、彼女は幽閉されることとなった。
結局、若様の顔を遠くからみることしかできなかったお春はそのまま行方をくらまし、ひとり巡礼の旅をする。
御所にいた頃のお春
42歳頃の田中絹代なんで十代の頃はちょっと老けてる?感がありますが、仕方ないですね。
廓から奉公があけて女乞食にお金を恵むお春が自分も同じ乞食となる・・・カナシイです。