日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

夢に見た日々 第5話 あたたかな夜 1989年11月16日 テレビ朝日

演出 油谷誠至 作 山田太一

出演 千葉真一 桃井かおり 佐野量子 坂上忍 三崎千恵子 中島唱子 なぎら健壱

第4話↓

nihoneiga1920-1960.hatenablog.com

千葉真一佐野量子

 

番組の終わりに隅田川を空から映した映像が流れます。その中で総武線の鉄橋の脇にあるビルは現存していました。

1989年当時

鉄橋を挟んで左右にあるビルは当時のまま

さらに勝鬨橋のそばで当時はひときわ目立った赤いビル

1989年当時

35年経った2024年現在は右に聖路加タワー、左にニチレイフーズのビルが建っている。

勝鬨橋周辺の激変ぶりはすざましい。前に晴海フラッグからの帰り、バスで勝鬨橋手前で降車したけど子供の頃の閑散とした感じは全くなく、高層ビルだらけ、人もたくさん歩いていた。

 

洋子は多恵子がいなくなって奮闘している。従業員は皆好き勝手なことを言うばかりでアテにならない。

慎作に意見を訊いても失敗ばかりしているといつも言う彼は自信なさげでイザとなるとその場からいなくなってしまう。

しかしこっそり店の様子を見に来ていた多恵子に気づいた洋子はアパートの前で洋子を待っている多恵子と会い、意見をきくが、やはり多恵子の考えと洋子の考えは違う。

それでも多恵子は次の日、お店に来てくれた。慎作のアイディアのテラス席をカウンターにするという計画を話すが多恵子はお客様のことを考えていないと苛立つ。洋子は必死で食い下がるが、肝心の慎作は多恵子の言う通りだと意気消沈。彼は今まで失敗したからやはり自分はまた失敗してしまうのだと言うのだ。

多恵子の言うような利益追求のお店じゃなくて、みんなが笑顔で楽しく働けるようなあたたかい店を作りたいと思っている洋子は多恵子にお金を出すのは私なのだから自分の思い通りにやりたいと言ってしまい、多恵子は立腹して店を後にする。

佐野量子桃井かおり

一方、定時制高校に通う正美(中島唱子)はバイト大学生の早川(坂上忍)と洋子(佐野量子)との仲が気になって仕方がない。正美の家は両親が不仲で喧嘩ばかりしており、そんな家にいたくなくて休業している店にやってきたのだ。

坂上忍佐野量子中島唱子

 

その晩、慎作がベンツを売ったことを知った洋子。改修資金は自分が出しているのになぜベンツを売るのだ?とシェフの倉橋(なぎら健壱)に訊くと、改修資金だけじゃなくて店の仕入れとか、従業員の給料とか新装開店するには他にもお金がかかるだろうと言われ、ハッとする。これまでは、太田の慰謝料として受け取った300万円を店に使って、汚いお金だから無駄になってもよいと思っていたが、慎作がそこまでしてお金を作り、おばちゃんと正美は新しい店のために接客の練習したり、シェフはフランス料理店のことを学ぶために皿洗いの仕事をしている・・失敗してもいいやなんて考えは間違っていたと思いなおす。

翌日、カウンターの件を工務店に伝えると、工務店の瀬川(谷村昌彦)に「アンタ、ほんとにやるの?腹決まってないんじゃないの?」と詰め寄られ、それでもまだ迷っていた洋子は返事ができなかった。困った洋子は多恵子のマンションへ行ったが、多恵子は近頃の若い子は図々しくていけないと大激怒。部屋にも上がらせてもらえなかった。

ここでの言い合いはド迫力。桃井かおり頑張れ(笑。

谷村昌彦

洋子はもうひとりで頑張るしかなくなった。自分は店の経営なんて素人だが、多恵子だって同じだと考え直す。ただ多恵子はなんだか魅力があった。このまま別れてしまうのは悲しい・・・そんなことをひとり店で考えていると、なんと多恵子がタクシーで駆けつけてくれた!彼女なりにカウンターのことを考えて来たようで二人は暗い店内で打ち合わせを始める。多恵子が来てくれたのは、自分のためじゃなく、この店に毎日の生活にはないものを求めていたと思う洋子であった。

佐野量子桃井かおり

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