日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

波止場の王者  1956年 新東宝

監督 内川清一郎 脚本 石川義寛 土居通芳

出演 宇津井健 三ツ矢歌子 久保菜穂子 前田通子 丹波哲郎 北沢彪 和田孝

   中山昭二 小倉繁 十朱久雄 大友純

中山昭二・久保菜穂子・宇津井健

YouTube動画で視聴。大蔵貢が社長時代の作品でいかにも大蔵臭満載。ただし出演者は十朱久雄や北沢彪丹波哲郎なんか出演していて後援が海上保安庁・横浜造船株式会社。三ツ矢歌子はデビューしたばかりなのかセリフがぎこちない。

「裾まくれ」事件で知った前田通子という女優さん。この作品より前に公開され話題となった女優の全裸シーン(後ろ姿)で一躍有名となり新東宝には多大な利益をもたらしたが大蔵貢の嫌がらせによって苦しんだ人。動く前田通子は初めてみました。

前田通子・和田孝

前田通子・和田孝

 

でもやっぱり大蔵貢の新東宝だっていう作品。

造船所の所長、島(十朱幸雄)は開発した特殊エンジンの申請をしたが船舶局ではなかなか再調査してもらえない。(ここで中小企業の苦しさを十朱に言わせる)

造船所にはエンジンを発明した山本博士(北沢彪)と彼の娘、和子(久保菜穂子)も働いているが、少年工と呼ばれる年少の男の子たちは仕事をさぼってばかりいる。その中のリーダー的存在の銀次(和田孝)は特に反抗的だ。

そこへ技官の水野(宇津井健)がやってくる。彼は山本博士の教え子で、船舶局にいたが上司に新エンジンのすばらしさを訴えても聞き入れられず局を辞めて来たという。

水野は自ら少年工のいる宿舎で寝泊まりし、彼らの協力を仰ぐが・・・

一方、銀次にはサリー(前田通子)という女がいるがサリーは開発したエンジンの設計図を狙う国際ギャング団の志水(丹波哲郎)の情婦でもあった。

和田孝・前田通子

そこで志水はサリーに銀次を騙し、一芝居打つことをサリーに強要する。

よくわからないのは、銀次は宿舎の管理人(小倉繁)の娘、由美(三ツ矢歌子)とも恋仲のようで由美から一緒に逃げようとも言われる。

和田孝・三ツ矢歌子

いったいどっちが好きなのだ?銀次!

少年工の中でのいじめとか、ギャングに狙われる水野とか、銀次の女性関係とかが盛り込まれています。出演者はよかったんだからもう少しなんとかならなかったのか?日活で作ったらもっと違う感じになるかも。やはり監督の力ってスゴイ・・と思った作品でした。

宇津井健より出番が多かった?和田孝という俳優さん、長生きで1929年生まれ、2023年まで存命(93歳)、エックスでは90歳の時にシネマヴェーラトークショーの写真がアップされてました。

前田通子

三ツ矢歌子

 

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