日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

幻の町  1976年 東芝日曜劇場

花も嵐も 女優・田中絹代の生涯という本のなかで紹介されていたテレビドラマ。

8月に日本テレビ専門チャンネルで放映されたのを録画していた。目当ては違うドラマなのだが、一挙に放送されたので一応録画していてこの本で気付いた。

 

笠智衆田中絹代夫妻は11年かけ、樺太の真岡という町に住んでいた過去があり、その地図を作って小樽にいる引揚者を訪ねる。

しかし彼はすでに亡く、その娘、桃井かおりが応対する。

 

今夜帰るという朝、笠は地図がないことに気づく。

桃井の働く小樽の市場を訪ねるも、桃井はその地図の入った風呂敷をもって行かれました・・・といわれ、それではタクシーかとがっかりしながら去るが、桃井はなぜかそのままにしておけず、老夫婦を助けることになる。

 

話と並行して桃井の恋の行方の描写もあり、桃井の恋人の長距離トラック運転手がなぜか北島三郎(笑。

ただ当時、北島三郎って売れに売れていた。

 

久しぶりで小樽に帰ってきた北島と桃井は喫茶店で待ち合わせの約束をするが、老夫妻を助けるために時間に遅れ、家に帰って新品のコートを着て北島の待つ喫茶店に向かおうとしたとき、玄関先で風呂敷包みを見つける。

それこそあの老人が忘れて行った地図の入った風呂敷包みだった。

 

慌てて老人の方を探す。最後に老人が行った会社?に行き、泊まっている旅館のマッチで連絡先がわかってほっとする桃井。

居合わせたその会社の客?がその真岡に地図をみせてもらうと・・それは真岡ではなくて北海道の違う町だと指摘され、とまどう桃井。

 

風呂敷包みを抱えてまずは北島の待つ喫茶店へ行くが、北島はいなかった。

 

がっかりしながら老夫妻へ地図を届ける。

老夫妻の娘はいまは樺太にいてソ連軍が来た時自分は残るといっておいて来た

という話をするが、お互いの記憶があいまいで実はソ連軍に殺害されたのではないか・・・と思わせるセリフがある。

自分たちの作ったこの地図は週刊誌に載るかもしれないことを笠から聞いた桃井は

帰り際、その地図は真岡ではない、昔老夫妻のいた北海道の町だ、だから週刊誌には載せない方が良いと言ってしまう。

笠はびっくりして肩をおとすが、まだ半分信じられない。

田中絹代はそんな夫を励まし、また作ればよいというが・・・

笠は10年もかかったのだから自分たちにはもう時間がない・・・という。

 

で、なんだかわからないのが最後で、

小樽を発つ予定の時間、二人は喫茶店にはいり、自分たちの記憶が違うのではないかと思わせるようなシーンのあと、田中絹代が小樽から樺太へいく船があるからそれで真岡へ帰ろうという。笠はそんな船などとうにないというが岸壁にふたりでいる。

 

前に桃井に笠と田中はキスしたこともないという田中を思い出したのか笠は「自分たちは本当にキスしたことないのか?お前、してほしいか?」ときくとうなずく田中に

キスする場面はビックリ。(ほっぺじゃないくて唇をあわせるのだ 笑)

 

でなんだか笠は あ、汽車がきた・・・とかいうし・・

シーン変わって桃井が笠夫妻を追いかけて小樽駅で探すがあえず、しょんぼり駅からでてくるとそこには北島の乗ったトラックがいて来月の10日に帰る・・・と仲直り?っぽい場面があってそれで終わり。

 

いったい、このドラマの言いたかったことはなんだ?

記憶が薄れ、混同する老夫妻はわかるとしてその後、その夫婦は岸壁から飛び込んだのか?それともどうなったのだ?

50分足らずのテレビドラマだから、最初のシーン、北島が長旅から帰って布団に潜り込む。桃井が市場から何度も電話をしてデートの件をいうが、北島は眠くてなかなか電話にでない・・・このシーンが長すぎるよ(笑。

 

なんとも消化不良なドラマでした。一話完結の短編はとても難しいですね。