日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

狂った脱獄  1959年 日活

監督 小杉勇 脚本 大川久男

出演 小杉勇 岡田真澄 香月美奈子 中村万寿子 青木富夫 木浦佑三 神山勝

   赤木圭一郎

 

www.nikkatsu.com

日活より

 

復讐に狂った男とあるが、勘違い男が嫉妬に狂ったあげく・・・って感じの物語。50分少々なので話の進行がはやく、飽きなかった。

狂った脱獄の映画タイトルはあの映画「狂った~」が念頭にあったのだろうか・・・。

脱獄といっても刑務所からの脱獄ではなくて警察署内の留置所みたいなところからの脱獄だ。

 

トラックの長距離運転手の岩上(岡田真澄)が妻の待つアパートに帰ってみると、

妻、トミ子(香月美奈子)は男に暴行され泣いていた。その男はトレンチコートを着ていて・・・と訴える妻の言葉で岩上の予科練の友人、関根という男の犯行だと思った岩上は関根を探し出し刺殺・・・。

 

現場付近の派出所では殺人があったと警察官が巡回していた夜、一人の男が派出所に入ってきた。応対にあたった深沢巡査(小杉勇)は彼が訪ねたい場所を教え、ほつれていた彼のジャンパーを派出所に来ていた深沢の娘(中村万寿子)に繕わせる。

話の中で自分は一度も賞をもらったことがない・・・と聞いたその男は、深沢巡査の優しさにふれ、殺人をうちあける・・・。彼が妻を暴行された岩上だったのだ。

 

留置所に面会に来た妻は、取調官?にも暴行したのは確かに関根だったと言う。

しかしその後、同僚の竹内(青木富夫)が面会に来て、トミ子が彼女の昔の恋人の森岡(神山勝)と歩いているのをみかけた・・・と話す。トミ子がこのところ全く面会に来ないのを気にしていた岩上は、深沢巡査にトミ子に来るようにと伝言していたが、巡査は奥さんは体調を崩して寝込んでいるときいていたが、それは巡査の優しさであった。

しかし、竹内の話からトミ子と森岡にはめられた!と知った岩上。ところが自分は逮捕され、どうすることもできない・・・。

 

留置所に戻ると詐欺で捕まったという宮川五郎(木浦佑三)と同房となる。

宮川は岩上に自分は詐欺だけでなく殺人も犯している。警察は気づいてないようだが

いつそれが知れてもおかしくない、今夜は雨だし、見回りの警官がひとりになる。この日を逃すともう逃げることは無理だからと岩上を脱獄に誘い、ひとりになった警官を房におびき寄せて鍵と拳銃を奪ってふたりで留置所を抜け出す。

 

岩上はそこで別れようとするが、宮川は自分の殺人を打ち明けたのだから二人で行動しないと殺すと奪った拳銃で脅し、トラックを運転できる岩上に途中で奪ったトラックを運転させる。

 

奪われたトラックの運転手を撃ち殺そうとした宮川を必死で止めた岩上はもみ合いのすえ、宮川を失神させる。そして妻のアパートへ行き、妻を責めるのだ。

 

・・・ところが・・・森岡は岩上のために妻が関根に暴行されたと警察に言えば、岩上は情状酌量の余地があるなどのアドバイスをしていただけだった。そんなことを知らない岩上が今度は森岡を探そうとトラックへ戻る・・・車内にはのびている宮川がいる・・・

追いかけてきたトミ子が宮川を目にして自分を暴行した男だとわかるが、トラックは出発してしまう。ここでトミ子、トラックから決して離れず、まるで西部劇の馬に綱をつないで人間を引きずる状態で「私を暴行したのはその男よ!」ってなるんだけど・・・これスゴイ。でも、え?この描写?(笑。

身体中擦り切れるであろう人間引きずりだけど、関係ないがお盆前の8月10日、ホースで水を撒いた後、そのホースを水道栓から抜こうとしたら右手の中指の爪の下あたりをどこかで擦ってしまい、3ミリ四方で皮がめくれて血がドバドバ。最近流行っている?傷を乾かさないで治すという傷パワーパッドを貼るが、水仕事でほぼ一日中、水を使っているから端の部分がめくれ上がる。

それを取ろうとすると粘着力の凄さで傷の部分からまた出血、仕方ないので普通のバンドエイドを貼っていると傷のない指の裏側がふやけまくるしすっぽり抜けちゃうし・・・のくり返しが今も続いている。指先の擦り切れでこの不自由さ、それに数日痛かった。いまでもまだ皮が全てつくられていない。それが全身だったら(;'∀')

あまりにもインパクトあり過ぎ。そこまでの必死さの表現だろうが、なんだか笑ってしまった。

 

トラックが止まり、宮川は逃げ出す。トミ子の訴えをきいた岩上は逃げようとする宮川に拳銃を一発。宮川は弾を足にうけ、その後三人は深沢巡査のいる派出所へ・・・。で岩上もまた逮捕されちゃうんだよね。

 

岩上(岡田真澄)の勘違いから人殺しをして、さらにその勘違いは勘違いで、でもまた勘違いで・・・ってなんとも不運な男の物語でした。

 

当時の日活作品らしくない作品なのは監督が小杉勇だったからか。

映画タイトルはちょっといただけないけど。

赤木圭一郎が警官役でちょっと映るが、その一瞬がかなりの大写し。もう日活は彼に目をかけていたのだろうと思う。翌年の赤木圭一郎は快進撃で主役だ。

 

岡田真澄と木浦佑三