日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

文子の日記  1968年 英映画社

監督 青山通春 脚本 松本英二郎 長井博

出演 桑山正一 眞木小苗 江沢信行 青柳直美 大塚治虫

 

貯蓄増強中央委員会が企画した教育?映画。ほのぼのして思わず見入ってしまいました。岐阜県大垣城近辺が舞台で、なかなか良い町並。行ってみたいです。

貯蓄増強と言うからには貯金しろ!みたいな演出が多いかと思いきやそうでもないところがまた良い。

 

豆腐屋の娘、文子(青柳直美)は高校受験を控えた中学3年生。兄の和男(江沢信行)は来年大学受験の高校3年、弟の健太(大塚治虫)は暢気な小学生。

文子はたまに学校帰りで豆腐を売るために自転車で走る父、(桑山正一)と出くわすが、友人と一緒だとなんだか恥ずかしくて「お父さん」と声をかけられない。豆腐屋じゃなくてサラリーマンの家に生まれたかったとも思う。

父はお人好しで特に小さい子供相手に道草して一緒に遊んだりする。なんとなくふがいない。

兄の和男の同級生で魚屋の息子は父から大学なんて行かずに魚屋を継げと言われ喧嘩してしまい、和男に相談する。和男の父は逆に和男の好きな道へ進めと言ってくれる。

父の豆腐屋で10年住み込み、150万円をコツコツ貯めた青年が店を持つことになった。

彼は田舎でお嫁さんを探し、ある日挨拶に来る。このシーンでやっと貯蓄の話がちょっとでる。

桑山正一

豆腐屋の主人を演じた桑山洋一という俳優さんはよくテレビ時代劇の悪役を演じていたけれど、こんな役もしていたんですね。なかなかうまかった。

妻役の眞木小苗という女優さん、角度によっては田中絹代みたいだった。

眞木小苗

青柳直美

ある日、豆腐屋にいて集金の金を持ち逃げされた青年に出会った父。その後、彼から金を貸してくれと言われ人の好い夫婦は金を貸す。今まで働いていた人が店をもったので人手が足りず、今は息子の和男が配達をして手伝っているし、その青年を更生させたいこともあって父はまた店で働かないか?と訊くと感謝した様子だったがその後音沙汰がなくなる。

江沢信行

和男は配達途中でその青年が女を連れて歩いているところを目撃する。帰ってからそのことは言わずに青年のことを訊くと、連絡がないという父。和男はそんな父に怒りが湧くのだ。どこまでお人好しなのだろう。

ここで、大垣城の東門に通じる道のシーンがある。エグロ会館はまだ現存。多分建物も同じでは?と思える。

現在のエグロ会館付近

その後、和男は両親が自分たちのために貯金を積み立てていることを知る。

(で、貯蓄増強)

また街で青年をみかけた和男は意を決して彼に声をかける。不良仲間と一緒にいた彼は金を貸した父を「騙されるほうが悪いんだ」と言い放つ。最近言われる「自己責任」って騙された人を批判する精神と同じか?やっぱり騙すほうがダメだよね。我慢ならなくなった和男は喧嘩するが(そのシーン無し)、顔を腫らして帰って来る。今なら警察沙汰だけど、当時はなんてことなかったんだね。家族の誰も騒がない。

すでに昭和昭和40年代だと商店よりサラリーマンのほうがよいと思われていたのか、店から独立した男性にお嫁さんが来たのを豆腐屋にお嫁さんを探すのは難しいとか言っている。朝早いしね。商店のお嫁さんはずっと働かないといけないし。

単なる教育映画と言うのはモッタイナイくらい面白い。

健太が橋を渡って友達とテストの点数を見せ合う場面(健太は45点w)

塩田常夜灯

塩屋常夜灯

ここで父と会う。

現在

大垣の街並みが魅力的でほんと、行ってみたいです。大通りのアーケード街はグーグルでみるとやはりシャッターが降りている店が多そうでした。

 

 

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