日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

かあちゃん 新東宝 1961年 

監督 中川信夫 脚本 舘岡謙之助 原作 豊田正子

出演 望月優子 伊藤雄之助 二木てるみ 北沢典子 浜野桂子 花岡菊子

   田崎潤 宇津井健 丹羽哲郎

 

んー、やっぱり綴方教室を観てると、ちょっとね・・・な映画。

wikiだと前年に大蔵貢が新東宝の社長をクビになって大蔵カラーがなくなったそうだが、逆に圧倒的な支配力をもったプロデューサー不在の中で作られた、文芸色のつよい作品とある。確かに。まぁ、宇津井健はお巡りさんで最後にちょっとでてくるけど。

 

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ブリキやの父、伊藤雄之助とその貧乏所帯をきりもりする妻、望月優子、その娘、二木てるみと弟。「粘土のお面」という豊田正子の自伝小説。

だからどうしても綴方教室と比べてしまうし、似てる。

 

三軒長屋に住む3家族全て貧しい。右隣の家は娘、浜野桂子が女給をしていて家計を助けている。この浜野桂子という人は大蔵臭満載の「暁の~」で天地茂に殺されちゃうクラブのママ役で出ていた人だけれど、今はどうしているのかわからない。

その幼馴染の黒丸良という俳優さんもwikiでは赤字で表示されているからその後がわからない。

 

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浜野桂子と黒丸良

その浜野桂子が結婚する!というお金持ちが丹波哲郎。母親はお金持ちと娘が結婚するのをただ喜ぶのだが、結局騙されてしまうのだ。

 浜野桂子の実家に来て「なんて汚いところだ」などとなぜか英語で言う。

昭和24年の物語なので多分、日系人の米軍人か?

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丹波哲郎

彼女は幼馴染の工場勤めをしている黒丸良に励まされ、なんとか夜の生活から足を洗おうとする。

 

二木てるみの担任、北沢典子が出身地の群馬県へ転任するのでバス停まで送る場面があってこの映画、殆どセットなんだけれどこの土手はロケでした。

 

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バス停は映画のためのだと思う

話は前後するが、同じ長屋の傘直し職人の妻が亡くなり、小さい息子を連れて成田まで行く親子も土手を歩く。

 

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遠くに見える鉄道の橋?はどこでしょうか

結局 ブリキやも家賃を溜めて夜逃げするのだ。

 

最初っから最後まで貧乏な話なんだけど、ちょっと陳腐な演出でしらけたところがありました。