日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

乙女ごころ三人姉妹 1935年 P.C.L

 

監督 成瀬巳喜男 脚本 成瀬巳喜男 原作 川端康成

出演 堤眞佐子 細川ちかこ 梅園龍子 林千歳 松本千里 三條正子 松本万里代

   三島雅夫 藤原釜足 岸井明 大川平八郎 滝沢修 

 

堤眞佐子・細川ちかこ

このところ勢古浩爾氏の書籍にはまっています。あれだけ言えたらスカッとするだろうなぁ~~。

さきほど「自分がおじいさんになるということ」という本を図書館で予約しましたが、考えてみると高齢者本を書いていおられる女性高齢者の偉い先生方の本に「おばあさん」という題名がついていたのを私は見たことがないです。最近は昔ワイドショーのコメンテーターでよく見かけた樋口恵子氏が高齢になって、出版した書籍を本屋で目にすようになったけれど「ヨタへろ」ではあっても「おばあさん」ではないらしい。女性の表現で多いのは「老い」が多いけれど、老いていても「お婆さん」ではないと絶対思ってるよね。

形容詞で「素敵な」とか「おしゃれに」とかついてるもん。

 

その点、まだ読んでいないが、勢古氏の「おじいさん」本の中身にはかなり期待している。

最近借りた「まれに見るバカ」本を読んで、単に著者の経歴だけでひれ伏して(東大卒とか、○○大学教授とか、世間一般でいう有識者の方々)彼ら、彼女らのの言っていることがなんだかわからない自分を責めていましたがあっちが「〇〇」だったのか!と教えてくれたのも勢古氏です。

 

久々のP.C.Lです。

川端康成に気に入られた梅園龍子が出演していますが、水谷八重子と同じレベルのセリフの棒読みっぷりと声がよくない。よかったのはやはり堤眞佐子で、梅園龍子のすぐ上の姉役なんですが実年齢は堤眞佐子のほうが2歳年下の1917年生まれ。ただあの外見だと洋風な梅園龍子がレビューの踊子というのは納得だし、愛嬌のある顔立ちでひたすら優しい娘を演じるのは堤眞佐子ですね。

 

門付けをして母と生活しているお染(堤眞佐子)は養女(と言っても稼がせるための養女)、お春、お島と夜な夜な浅草の街へでて稼ぐという毎日。姉のおれん(細川ちかこ)はそんな生活が嫌になったのか浅草の不良とつきあうようになり、その後小杉(滝沢修)というピアノ弾きと一緒になってどこかへ行ってしまった。

妹の千枝子(梅園龍子)は深川の料理屋の息子?の青山(大川平八郎)に見初められふたりはよく浅草でデートする。母は千枝子だけは門付けにせず好きなことをやらせていて彼女はレビューの踊子だ。(これが映画冒頭、千枝子の口から語られる)

 

夜の街で酔い客から歌わせてもらって金をもらうのはたいへんだ。

カフェーでは女給から嫌がらせでわざとステレオの音を大きくさせてお染が歌って稼ぐのを阻まれたり、お酌しろと言われて三味線を壊されたあげく店から出ていけと言われたり。このシーンでは酔って口説こうとする客(岸井明)に啖呵を切って店の者からたいがいにしろと追い出されるときのお染の不敵なふてくされたような笑みのシーンが良かった。

他の娘たちは稼いだ小銭で本を買ってしまったり、食べ物を買ってしまったりする。

年ごろだから仕方がないが折檻してやるという母に意見するのもお染だ。

 

ある日、千枝子から姉のおれんを田原町で見たと聞いたお染。

なんと浅草の松屋の屋上で姉と再会し、その後の姉の生活をきく。

一緒の小杉は胸を悪くして、二人は小杉の故郷へ帰るという。汽車賃がないので浅草の知り合いに融通してもらおうと思って浅草に来たという姉。

 

ところが姉の仕事は千枝子と青山がいるところを偶然目撃し、青山を強請って金を取ろうと画策するためにある店に呼び出すという仕事だった。

青山という男が自分の妹の結婚相手とは知らず、まんまと呼び出しに成功したおれんはそのまま姿を消し、小杉のまつ上野駅へ。その夜、彼らは旅立つのだ。

反対の建物から部屋の様子に気づいたお染。なんと千枝子の恋人の青山が不良に脅されている様子をみて割って入った瞬間に不良から刃物で刺されてしまう。

おどろいた青山は医者を呼ぶと言って店をでるが、おれんがいる上野駅に見送りに行きたいとそのままタクシーで上野駅へ。お染を見ておれんは顔色が悪いというがお染は大丈夫だといい・・・

 

可哀そうなシーンばかりではなく、

青山が妹の恋人とは知らない時に浅草で鼻緒が切れて困っていると通りがかった青山からコレお使いなさいとハンカチを渡されるが私ももっていますからと断り自分のハンカチを出す。いい人♡♡と青山の後ろ姿を見届け、自分のハンカチを使って鼻緒を直すかと思いきや懐にしまい、ハンカチは使わない。

とか、

お染が晴海?月島?築地?あたりでアンパンを食べていると、大学生が写真を撮らせてくれと寄ってくる。お染はポーズを撮って応じるが大学生が去った後、鏡で自分の顔を見ると頬に食べ物のカス?がついている。もう一度写真を撮りなおしてもらおうとするが彼は遠くへ行っており、ま、いいか!な顔。

 

近所の悪ガキが彼らの家の外から門付けをバカにするようにはしゃぐ。そこへ気の強い千枝子が箒をもって仁王立ち。こういう格好って昔のサザエさんのマンガで見たような気がします。

 

ポーズを決めるお染(堤眞佐子)

昭和10年ごろの浅草の様子が映されているが、映画冒頭でやたらとカメラが右、左、と動かしているのはまるで素人のビデオ撮影みたいで非常に見にくかった。

浅草六区

二天門のある通り

火の見やぐらのある同じ場所に消防署の出張所がある






門付けの娘