日本映画1920-1960年代の備忘録

1920年代の無声映画から1960年代前半の日本映画

人妻椿 前編・後編 1936年 松竹

監督 野村浩将 脚本 柳井隆雄 原作 小島政二郎

出演 川崎弘子 佐分利信 上原謙 三宅邦子 藤野秀夫 山内光 上山草人

   笠智衆 坂本武 飯田蝶子 小島和子 吉川満子 二葉かおる 岡村文子

   河村黎吉

 

川崎弘子・佐分利信

60年代の大映映画が男性の夢だとしたら、これは30年代の人妻の夢と希望がふんだんにちりばめられている作品です。

原作が主婦の友に連載された小説なんで子持ちの人妻がモテモテです。しかも夫が佐分利信で好かれるのが上原謙ですよ!上原謙の男前っぷり爆発してました。

1979年だと思いますが、上原謙の再婚相手と加山雄三一家のことがテレビや週刊誌で話題であった頃、私は上原謙をまじかで見たことがあります。髪の毛は薄くなってましたが猛烈にハンサムでした。いや、ほんと。ただ当時、私も若く上原謙という名前は知ってはいましたが興味もなかった。今思えば「サイン」してもらえばよかったと思います。

あの年齢で(70歳前後)あんなに端正な顔立ちを維持しているおじいさんは上原謙くらいかも。彼が若い頃の映画を見るようになって納得しました。

マスコミやCMではカツラをかぶっていたようですが、毛がなくてもハンサムかげんは変わらなかった、というよりカツラは逆に不自然じゃないかと思います。

 

上原謙

矢野昭(佐分利信)は孤児だった自分を救い、さらに会社の支配人にしてくれた社長の有村(藤野秀夫)には恩を感じている。矢野の妻、嘉子(川崎弘子)は元々有村家に奉公していた女だが社長の計らいで結婚、一男、準一(小島和子)と手伝いの千代(飯田蝶子)と何不自由なく暮らしていた。ところが社長が脅されて脅した相手を拳銃で殺してしまい、矢野は妻子のことを頼んで身代わりとなり異国の地へ。

嘉子に一部始終を話した有村は月々300円の仕送りを約束するが心労がたたったのかそのまま帰らぬ人となってしまった。元々嘉子に気があった社長の息子、恒也(山内光)は嘉子をなんとかしようと矢野からの便りは渡さず、その代わり矢野は死んだと思い込ませる。さらに社長が亡くなったのをいいことに嘉子に生活費は渡さず逆に彼がパトロンとなって嘉子はクラブのママになる。

これまで貞淑な妻だったんですが、なぜかママが板についているような嘉子(笑。

 

そこへ客の一人として現れたのが草間(上原謙)。嘉子の誕生日、ステレオとレコードが店に届く。誰だろうと思う嘉子のところへ恒也が現れ、送り主の草間という男は女たらしの悪い奴だとふきこむ。あの男性かと気づいた嘉子に恒也は自分も誕生日のプレゼントがあるといって嘉子を連れ出した先は一軒家。なんとその家がプレゼントだという恒也(って・・・夢だよね、人妻のw)。強引に襲い掛かろうとする恒也を振り切り、

嘉子は家財道具一式を売って恒也からの借金を返し、実家である漁村へ息子を連れて帰る。

それだけの家財道具があれば恒也に金を出してもらう必要がなかったのでは??というのは考えないこととして(;^_^A。

嘉子の美貌を映画界で発揮させようと(と思ったのか知らないが)ある晩草間が映画会社社長を伴ってクラブを訪れたがそこにいたのは別な女だった。

 

漁村には父がひとりで暮らしており、嘉子はしばらく平穏に暮らす。網元の幼馴染の虎一(笠智衆)が嘉子を嫁に欲しいと言い出し、嘉子の父も悪い話ではないというが嘉子は嫌だった。村の和尚(上山草人)は嘉子の夫は生きていると言い、その気になった嘉子。和尚はそのまま村を去るように手配して彼女はまた東京へ帰り、手伝いの千代の家へ。しかし千代の家にいつまでもいるわけにもいかず、準一も病気となったので芸者置屋に身を置き、芸者になるが有村社長を脅した男の弟分だという近藤(河村黎吉)に言い寄られる。置屋の女将(岡村文子)からは嫌なら借金2900円をその場で返せと言い出す。そんな借金はした覚えがないという嘉子だが着物代やらなにやらが全て嘉子の借金であった。

(そんなことも知らない嘉子!)

一方、草間は嘉子が人妻であることを知り、傷心のままアメリカへ旅立つ。その前に嘉子あてに3千円の小切手を千代に託すのだが、千代が落としてしまった。

良い人があるものでその小切手は警察へ届けられたが草間の母(二葉かおる)が嘉子宛だから千代には渡せないと小切手をもっていってしまった。

ここでお金持ちの草間の母が二葉かおる・・・というのは配役ミス?。

嘉子と共に草間家を訪れた千代が小切手をもらおうとするが草間の母はそんな小切手は捨ててしまったというではないか!

置屋の借金が返せると私もかなりホッとしましたが、そーきたか!(笑。

 

書いているうちになんか話が前後しているような気もしますが、嘉子の美貌によって逆に嘉子が苦しめられるというなんとも皮肉な展開。

ここで嘉子に想いを寄せる男性を書くと

夫 佐分利信

山内光(社長の息子)上原謙笠智衆、河村黎吉。夫以外少なくとも4人の男性から追いかけられる人妻!

川崎弘子・笠智衆

川崎弘子・山内光



三宅邦子は有村家の娘役でフランス帰りという設定。元々草間(上原謙)の婚約者だった。

彼女はそのお色気で上原謙と佐分利を篭絡しようとするが上原には、また振られ、佐分利を待つホテルには佐分利は現れないという設定。それにしても三宅邦子ってこういう役もしていたんだ。

 

三宅邦子上原謙

以下、上原謙の美男子ショット

上原謙

上原謙

後編では佐分利信がまるで聖徳太子みたいな髭面で登場。

幼い息子役は小島和子という女の子で、高峰秀子も幼い頃は男の子役もしたと言っていたのを思い出しました。